先週の米国市場を
「米国株式の割安割高を判断する目安」
になると思われる指標などで概観してみます。
ごく簡単な米国市場の概観
<先週のS&P500>
※出所:米S&P 500インデックス(SPX - Investing.com
2.15は「2776」。前週末比「+2.5%」。
2019年1月末は「2704」だったので、2月は+2.7%。
1月に続いて大幅上昇となるか。
最高値は2018年9月の「2941」で今は高値から「-5.6%」の水準。
<先週の米国10年国債利回り>
2.15は「2.66%」。
前週末は「2.63%」だったので、週間で利回りはやや上昇。
昨年末は「2.69%」で今年はやや低下。
2018年で最も高かったのは10月の「3.26%」。
定点観測
以下の4つで定点観測してみます。
★恐怖指数<米国市場。S&P500の変動性>
★ジャンク債スプレッド<米国市場。クレジットスプレッドの一つ>
★S&P500のPBR<米国の代表的な株価指数のPBR>
★米国バフェット指標 <米国の時価総額÷米国の名目GDP>
恐怖指数
<ここ1年>
<先週>
2.15は「14.91」。前週の「15.72」より低下。
ジリジリと下がってきました。
水準としては長期平均(「19.3」)よりやや低く、米国の市場心理は
やや安心?
と推測。
目安の「30」以下であり、株価は割安ではなさそう。
※参考:2018年のピークの概算値
・2月:「50」
・10月:「29」
・12月:「36」
<恐怖指数について詳しくはコチラ↓>
www.yukimatu-value.com
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ジャンク債スプレッド
ジャンク債スプレッドとは
①ジャンク債スプレッド
=米国のハイ・イールド債の利回り-米国債(10年物)の利回り
②ジャンク債スプレッドが大きい⇒株式は割安傾向
③ジャンク債スプレッドが小さい⇒株式は割高傾向
④★平均値(幾何平均):3.0
★中央値:3.0
<期間:1996.12月~2019.1月の月末>
推移グラフと現在の状況判断
※出所:◎St. Louis Fed◎米国 10年 債券利回りのデータより管理者作成 ※期間:1996.12月末~2018.12月末
2.14時点のジャンク債スプレッドは「2.4」で、前週の「2.5」より低下。
VIXと同様、こちらもジリジリと低下傾向。
昨年12月の不安、混乱モードから「安心、リスクオン」の方向に少しずつ動いているような感じが数値的にうかがえます。
※ジャンク債利回り「5.09%」、米国債(10年物)の利回り「2.66%」
スプレッドは長期平均「3.0」より小さく、投資家心理はやや安心?か。
株価水準としては
やや割高?
と推測。
<最近の推移>
※出所:◎St. Louis Fed◎米国 10年 債券利回りのデータより管理者作成 ※期間:2016.1月~2018.2月(2月は14日のデータ)
<ジャンク債スプレッドについて詳しくはコチラ↓>
www.yukimatu-value.com
S&P500のPBR
※出所:S&P 500 Price to Book Value
1999年末~直近のS&P500のPBRの推移です。
2.15時点の推計値は「3.29」。前週の「3.24」より上昇。
水準としては
★ITバブルの頃のピーク(5.06)
より小さく
★サブプライムバブルの頃のピーク(2.91)
は上回る水準。
長期平均の「2.79」は上回っており、現在は
割安な水準ではなさそう
です。
※出所:S&P 500 Price to Book Value
<S&P500のPBRについて詳しくはコチラ↓>
米国バフェット指標
米国バフェット指標とは
①米国バフェット指標=米国の時価総額÷米国の名目GDP
②米国株式の割安割高を判断する目安
③1995~2017年の各年末のデータから、
★平均値:1.26
★中央値:1.32
④近年の経験則の域を出ませんが
★1.05以下は株式は割安圏?
