時代や国を問わず、説得力を持ちつづけそうな言葉を拾ってまとめていくシリーズ
「時空をこえたメッセージ」
の20回目です。
今回はニトリホールディングス会長似鳥昭雄氏の言葉です。
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景気のいい時は・・・
景気のいい時は投資は半分に控え、逆に不景気になったら投資を2倍にして土地も建物も積極的に取得していく。この繰り返し
上記記事から引用。
「不況の中でも企業として成長を続けられた理由は?」
との質問に対する答えの中のフレーズ。
好況と不況は繰り返すもので、相対的に不況時にチャンスが多く、好況時はリスクが高いことを示唆する発言をされています。
投資家と事業家、立場は同じではありませんが、発想は近いか。
本多清六氏のアドバイス
以前上記記事で紹介しましたが、かつて山林、土地、株式の売買で莫大な富を築いた投資家、本多清六氏のアドバイスです。
「好景気、楽観時代は思い切った勤倹貯蓄」(すなわち金を重しとする)、
「不景気、悲観時代には思い切った投資」(すなわち物を重しとする)
(中略)
要するに利殖の根本をなすものは、「物と金」の適時交替の繰り返し
※出所:『私の財産告白』本多清六著 2005 実業之日本社
※「金を重しとする」の「金」はゴールドの金ではなく、お金、現金のこと。
※「物を重しとする」の「物」は株式や土地などの実物資産のこと
似鳥氏の言葉と非常によく似た意味合いの言葉です。
本多氏の言葉が世に出たのは1950年ごろのようです。
70年近く時はたちましたが、
好景気が続くとリスク管理が甘くなり「今大丈夫だから将来も大丈夫なはず」モードに陥って過大なリスクをとり、突然の不況到来で大ダメージを受ける。
また景気がよくなってくれば次第に気が大きくなって・・・
というある種自然で本質的な人間心理の流れに大きな変化はなく、一部、それを見抜いている事業家や投資家は
「不況期こそが大きなチャンスと捉え、景気拡大期の後半には不況に備えてキャッシュを積み上げていたりする」
という構図にも大きな変化はないのかもしれません。
株式市場の規模は好景気で膨張し不景気で収縮する傾向
※出所:https://www.world-exchanges.org/、Leading indicators - Composite leading indicator (CLI) - OECD Dataより作成 ※期間:1995.1~2019.3
いつのグラフですが「A:世界全体の株式時価総額(市場規模)」「B:世界景気の指標」を併記したグラフです。※CLIについてはコチラ
「必ず」ではありませんが、世界景気の拡大期にAは膨張する傾向があります。
世界景気の減速期にAは収縮する傾向があります。
このグラフと
「景気のいい時は投資は半分に控え、逆に不景気になったら投資を2倍にして土地も建物も積極的に取得していく。この繰り返し」
「好景気、楽観時代は思い切った勤倹貯蓄」(すなわち金を重しとする)、
「不景気、悲観時代には思い切った投資」(すなわち物を重しとする)
(中略)
要するに利殖の根本をなすものは、「物と金」の適時交替の繰り返し
という事業・投資成功者の言葉を並べてみると、資産運用において
「景気変動を意識した投資タイミングの重要性」
をわたしは意識せざるを得ません。
おわりに
一方で投資タイミングを読むことは無駄で害悪にしかならない、という発想もあります。
先のことは分からず、株価同様、景気動向が先読みできない以上、それを全否定するつもりもありませんが、わたしは基本的に
「世界景気の減速期にわざわざ大きなリスクをとりたくない」
「株価が堅調な時期は不況期に備えて体力を温存したい」
「機会損失リスクを減らしたところで価格変動リスクがついてくるのでは?」
というスタンス。
投資は人それぞれ何か目的があって行うもの。
その目的に対する相対的な「整合性」「正しさ」が存在し、一律に「正しい」投資手法はなく、自分のニーズや性格に合ったものを探求していいのでは?と思うところ。
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