先週の米国市場を
「米国株式の割安割高を判断する目安」
になると思われる指標などで概観してみます。
ごく簡単な米国市場の概観
<先週のS&P500>
※出所:米S&P 500インデックス(SPX - Investing.com
8.2は「2932」。前週末比「-3.1%」。
7月月間では+1.3%。
2019年7月末は「2980」だったので、8月は「-1.6%」。
2018年末は「2507」で、今年は「+17.0%」。
最高値は2019年7月の「3028」で今は高値から「-3.2%」の水準。
<先週の米国10年国債利回り>
8.2は「1.84%」。前週末は「2.07%」だったので週間で利回りは急低下。
昨年末は「2.69%」で今年は利回りが大幅低下。
2018年で最も高かったのは10月の「3.26%」。
低かったのは1月の「2.42%」。
2018年の平均値は「2.91%」。
定点観測
以下の4つで定点観測してみます。
★恐怖指数<米国市場。S&P500の変動性>
★ジャンク債スプレッド<米国市場。クレジットスプレッドの一つ>
★S&P500のPBR<米国の代表的な株価指数のPBR>
★米国バフェット指標 <米国の時価総額÷米国の名目GDP>
恐怖指数
<ここ1年>
<先週>
8.2は「17.61」。前週の「12.16」より大きめに上昇。
先週は一時「20」近くまで上昇。
5.9の「23」が直近の高い値。
水準としては長期平均(「19.3」)より低く、米国の市場心理は
ふつう~やや安心?
と推測。
目安の「30」以下であり、株価は割安ではなさそう。
※参考:2018年の高い値(概算値)
・2月:「50」
・10月:「29」
・12月:「36」
<恐怖指数について詳しくはコチラ↓>
www.yukimatu-value.com
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ジャンク債スプレッド
ジャンク債スプレッドとは
①ジャンク債スプレッド
=米国のハイ・イールド債の利回り-米国債(10年物)の利回り
②ジャンク債スプレッドが大きい⇒株式は割安傾向
③ジャンク債スプレッドが小さい⇒株式は割高傾向
④★平均値(幾何平均):3.0
★中央値:2.9
<期間:1996.12月~2019.7月の月末>
推移グラフと現在の状況判断
※出所:◎St. Louis Fed◎米国 10年 債券利回りのデータより管理者作成 ※期間:1996.12月末~2019.3月末
8.1時点のジャンク債スプレッドは「2.4」で、前週の「2.1」から大きめに拡大。
※ジャンク債利回り「4.25%」、米国債(10年物)の利回り「1.90%」
スプレッドは長期平均「3.0」より小さく、投資家心理はやや安心?か。
株価水準としては
やや割高?
と推測。
<最近の推移>
※出所:◎St. Louis Fed◎米国 10年 債券利回りのデータより管理者作成 ※期間:2016.1月~2018.7月
<ジャンク債スプレッドについて詳しくはコチラ↓>
www.yukimatu-value.com
S&P500のPBR
※出所:S&P 500 Price to Book Value
1999年末~直近のS&P500のPBRの推移です。
8.2時点の推計値は「3.38」。前週の「3.55」より大きめに低下するも引き続き高い水準。
★ITバブルの頃のピーク(5.06)
より小さく
★サブプライムバブルの頃のピーク(2.91)
は上回る水準。
長期平均の「2.80」は上回っており、現在は
割安な水準ではなさそう
です。
※出所:S&P 500 Price to Book Value
<S&P500のPBRについて詳しくはコチラ↓>
米国バフェット指標
米国バフェット指標とは
①米国バフェット指標=米国の時価総額÷米国の名目GDP
②米国株式の割安割高を判断する目安
③1995~2018年の各年末のデータから、
★平均値:1.26
★中央値:1.32
④近年の経験則の域を出ませんが
★1.05以下は株式は割安圏?
★1.40以上は株式は割高圏? と推測⑤米国の時価総額=NYSE+Nasdaqで計算
推移グラフと現在の状況判断
米国の時価総額は2019年6月末で約「35.9兆ドル」(前月末は「33.7兆ドル」)。
前月より大幅な増加。過去最高水準。
※過去最高は2018.8月の約「36.2兆ドル」
2019年6月末の米国バフェット指標は「1.68」(前月末は「1.58」)。
現在、割高圏の目安「1.4」を上回っていると推測され、4月末時点の米国株式は
割高圏?
と推測。
※データ出所:https://www.world-exchanges.org/、世界経済のネタ帳のデータより作成
※2019年米国名目GDP:21.34兆ドル(IMF推計)。2018年は20.49兆ドル
米国バフェット指標について詳しくはコチラ↓
現時点での米国市場の割高割安、4つの指標からの推測、まとめ
あくまで経験的な判断ですが、現時点で各指標が示唆する株式の割安、割高の判断をまとめます。
★恐怖指数⇒割安ではなさそう
★ジャンク債スプレッド⇒やや割高?(割安ではなさそう)
★S&P500のPBR⇒割安ではなさそう
★米国バフェット指標 ⇒割高圏?
総合的に判断すると、わたしは米国株式は
割高?
と推測。
現時点での米国株の長期投資のタイミングとしては
①リスク資産の資産配分が大きくなりすぎていれば、所定の配分に戻す
②資産配分において、株式の配分比率を減らす
③資産配分において、現金の配分比率を増やす
④長期投資を一時やめる(投資をやめる機会を探している場合)
のに適す時期だと考えています。単なる経験則ですが。
※概ね10年以上を想定した長期投資に関する一つの判断です。短期、中期的な投資には役立たない可能性が高いです
※基本的にできるだけ「割高な時期に株を売り、割安な時期に株を買う」という判断に基づいています
※単なる個人の感想です。未来は誰にも予知できません。投資は自己判断、自己責任で
ITバブル、サブプライムバブル、現在のデータ比較
※表のデータ出所 ・世界のバフェット指標:GLOBAL NOTE、https://www.world-exchanges.org/ ・OECD景気先行指数:OECD Data ・シラーPER:Shiller PE Ratio ・失業率:US Unemployment Rate ・実質経済成長率:BEA National Economic Accounts ・長短金利差:米国債・金利 - Bloomberg ・かい離率:米S&P 500インデックス(SPX - Investing.com
引き続き割高っぽい米国株。
・「S&P500のPBR」:高水準
・「シラーPER」:高めですが節目の30を下回る
・「長短金利差」:縮小傾向
・「S&P500の200日移動平均からのかい離率」:8/2は「+5.08%」(7/26は8.64%)で上方かい離率が低下
おわりに
※出所:米S&P 500インデックス(SPX - Investing.comより作成
S&P500の200日移動平均からのかい離率、最近の4回のピーク(最も大きな上方かい離率の概算値)を示しています。
今回の株高局面では2019.7.26が今のところピークで、今はピークから3.5%程度下げたところ。
このまま下げるのか、また復活するのかは全く不明ですが、2018年2月以降、
★移動平均付近まで下げる
あるいは
★移動平均を大きく下回る
機会が増加傾向。
少なくとも2017年のような安定的な上方かい離率を維持できている相場ではない印象。
S&P500は昨年末、約7ヶ月前と比べると17%程度上昇していますが、2018年1月のピーク「2873」と比べると1年半程度経過した現在、わずか2%程度の上昇にとどまっている、という言い方もできなくはない。
いつと比べるかで市場の印象は大きく変わりますね。
※先のことは不明です。投資は自己責任でお願い致します
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