先週の米国市場を
「米国株式の割安割高を判断する目安」
になると思われる指標などで概観してみます。
ごく簡単な米国市場の概観
<先週のS&P500>
※出所:米S&P 500インデックス(SPX - Investing.com
3.29は「2834」。前週末比「+1.2%」。
2019年2月末は「2784」だったので、3月月間では+1.8%。
日本株は3月少し下げましたがS&P500は堅調。
2018年末は「2507」で、今年は「+13.0%」。
最高値は2018年9月の「2941」で今は高値から「-3.6%」の水準。
一方米国の小型株指数、ラッセル2000は3月月間で「−2.3%」。
2018年1月、2018年8月、2019年2月に3つの山を形成したところ。
この指数は今のところ2018年8月頃がピークで、今はピークから「-11.5%」の水準。
※出所:https://jp.investing.com/indices/smallcap-2000 より作成
<先週の米国10年国債利回り>
3.29は「2.41%」。
前週末は「2.44%」だったので、利回りは低下。
3.28には「2.35%」を下回るシーンもありましたが、週末回復。
昨年末は「2.69%」で今年は利回りが大きく低下。
2018年で最も高かったのは10月の「3.26%」。
2018年の平均値は「2.91%」。
定点観測
以下の4つで定点観測してみます。
★恐怖指数<米国市場。S&P500の変動性>
★ジャンク債スプレッド<米国市場。クレジットスプレッドの一つ>
★S&P500のPBR<米国の代表的な株価指数のPBR>
★米国バフェット指標 <米国の時価総額÷米国の名目GDP>
恐怖指数
<ここ1年>
<先週>
3.29は「13.71」。前週の「16.48」より低下。
先週は安心モード。
水準としては長期平均(「19.3」)より低く、米国の市場心理は
安心?
と推測。
目安の「30」以下であり、株価は割安ではなさそう。
※参考:2018年のピークの概算値
・2月:「50」
・10月:「29」
・12月:「36」
<恐怖指数について詳しくはコチラ↓>
www.yukimatu-value.com
スポンサーリンク
ジャンク債スプレッド
ジャンク債スプレッドとは
①ジャンク債スプレッド
=米国のハイ・イールド債の利回り-米国債(10年物)の利回り
②ジャンク債スプレッドが大きい⇒株式は割安傾向
③ジャンク債スプレッドが小さい⇒株式は割高傾向
④★平均値(幾何平均):3.0
★中央値:2.9
<期間:1996.12月~2019.2月の月末>
推移グラフと現在の状況判断
※出所:◎St. Louis Fed◎米国 10年 債券利回りのデータより管理者作成 ※期間:1996.12月末~2019.2月末
3.28時点のジャンク債スプレッドは「2.4」で、前週の「2.2」よりスプレッド拡大。
※ジャンク債利回り「4.74%」、米国債(10年物)の利回り「2.39%」
スプレッドは長期平均「3.0」より小さく、投資家心理は安心?か。
株価水準としては
やや割高?
と推測。
<最近の推移>
※出所:◎St. Louis Fed◎米国 10年 債券利回りのデータより管理者作成 ※期間:2016.1月~2018.3月(3月は28日のデータ)
<ジャンク債スプレッドについて詳しくはコチラ↓>
www.yukimatu-value.com
S&P500のPBR
※出所:S&P 500 Price to Book Value
1999年末~直近のS&P500のPBRの推移です。
3.29時点の推計値は「3.36」。前週の「3.32」より上昇。
水準としては
★ITバブルの頃のピーク(5.06)
より小さく
★サブプライムバブルの頃のピーク(2.91)
は上回る水準。
長期平均の「2.79」は上回っており、現在は
割安な水準ではなさそう
です。
※出所:S&P 500 Price to Book Value
<S&P500のPBRについて詳しくはコチラ↓>
米国バフェット指標
米国バフェット指標とは
①米国バフェット指標=米国の時価総額÷米国の名目GDP
②米国株式の割安割高を判断する目安
③1995~2017年の各年末のデータから、
★平均値:1.26
★中央値:1.32
④近年の経験則の域を出ませんが
★1.05以下は株式は割安圏?