★1.40以上は株式は割高圏? と推測⑤米国の時価総額=NYSE+Nasdaqで計算
推移グラフと現在の状況判断
<1月末のデータはまだ入手できていません>
米国の時価総額は2018年12月末で約「30.4兆ドル」(前月末は「33.8兆ドル」)。
前月より大幅減。
2018年12月末の米国バフェット指標は「1.48」(前月末は「1.65」)。
現在、割高圏の目安「1.4」を上回っていると推測され、12月末時点の米国株式は
割高圏?
と推測。
2019年1月末はこのままいくと大幅な増加になりそう。
この指標の水準としては2017年4月頃と似た数値。
※データ出所:https://www.world-exchanges.org/、世界経済のネタ帳のデータより作成
※2018年米国名目GDP:20.51兆ドル(IMF推計)。2017年は19.49兆ドル
米国バフェット指標について詳しくはコチラ↓
現時点での米国市場の割高割安、4つの指標からの推測、まとめ
あくまで経験的な判断ですが、現時点で各指標が示唆する株式の割安、割高の判断をまとめます。
★恐怖指数⇒割安ではなさそう
★ジャンク債スプレッド⇒やや割高?
★S&P500のPBR⇒割安ではなさそう
★米国バフェット指標 ⇒割高圏?
総合的に判断すると、わたしは米国株式は
割高?
と推測。
現時点での米国株の長期投資のタイミングとしては
①リスク資産の資産配分が大きくなりすぎていれば、所定の配分に戻す
②資産配分において、株式の配分比率を減らす
③資産配分において、現金の配分比率を増やす
④長期投資を一時やめる(投資をやめる機会を探している場合)
のに適す時期だと考えています。単なる経験則ですが。
※概ね10年以上を想定した長期投資に関する一つの判断です。短期、中期的な投資には役立たない可能性が高いです
※基本的にできるだけ「割高な時期に株を売り、割安な時期に株を買う」という判断に基づいています
※単なる個人の感想です。未来は誰にも予知できません。投資は自己判断、自己責任で
ITバブル、サブプライムバブル、現在のデータ比較
※表のデータ出所 ・世界のバフェット指標:GLOBAL NOTE、https://www.world-exchanges.org/ ・OECD景気先行指数:OECD Data ・シラーPER:Shiller PE Ratio ・失業率:US Unemployment Rate ・実質経済成長率:BEA National Economic Accounts ・長短金利差:米国債・金利 - Bloomberg
・「ジャンク債スプレッド」:また下がってきました
・「S&P500のPBR」「CAPEレシオ」:割高感が増しています
おわりに
ポジティブ要因としては
「米中の通商合意への期待」
「FRB引き締め政策の転換期待」
「2018年12月下落からの反発ラリー継続」
などでしょうか。
1月の
「米・非農業部門雇用者数」
「米・製造業PMI」
「ISM製造業景況指数」
なども堅調であり、こちらもポジティブ要因。
一方、昨年12月の
「米国やOECD全体でのCLIの低下」
2019年1月の
「米・失業率の上昇」
「米・鉱工業生産指数の低下」
その他、欧州や中国の景気減速感はネガティブ要因。
とりあえず短期的には何らかの原因での
期待の剥落
が最も大きなネガティブ要因でしょうか。
わたしのポジションではオプションがらみで少し利益が出ていますが、あと2週間~1.5ヶ月くらいはなんだかドラマチックな予感。
余談ですが最近はごく少額で日経オプションのロングショートもときどき実行。
・短期的なリスクオンの予想⇒コールを少し多めに買い
・短期的なリスクオフの予想⇒プットを少し多めに買い
でプット、コールを「買い」で両方保有。
相場が想定通り大きく動くと利益。
想定と逆に大きく動くとトントンか小さな損失(すごく大きく動くと利益)。
あまり相場が動かないと損失。
損失額が限定されているのが魅力。
まだお遊び程度ですが、最近のように指数の変動が大きめだと、よくも悪くも結果がすぐに出ます。
比較的ボラが上がりやすい世界的な景気減速期には「投資の期待値」が高くなりそうな、個人的には面白い一つの投資スタイルと感じます。
※オプション取引を勧める意図はありません。投資は自己責任で
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