ユキマツの「長期投資のタイミング」

「景気(企業利益動向)」「中銀の金融政策(金利動向)」「投資家のリスク許容度」などから長期投資のタイミングを探る投資ブログ

米国景気は持ちこたえられるか② クレジットスプレッド

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昨年後半は下火だった「米国景気に対する悲観論」がやや増えてきた模様。

「米国景気は持ちこたえられるか」

をテーマに米国社債のクレジットスプレッドを見てみます。

クレジットスプレッドとは

★信用力の差⇒利回りの差=クレジットスプレッド

★クレジットスプレッド=信用力の低い債券利回り-信用力の高い債券利回り

たとえば、債券が償還されるまでの期間が同じ社債と国債があり、社債の利回りが5%、その国の国債利回りが2%であった場合、

5%-2%=3%

がクレジットスプレッドです。

クレジットスプレッドの一つの使い方に

★クレジットスプレッドが縮小するとき(小さくなるとき)

⇒投資家心理は安心・楽観傾向、リスク許容度は高い

⇒株式などのリスク資産は割高傾向

★クレジットスプレッドが拡大するとき(大きくなるとき)

⇒投資家心理は不安・悲観傾向、リスク許容度は低い

⇒株式などのリスク資産は割安傾向

があります。

経験的には株式の割安水準や投資家のリスク許容度を探るうえで一つの目安になりそうな指標です

Baa社債とのクレジットスプレッドと景気後退

Baa社債とのスプレッド

⇒「米国の社債(ムディーズ格付けBaa。中等度のリスク)」と「米国債(10年物)」の利回りの差

を確認してみます。

<1986年以降>

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※出所:https://fred.stlouisfed.org/series/BAA10Y ※グレーは景気後退期

1991年頃の景気後退期はそれほどでもありませんが、2001年、2008年頃の景気後退期にはスプレッドは大きく拡大しています。

現在、スプレッドは急拡大しており、スプレッドの拡大傾向が今後も続くなら景気後退リスクは高まる、というのが過去の経験則。

クレジットスプレッドが拡大する時期は一応警戒

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※出所:
https://fred.stlouisfed.org/series/BAA10Yより作成 ※グレーは景気後退期

米国が景気後退に陥らなくても、クレジットスプレッドの拡大期には総じてよくないことが起きています。

順に左から

ITバブル崩壊⇒サブプライムバブル崩壊⇒欧州債務危機⇒チャイナショック⇒今回の下落相場

です。

今回は途中で昨年のFRB予防的利下げなどに起因するリスクオン相場を挟んだためわかりにくくなっていましたが、クレジットスプレッドは2018年1月あるいは2018年9月頃をボトムにじんわりと拡大傾向ではありました。

3月10日時点で「2.93%」となっており、この期間の長期平均を大きく上回っています。

概ね

「3.4%以上」

が過去4回のリスクオフ時期のピーク。

今回、そこまで到達するのか、早めに収まるかは不明ですが、この指標だと

「3.4%以上の水準でスプレッドがピークアウトし、その後縮小トレンドらしき動きをみせる時期」

というのは一つの魅力的な投資タイミングかも。

もちろんそれがだましの動きでまんまとだまされ、長い下落相場につかまる可能性もありますが、縮小トレンド中のスプレッドが小さい時期に株を買うよりはよさそうな投資タイミングか。

おわりに

クレジットスプレッドにはBaa社債だけではなくさまざまな格付けのものがあるようです。

例えばCCC以下社債のスプレッド。

<1996年12月以降>

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※出所:ICE BofA CCC & Lower US High Yield Index Option-Adjusted Spread (BAMLH0A3HYC) | FRED | St. Louis Fedより作成

概算値でスプレッド拡大期のピーク値。

●ITバブル崩壊:25%

●サブプライムバブル崩壊:37%

●欧州債務危機:15%

●チャイナショック:20%

●今回の下落相場(2020.3.10まで):14%

です。

この指標ではすでにそこそこの水準まで拡大していることが確認できます。

今後

●米国が景気後退⇒25%以上?

●単なる景気後退ですまず金融危機も起きる?⇒35%以上?

というネガティブストーリーも無きにしもあらずですが、先行きは不明。

コロナショックが一時的なものですむなら、おそらくこのスプレッドも早めに縮小してくるハズですし、スプレッドが高水準で推移、あるいは拡大の一途をたどるならまだまだ安心できないことになりそう。

また米国のハイイールド債ETFの価格推移も参考になる指標か。

ハイイールド債ETFが下落を続けるならリスクオフ継続。

持ち直すなら希望の光。

2.22以降で12%ほど下げています。

リーマンショックの頃は4割ほど下げていたようです。

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jp.investing.com

投資スタンスにもよりますが、下手な予測に頼るよりもポジションを軽めにしておき、クレジットスプレッド、景気動向、市場全体のPBR等々の指標を確認して情勢判断しつつ、未来のポートフォリオの構成を考え、徐々に構築していくのが下落相場への一つの対応法か。

今のところクレジットスプレッドはよくない方向に向かっている模様。

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