先週の米国市場を
「米国株式の割安割高を判断する目安」
になると思われる指標などで概観してみます。
ごく簡単な米国市場の概観
<先週のS&P500>
※出所:米S&P 500インデックス(SPX - Investing.com
4.5は「2893」。前週末比「+2.1%」。
2019年3月末は「2834」だったので、4月月間では+2.1%。
S&P500は堅調。
2018年末は「2507」で、今年は「+15.4%」。
最高値は2018年9月の「2941」で今は高値から「-1.6%」の水準。
高値更新なるか。
<先週の米国10年国債利回り>
4.5は「2.50%」。
前週末は「2.41%」だったので、利回りは大きく上昇。
3.28には「2.34%」、4.5は「2.54%」のシーンもあり、変動が大きくなっています。
昨年末は「2.69%」で今年は利回りが大きく低下。
2018年で最も高かったのは10月の「3.26%」。
2018年の平均値は「2.91%」。
定点観測
以下の4つで定点観測してみます。
★恐怖指数<米国市場。S&P500の変動性>
★ジャンク債スプレッド<米国市場。クレジットスプレッドの一つ>
★S&P500のPBR<米国の代表的な株価指数のPBR>
★米国バフェット指標 <米国の時価総額÷米国の名目GDP>
恐怖指数
<ここ1年>
<先週>
4.5は「12.82」。前週の「13.71」より低下。
完全な安心モードに。
昨年の8~10月頃の低位水準に近づいています。
水準としては長期平均(「19.3」)より低く、米国の市場心理は
安心?
と推測。
目安の「30」以下であり、株価は割安ではなさそう。
※参考:2018年のピークの概算値
・2月:「50」
・10月:「29」
・12月:「36」
<恐怖指数について詳しくはコチラ↓>
www.yukimatu-value.com
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ジャンク債スプレッド
ジャンク債スプレッドとは
①ジャンク債スプレッド
=米国のハイ・イールド債の利回り-米国債(10年物)の利回り
②ジャンク債スプレッドが大きい⇒株式は割安傾向
③ジャンク債スプレッドが小さい⇒株式は割高傾向
④★平均値(幾何平均):3.0
★中央値:2.9
<期間:1996.12月~2019.3月の月末>
推移グラフと現在の状況判断
※出所:◎St. Louis Fed◎米国 10年 債券利回りのデータより管理者作成 ※期間:1996.12月末~2019.3月末
4.4時点のジャンク債スプレッドは「2.2」で、前週の「2.4」よりスプレッド縮小。
※ジャンク債利回り「4.72%」、米国債(10年物)の利回り「2.51%」
スプレッドは長期平均「3.0」より小さく、投資家心理は安心?か。
株価水準としては
やや割高?
と推測。
<最近の推移>
※出所:◎St. Louis Fed◎米国 10年 債券利回りのデータより管理者作成 ※期間:2016.1月~2018.4月(4月は4日のデータ)
<ジャンク債スプレッドについて詳しくはコチラ↓>
www.yukimatu-value.com
S&P500のPBR
※出所:S&P 500 Price to Book Value
1999年末~直近のS&P500のPBRの推移です。
4.5時点の推計値は「3.43」。前週の「3.36」より上昇。
株高だった2018.9.30は「3.45」だったので、ほぼ同じ水準。
ITバブル後でPBRがまだ高かった2002年以来の高水準といえそう。
水準としては
★ITバブルの頃のピーク(5.06)
より小さく
★サブプライムバブルの頃のピーク(2.91)
は上回る水準。
長期平均の「2.79」は上回っており、現在は
割安な水準ではなさそう
です。
※出所:S&P 500 Price to Book Value
<S&P500のPBRについて詳しくはコチラ↓>
米国バフェット指標
米国バフェット指標とは
①米国バフェット指標=米国の時価総額÷米国の名目GDP
②米国株式の割安割高を判断する目安
③1995~2017年の各年末のデータから、
★平均値:1.26
★中央値:1.32
④近年の経験則の域を出ませんが
★1.05以下は株式は割安圏?
★1.40以上は株式は割高圏? と推測⑤米国の時価総額=NYSE+Nasdaqで計算
推移グラフと現在の状況判断
米国の時価総額は2019年2月末で約「34.1兆ドル」(前月末は「33.1兆ドル」)。
前月より増加。
2019年2月末の米国バフェット指標は「1.59」(前月末は「1.54」)。
現在、割高圏の目安「1.4」を上回っていると推測され、2月末時点の米国株式は
割高圏?