★1.40以上は株式は割高圏? と推測⑤米国の時価総額=NYSE+Nasdaqで計算
推移グラフと現在の状況判断
米国の時価総額は2019年2月末で約「34.1兆ドル」(前月末は「33.1兆ドル」)。
前月より増加。
2019年2月末の米国バフェット指標は「1.59」(前月末は「1.54」)。
現在、割高圏の目安「1.4」を上回っていると推測され、2月末時点の米国株式は
割高圏?
と推測。
この指標の水準としては2017年10月頃と似た数値。
※データ出所:https://www.world-exchanges.org/、世界経済のネタ帳のデータより作成
※2019年米国名目GDP:21.48兆ドル(IMF推計)。2018年は20.51兆ドル
米国バフェット指標について詳しくはコチラ↓
現時点での米国市場の割高割安、4つの指標からの推測、まとめ
あくまで経験的な判断ですが、現時点で各指標が示唆する株式の割安、割高の判断をまとめます。
★恐怖指数⇒割安ではなさそう
★ジャンク債スプレッド⇒やや割高?(割安ではなさそう)
★S&P500のPBR⇒割安ではなさそう
★米国バフェット指標 ⇒割高圏?
総合的に判断すると、わたしは米国株式は
割高?
と推測。
現時点での米国株の長期投資のタイミングとしては
①リスク資産の資産配分が大きくなりすぎていれば、所定の配分に戻す
②資産配分において、株式の配分比率を減らす
③資産配分において、現金の配分比率を増やす
④長期投資を一時やめる(投資をやめる機会を探している場合)
のに適す時期だと考えています。単なる経験則ですが。
※概ね10年以上を想定した長期投資に関する一つの判断です。短期、中期的な投資には役立たない可能性が高いです
※基本的にできるだけ「割高な時期に株を売り、割安な時期に株を買う」という判断に基づいています
※単なる個人の感想です。未来は誰にも予知できません。投資は自己判断、自己責任で
ITバブル、サブプライムバブル、現在のデータ比較
※表のデータ出所 ・世界のバフェット指標:GLOBAL NOTE、https://www.world-exchanges.org/ ・OECD景気先行指数:OECD Data ・シラーPER:Shiller PE Ratio ・失業率:US Unemployment Rate ・実質経済成長率:BEA National Economic Accounts ・長短金利差:米国債・金利 - Bloomberg
・恐怖指数:低位
・長短金利差(10y-2y利回り):週間で「0.12%⇒0.15%」に拡大
おわりに
消費があまり伸びない、車が売れない、米国景気に関してさえないデータがちらほら。
一方、トランプ氏がまたFRB悪玉仮説を展開中。
上記記事より引用。
トランプ氏は「インフレがほとんどない中でFRBが誤った利上げや、ばかげたタイミングでの保有資産圧縮をしていなければ、米経済成長率と株価はもっと高かった」と不満をぶちまけた。
どうなるかは分かりませんが、今後もし米国の景気減速や株価の低迷が目立ってくる展開となれば、
「悪いのはFRBで自分のせいではない」
と主張しそうな雰囲気が感じ取れる場面。
ネガティブな状況を想定して先手で動く、ある種のリスクヘッジ的な対処か。
最後にもう一つ、上記記事より引用。
政権高官は同日、トランプ氏が0.5%の利下げを望んでいると明言
もしかして早急に利下げ?0.25%でなく0.5%も?
そういうイメージ・期待を投資家に抱かせることで、株価や景気を持たせようとする意図を感じます。
一見乱暴なコメントも多い印象がありますが、実のところSNSやマスコミを通じて、短期的な投資家心理をうまくとらえたコスパのいい巧妙な対処策が断続的に打たれているような感じもしますね。
中長期的にそれら対策が優れたものだったかどうか、現時点では不明ですが。
こんな記事も