為替レートの水準を推し量る一つの視点「実質実効為替レート」でドル水準を見てみます。
実質実効為替レートを確認するメリット
名目レートだけでなく「インフレ変動」や「貿易額」で調整を施した為替レート(=実質実効為替レート)も知っておくことで、現在の為替レートの水準を知る手掛かりになる、かも
実質実効為替レートとは
2019.4.15現在「1ドル=112円程度」のレートは「名目レート」です。
実質実効為替レートの「実質」は
「実質」→「インフレ変動(物価変動)で調整した」
の意味。
また、実質実効為替レートの
「実効」→「貿易額などに応じて加重平均して算出した」
の意味。
実質実効為替レートは単純な名目レートではなく、
各国のインフレ変動や貿易額に応じた調整を施した為替レート
のことで、一般的な名目レートでは把握しにくい
通貨の「実力」を推し量る指標
とする人もいます。
※詳しくは
●コトバンク:実質実効為替レート(ジッシツジッコウカワセレート)とは
●金融情報サイト:実効為替レート
●マネー研究所:実質実効レートで「円の真の実力」を知る
などを参照ください。
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実質実効為替レートの使い方の一例
一般的にはレートが高い方が通貨高、低い方が通貨安を意味します。
個人的な用い方で正しいかどうかはわかりませんが、わたしは一つの目安として、長期的な
「実質実効為替レート平均値」と「現在値」のズレ
を確認し、通貨の割安割高の目安として用いています。
●長期的な平均値より高い⇒通貨高?
●長期的な平均値の同じくらい⇒ふつう?
●長期的な平均値より低い⇒通貨安?
※適切な使い方かどうかは知りません
ドルの実質実効為替レートの推移
※出所:Real Broad Effective Exchange Rate for United States | FRED | St. Louis Fedより作成 ※グラフ期間:1994.1月~2019.2月
1994年以降の推移です。
この期間の
●長期平均:109.1<オレンジのライン>
●中央値:109.4
です。
概ね「110程度」を中心とした「100~120」の範囲にあることが多いですが、逸脱している時期もあります。
●赤枠の時期⇒ドル高の時期?
●青枠の時期⇒ドル安の時期?
かもしれません(適当な推測です)。
ドルの実質実効為替レートの現在
※出所:Real Broad Effective Exchange Rate for United States | FRED | St. Louis Fedより作成 ※グラフ期間:1994.1月~2019.2月
2019.2月のドルの実質実効為替レートは「117.46」でした。
長期平均:109.1
と比べると高いところにあり、どちらかというと
ドル高
といえなくもないか。
※しつこいですが一つのものの見方で正しいかは不明
おわりに
むかし日米交渉か何かの機会で、米国サイドは実質実効為替レートも根拠の一つとして、
ドルは高い、円は安すぎる
と主張していたことがあったようななかったような。
正確なことは忘れましたが、そんな記憶の断片があったので久々にドルの実質実効為替レートを扱ってみました。
ちなみに同期間の円の実質実効為替レートの長期平均は99.3、中央値は101.4。
2019.2月の円の実質実効為替レートは75.78。
かなり低いところにあり、この視点でいけば大幅な円安水準か?
★データの期間を1994年以降でみていること(見つけやすいデータを使用しただけで1994年にとくに意味はありません)
★単純に「代表値からのかい離」で判断することが妥当なのか
そういった問題がある見方です
★データ:Real Broad Effective Exchange Rate for Japan | FRED | St. Louis Fed
日米通商交渉での「為替条項」、厳しいものになるか意外にソフトなものになるか、気になるところ。
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~祝ウッズ氏復活~