先週の米国市場を
「米国株式の割安割高を判断する目安」
になると思われる指標などで概観してみます。
ごく簡単な米国市場の概観
<先週のS&P500>
※出所:米S&P 500インデックス(SPX - Investing.com
7.5は「2990」。前週末比「+1.6%」。
2019年6月末は「2942」だったので、7月月間では+1.6%。
2018年末は「2507」で、今年は「+19.3%」。
最高値は2019年7月の「2996」で今は高値から「-0.2%」の水準。
<先週の米国10年国債利回り>
7.5は「2.04%」。前週末は「2.01%」だったので週間で利回りは上昇。
雇用統計の結果で大幅に上昇。
昨年末は「2.69%」で今年は利回りが大幅低下。
2018年で最も高かったのは10月の「3.26%」。
低かったのは1月の「2.42%」。
2018年の平均値は「2.91%」。
定点観測
以下の4つで定点観測してみます。
★恐怖指数<米国市場。S&P500の変動性>
★ジャンク債スプレッド<米国市場。クレジットスプレッドの一つ>
★S&P500のPBR<米国の代表的な株価指数のPBR>
★米国バフェット指標 <米国の時価総額÷米国の名目GDP>
恐怖指数
<ここ1年>
<先週>
7.5は「13.28」。前週の「15.08」より大幅低下。
けっこう下がってきました。
5.9の「23」が直近の高い値。
水準としては長期平均(「19.3」)より低く、米国の市場心理は
安心?
と推測。
目安の「30」以下であり、株価は割安ではなさそう。
※参考:2018年のピークの概算値
・2月:「50」
・10月:「29」
・12月:「36」
<恐怖指数について詳しくはコチラ↓>
www.yukimatu-value.com
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ジャンク債スプレッド
ジャンク債スプレッドとは
①ジャンク債スプレッド
=米国のハイ・イールド債の利回り-米国債(10年物)の利回り
②ジャンク債スプレッドが大きい⇒株式は割安傾向
③ジャンク債スプレッドが小さい⇒株式は割高傾向
④★平均値(幾何平均):3.0
★中央値:2.9
<期間:1996.12月~2019.6月の月末>
推移グラフと現在の状況判断
※出所:◎St. Louis Fed◎米国 10年 債券利回りのデータより管理者作成 ※期間:1996.12月末~2019.3月末
7.4時点のジャンク債スプレッドは「2.3」で、前週の「2.3」と変わらず。
※ジャンク債利回り「4.22%」、米国債(10年物)の利回り「1.95%」
スプレッドは長期平均「3.0」より小さく、投資家心理はやや安心?か。
株価水準としては
やや割高?
と推測。
<最近の推移>
※出所:◎St. Louis Fed◎米国 10年 債券利回りのデータより管理者作成 ※期間:2016.1月~2018.7月(7月は4日のデータ)
<ジャンク債スプレッドについて詳しくはコチラ↓>
www.yukimatu-value.com
S&P500のPBR
※出所:S&P 500 Price to Book Value
1999年末~直近のS&P500のPBRの推移です。
7.5時点の推計値は「3.51」。前週の「3.45」より大きめに上昇。
引き続き高い水準。
★ITバブルの頃のピーク(5.06)
より小さく
★サブプライムバブルの頃のピーク(2.91)
は上回る水準。
長期平均の「2.80」は上回っており、現在は
割安な水準ではなさそう
です。
※出所:S&P 500 Price to Book Value
<S&P500のPBRについて詳しくはコチラ↓>
米国バフェット指標
米国バフェット指標とは
①米国バフェット指標=米国の時価総額÷米国の名目GDP
②米国株式の割安割高を判断する目安
③1995~2017年の各年末のデータから、
★平均値:1.26
★中央値:1.32
④近年の経験則の域を出ませんが
★1.05以下は株式は割安圏?
★1.40以上は株式は割高圏? と推測⑤米国の時価総額=NYSE+Nasdaqで計算
推移グラフと現在の状況判断
米国の時価総額は2019年5月末で約「33.7兆ドル」(前月末は「34.2兆ドル」)。
前月より減少。
2019年5月末の米国バフェット指標は「1.58」(前月末は「1.60」)。
現在、割高圏の目安「1.4」を上回っていると推測され、4月末時点の米国株式は
割高圏?
と推測。
※データ出所:https://www.world-exchanges.org/、世界経済のネタ帳のデータより作成
※2019年米国名目GDP:21.34兆ドル(IMF推計)。2018年は20.49兆ドル
米国バフェット指標について詳しくはコチラ↓
現時点での米国市場の割高割安、4つの指標からの推測、まとめ
あくまで経験的な判断ですが、現時点で各指標が示唆する株式の割安、割高の判断をまとめます。
★恐怖指数⇒割安ではなさそう
★ジャンク債スプレッド⇒やや割高?(割安ではなさそう)
★S&P500のPBR⇒割安ではなさそう
★米国バフェット指標 ⇒割高圏?
総合的に判断すると、わたしは米国株式は
割高?
と推測。
現時点での米国株の長期投資のタイミングとしては
①リスク資産の資産配分が大きくなりすぎていれば、所定の配分に戻す
②資産配分において、株式の配分比率を減らす
③資産配分において、現金の配分比率を増やす
④長期投資を一時やめる(投資をやめる機会を探している場合)
のに適す時期だと考えています。単なる経験則ですが。
※概ね10年以上を想定した長期投資に関する一つの判断です。短期、中期的な投資には役立たない可能性が高いです
※基本的にできるだけ「割高な時期に株を売り、割安な時期に株を買う」という判断に基づいています
※単なる個人の感想です。未来は誰にも予知できません。投資は自己判断、自己責任で
ITバブル、サブプライムバブル、現在のデータ比較
※表のデータ出所 ・世界のバフェット指標:GLOBAL NOTE、https://www.world-exchanges.org/ ・OECD景気先行指数:OECD Data ・シラーPER:Shiller PE Ratio ・失業率:US Unemployment Rate ・実質経済成長率:BEA National Economic Accounts ・長短金利差:米国債・金利 - Bloomberg
割高度合いが増した先週の動き。
・「恐怖指数」:低めの数字
・「S&P500のPBR」「シラーPER」:高水準
・長短金利差:最近「10y-2y」の金利差は拡大傾向でしたが先週は大きく縮小。「10y-3m」などは引き続き逆転中
・S&P500の200日移動平均からのかい離率:直近(7/5)で7.61%上方にあり、わりと高い水準。「+10%かい離」までいくとけっこう珍しい局面ですが、どこまで伸びるでしょうか
おわりに
今週から「S&P500の200日移動平均からのかい離率」のデータも載せてみました。
S&P500の200日移動平均はトレンドも上向き。
とりあえず強いので6月以降、5月の下げを受けて安易に空売りに偏ると厳しかった局面。
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