世界的な景気拡大を伴う上昇相場をふりかえるシリーズ。
2000年以降の4回の上昇相場を概観します。
今回は2012年9月~2015年1月、欧州債務危機後の上昇期を取り上げます。
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4回の景気拡大期と株価について
●世界景気の指標
⇒CLI(OECD全体)
※CLIについてはコチラ↓
●主要株価
・全世界の時価総額(ドル建て)
・S&P500(米国)
・ナスダック総合(米国)
・TOPIX(日本)
・DAX30(ドイツ)
・上海総合(中国)
・Nifty 50 (インド)
とし、2000年以降の4回にわたる世界景気拡大期の株価を確認してみます。
世界景気の拡大期②:2012年9月~2015年1月
※出所:Leading indicators - Composite leading indicator (CLI) - OECD Dataより管理者作成
近年のCLIとS&P500の推移です。
欧州債務危機後の株価上昇期となるの②の期間、CLI(≒世界景気)の数値は
99.3(2012.9)⇒100.4(2015.1)
に上昇。
2012.9~2015.1の28ヶ月間(2年4ヶ月)、世界景気は拡大傾向を続け、米国株も大きく上昇していたことを示唆するグラフ。
株価の確認
この期間(2012.9~2015.1)の株価のボトム・ピーク時期と上昇幅を確認してみます。
●各国株価のボトム時期:2012.9~2012.12頃に集中
●各国株価のピーク時期:2014.12~2015.1頃に集中
●米国、ドイツの上昇率:ざっと5~7割
●日本の上昇率:ざっと10割(2倍)
●中国、インドの上昇率:ざっと7~8割
※時価総額は月末値の比較で、月中のボトムとピークを拾っておらず、他の株価指数より小さめの変動となっています
上昇率のグラフです。
日本の暴騰っぷりが際立っています。
※表とグラフの出所:https://www.world-exchanges.org/、TOPIX- Yahoo!ファイナンス、https://jp.investing.com/indices/major-indicesのデータより作成
所感①:二番底懸念の払拭
2007年10月に世界の時価総額は約63兆ドルでピークアウト。
2007年6月以降、世界景気は減速を続け2008年にリーマンショック。
2009年2月に時価総額は約29兆ドルで底を打ち、その後景気も株価を急回復。
2011年4月には時価総額は約60兆ドルに到達。
2年ちょっとで2倍に回復しました。
しかし欧州債務危機がらみで再びリスクオフ。
2012年秋ごろまでさえない時期が続き、リーマンショック後の2番底懸念がくすぶっていました。
その懸念を払拭したのが上記のような株価の上昇。
ようやくリーマンショックの恐怖から本格的に抜け出した時期だったような感じ。
所感②:約4年冬眠後の暴騰
※出所:TOPIX- Yahoo!ファイナンス、Leading indicators - Composite leading indicator (CLI) - OECD Dataより作成
CLI(世界景気)とTOPIXの推移です。
2012年9月~2015年1月にTOPIXは目の覚めるような上昇をみせました。
そこに至るには約4年にわたる長期低迷期が存在。
※出所:TOPIX- Yahoo!ファイナンス、Leading indicators - Composite leading indicator (CLI) - OECD Dataより作成
リーマンショック後、世界景気は急速に回復し、米国や新興国の株価指数は大幅に上昇しましたが、TOPIXの上昇幅は小さめ。
あまり上昇しないまま欧州債務危機や円高の到来により2012年にはリーマン後の底値並みの低水準で低迷。
出来高はふるわず、信用買い残は1兆円台前半。
※出所:トレーダーズ・ウェブより管理者作成 ※期間2001年6月1日~2019年4月12日
東証一部のPBRは0.7倍まで低下。
約4年「0.7~1.0」倍がレンジという冬の時代。
※出所:その他統計資料 | 日本取引所グループのデータより管理者作成 ※グラフの期間:1999年12月末~2019年5月末
2012年夏ごろに欧州債務危機の落ち着きもあり、世界景気は2012年秋に拡大トレンドへ。
そこに日銀の大規模金融緩和が追加され、日本株は目を見張るような暴騰となりましたが、4年の停滞期は長い。
TOPIXは2009~2012年の間「700~1000」程度のレンジで放置されていました。
「円高+世界景気減速」という投資環境は日本株への負の影響が強いと思われ、株式指数系の長期投資で日経平均やTOPIXのみ、というのはややリスキーな印象。
逆にいうと、「円高+世界景気減速」という投資環境を避けて投資すれば、日経平均やTOPIXでも大きなリターンを手にする可能性が高まるのかも。
※近年の経験則
おわりに
個人的には2012~2015年頃の日本株暴騰期に投資意欲を保持した状態で巡り合えたことはラッキーでした。
認知度が低そうな中小個別株でも猫も杓子も上昇していたようなあの熱気は今から思うと異様でしたが、相場とはそんなものなのかも。
引き続き投資環境にできるだけ逆らわず、今はボチボチ勝負、大損しないことを優先。
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