と推測。
この指標の水準としては2017年10月頃と似た数値。
※データ出所:https://www.world-exchanges.org/、世界経済のネタ帳のデータより作成
※2019年米国名目GDP:21.48兆ドル(IMF推計)。2018年は20.51兆ドル
米国バフェット指標について詳しくはコチラ↓
現時点での米国市場の割高割安、4つの指標からの推測、まとめ
あくまで経験的な判断ですが、現時点で各指標が示唆する株式の割安、割高の判断をまとめます。
★恐怖指数⇒割安ではなさそう
★ジャンク債スプレッド⇒やや割高?(割安ではなさそう)
★S&P500のPBR⇒割安ではなさそう
★米国バフェット指標 ⇒割高圏?
総合的に判断すると、わたしは米国株式は
割高?
と推測。
現時点での米国株の長期投資のタイミングとしては
①リスク資産の資産配分が大きくなりすぎていれば、所定の配分に戻す
②資産配分において、株式の配分比率を減らす
③資産配分において、現金の配分比率を増やす
④長期投資を一時やめる(投資をやめる機会を探している場合)
のに適す時期だと考えています。単なる経験則ですが。
※概ね10年以上を想定した長期投資に関する一つの判断です。短期、中期的な投資には役立たない可能性が高いです
※基本的にできるだけ「割高な時期に株を売り、割安な時期に株を買う」という判断に基づいています
※単なる個人の感想です。未来は誰にも予知できません。投資は自己判断、自己責任で
ITバブル、サブプライムバブル、現在のデータ比較
※表のデータ出所 ・世界のバフェット指標:GLOBAL NOTE、https://www.world-exchanges.org/ ・OECD景気先行指数:OECD Data ・シラーPER:Shiller PE Ratio ・失業率:US Unemployment Rate ・実質経済成長率:BEA National Economic Accounts ・長短金利差:米国債・金利 - Bloomberg
・恐怖指数、ジャンク債スプレッド:低位
・CAPEレシオ:2018.1月の「33.3」、2018.9月の「32.6」に次ぐ水準。
おわりに
上記記事より引用。
金融当局は金利を引き下げるべきだと個人的には考えている。当局は経済を大きく減速させたと思う。量的引き締めをやめるべきで」、量的緩和に戻るべきだと述べた。
・中国の金融、財政政策の効果が出て中国景気が回復する?(PMIや中国株、銅価格、中国長期金利などの動きを根拠として)
・FRBが早期に利下げ?
・FRBが量的縮小から緩和へ?
そんな期待先行の株高なのか、中国を起点とした世界景気回復の予兆ともいえる株高なのか、すべては後になって判明、今はわかりません。
わたしはロングショートや損失が限定されているオプション(プット買い)はやりますが、個別株でショートのみ、先物で売りのみ、などは根性がなく怖いので基本的にやりません。
最近でもショート一本のポジションだと
・2018.1月までの長い長いじり上げ相場
・2018.3月頃~9月頃までの上げ相場
・2019.1~4月までの上げ相場
など、とにかくしんどい時期が長い印象。
短期的な大きな下げでサクッ利益を上げてサッと退散できれば理想的ですが、かなりの度胸と瞬発力、見切り力が必要と思われ自分には向いていなさそう。
上げ相場も3ヶ月ほど続き、恐怖指数もいい感じに下がり、S&P500は最高値付近、PBRやCAPEレシオの上昇、クレジットスプレッドの縮小等も確認され、そろそろショート派の食指も動き出す時期かもしれません。
が、プレジデント圧もあり、FRBが妙な動きをすれば何が起きるかもわからず、引き続き基本は
A:「小さめのポジションでロングショート」
B:「オプションヘッジ(プット買い)+個別株買い」。
今くらい市場がご機嫌だと
C:「プットオプションを余分に買う」
などで下げにそこそこに賭けるくらい。
※相場が上げる⇒Bの利益でCの損失カバーを期待
※相場が下げる⇒Cの利益を期待
うまくいってもおそらく利幅は小さめですが、ストレスの小さいポジションがとてもしっくりくる時期と認識。
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