為替レートの水準を推し量る一つの視点「実質実効為替レート」でドル水準を見てみます。
実質実効為替レートを確認するメリット
名目レートだけでなく「インフレ変動」や「貿易額」で調整を施した為替レート(=実質実効為替レート)も知っておくことで、現在の為替レートの水準を知る手掛かりになる、かも
実質実効為替レートとは
2019.9.23現在「1ドル=107.5円程度」のレートは「名目レート」です。
実質実効為替レートの「実質」は
「実質」→「インフレ変動(物価変動)で調整した」
の意味。
また、実質実効為替レートの
「実効」→「貿易額などに応じて加重平均して算出した」
の意味。
実質実効為替レートは単純な名目レートではなく、
各国のインフレ変動や貿易額に応じた調整を施した為替レート
のことで、一般的な名目レートでは把握しにくい
通貨の「実力」を推し量る指標
とする人もいます。
※詳しくは
●コトバンク:実質実効為替レート(ジッシツジッコウカワセレート)とは
●金融情報サイト:実効為替レート
●マネー研究所:実質実効レートで「円の真の実力」を知る
などを参照ください。
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実質実効為替レートの使い方の一例
一般的にはレートが高い方が通貨高、低い方が通貨安を意味します。
個人的な用い方で正しいかどうかはわかりませんが、わたしは一つの目安として、長期的な
「実質実効為替レート平均値」と「現在値」のズレ
を確認し、通貨の割安割高の目安として用いています。
●長期的な平均値より高い⇒通貨高?
●長期的な平均値の同じくらい⇒ふつう?
●長期的な平均値より低い⇒通貨安?
※適切な使い方かどうかは知りません
ドルの実質実効為替レートの推移
※出所:Real Broad Effective Exchange Rate for United States | FRED | St. Louis Fedより作成 ※グラフ期間:1994.1月~2019.8月
1994年以降の推移です。
この期間の
●長期平均:109.3<オレンジのライン>
●中央値:109.6
です。
概ね「110程度」を中心とした「100~120」の範囲にあることが多いですが、逸脱している時期もあります。
※出所:Real Broad Effective Exchange Rate for United States | FRED | St. Louis Fedより作成 ※グラフ期間:1994.1月~2019.2月
●赤枠の時期⇒ドル高の時期?
●青枠の時期⇒ドル安の時期?
かも。
ドルの実質実効為替レートの現在
※出所:Real Broad Effective Exchange Rate for United States | FRED | St. Louis Fedより作成 ※グラフ期間:1994.1月~2019.8月
2019.8月のドルの実質実効為替レートは「118.67」でした。
長期平均:109.3
と比べると約8.6%高いところにあり、どちらかというと
ドル高
か。
10年移動平均からの視点
※出所:Real Broad Effective Exchange Rate for United States | FRED | St. Louis Fedより作成 ※グラフ期間:1994.1月~2019.8月
1994年からの長期平均ではなく10年移動平均からみたグラフ。
2014年11月以降5年近く10年移動平均の上方にあり、現在は+12.4%水準。
現在この視点でもドル高か?
おわりに
個人的な推測ですが、量的縮小を終了し利下げを開始しているFRBが今後もし量的緩和を再開した場合、長期的にはドル安にシフトしやすい、かもしれません。
この点についてはまた別の記事で。
とりあえず長期的な実質実効為替レート的にはドル高っぽい現状。
ドル建て資産を買う絶好のチャンス(1995年、2011年頃のような)ではなさそうな雰囲気。
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