先週の米国市場を
「米国株式の割安割高を判断する目安」
になると思われる指標などで概観してみます。
ごく簡単な米国市場の概観
<先週のS&P500>
※出所:米S&P 500インデックス(SPX - Investing.com
12.4は「3700」。前週比「+4.0%」。
11月月間では「+10.8%」でした。
最高値は2020年12月の「3699.6」で高値更新中。
<先週の米国10年国債利回り>
12.4は「0.97%」。前週の「0.84%」より大きく上昇。
しばらく0.6~0.7%台でうろうろしていましたが、少し上がってきているもよう。
株高、債券安、ドル安の先週。
定点観測
以下の4つで定点観測してみます。
★恐怖指数<米国市場。S&P500の変動性>
★ジャンク債スプレッド<米国市場。クレジットスプレッドの一つ>
★S&P500のPBR<米国の代表的な株価指数のPBR>
★米国バフェット指標 <米国の時価総額÷米国の名目GDP>
恐怖指数
<1990年~>
<先週>
12.4は「20.79」。前週の「20.84」とほぼ変わらず。
だいぶ下がってきました。
水準としては長期平均(「19.3」)よりやや高く、米国の市場心理は
ふつう~やや不安?
と推測。
割安時期の目安の「30」より低い水準。
※参考:2018年以降の高い値(場中含む。概算値)
・2018.2月:「50」
・2018.12月:「36」
・2020.3月:「85」
・2020.10月:「41」
<恐怖指数について詳しくはコチラ↓>
www.yukimatu-value.com
スポンサーリンク
ジャンク債スプレッド
ジャンク債スプレッドとは
①ジャンク債スプレッド
=米国のハイ・イールド債(格付け:BB)の利回り-米国債(10年物)の利回り
※本記事ではオプション調整後
②ジャンク債スプレッドが大きい⇒株式は割安傾向
③ジャンク債スプレッドが小さい⇒株式は割高傾向
④★平均値(幾何平均):3.4
★中央値:3.3
<期間:1997.1月~2020.10月の月末>
⑤5%以上のスプレッドの時期に株価は概ね割安か?
推移グラフと現在の状況判断
<1997年以降>
※出所:ICE BofAML US High Yield BB Option-Adjusted Spread (BAMLH0A1HYBB) | FRED | St. Louis Fedより作成 ※期間:1997.1月末~2020.12.3
2020.12.3時点のジャンク債スプレッド(%。格付けBB、オプション調整後)は「2.92」で、前週の「3.06」より縮小。
ここ2週で「3.17⇒2.92」と大幅に楽観の度合いを深めています。
スプレッドの長期中央値は「3.2」で今は中央値よりやや低く投資家心理は
やや楽観?
か。
<ここ1年>
※出所:ICE BofAML US High Yield BB Option-Adjusted Spread (BAMLH0A1HYBB) | FRED | St. Louis Fedより作成
●FRB、無制限の量的緩和(2020.3.23頃)
●FRB、ジャンク債(BB格まで)を購入(2020.4.9頃)
というアナウンスを契機に今のところBB格の大幅なスプレッド拡大を押さえ込めている印象。
<ジャンク債スプレッドについて詳しくはコチラ↓>
www.yukimatu-value.com
S&P500のPBR
※出所:S&P 500 Price to Book Valueより作成
1999年末~直近のS&P500のPBRの推移です。
12.4時点の推計値は「4.10」(前週は「4.03」)倍で前週より上昇。
直近ピークは9.2の「4.04」倍でしたが、先週9月を超えてきました。
ITバブル(5.06倍)以来の高水準。
長期の中央値「2.78」を47%ほど上回っており、株価水準は
割高
か。
※最近のS&P500の高PBR
①2018.1.26:3.60倍(直近で世界景気が最もよかった時期)
②2018.9.21:3.51倍(直近で米国の経済成長率が最も高かった時期)
③2020.1.17:3.76倍(コロナ前、2019年9月以降の世界景気拡大期のピーク)
④2020.12.4:4.10倍(コロナ後のリバウンド)
※出所:S&P 500 Price to Book Value
<S&P500のPBRについて詳しくはコチラ↓>
米国バフェット指標
米国バフェット指標とは
①米国バフェット指標=米国の時価総額÷米国の名目GDP
②米国株式の割安割高を判断する目安
③米国の時価総額=NYSE+Nasdaqで計算
推移グラフと現在の状況判断
米国の時価総額は2020年9月末で約「36.0兆ドル」。
米国バフェット指標は「1.70」。
今のS&P500は9月末(3363)より10%ほど高い水準。
長期の米国バフェット指標の中央値「1.33」より大幅に高い可能性が高く、株価水準は
割高?
か。
※2020年2~3月のWFEの米国時価総額データは誤りである可能性が高く、今は使用せず。2020年9月データからの適当な推測です。ご参考までに
※データ出所:https://www.world-exchanges.org/、世界経済のネタ帳、Gross Domestic Product (GDP) | FRED | St. Louis Fedのデータより作成
※2020年3Q米国名目GDP推計値:21.16兆ドル
米国バフェット指標について詳しくはコチラ↓
現時点での米国市場の割高割安、4つの指標からの推測、まとめ
あくまで経験的な判断ですが、現時点で各指標が示唆する株式の割安、割高の判断をまとめます。
★恐怖指数⇒割安ではない?
★ジャンク債スプレッド⇒割安ではない?
★S&P500のPBR⇒割高?
★米国バフェット指標 ⇒割高?
以上から米国株の水準は
割高?
と推測。
現時点での米国株の投資タイミングに関しては
ややネガティブ~ネガティブ?
な印象。
※個人の直感、感想です。先のことは不明。投資は自己判断、自己責任で
最近のバブル崩壊後の株価低迷期と現在のデータ比較
※表のデータ出所 ・世界のバフェット指標:GLOBAL NOTE、https://www.world-exchanges.org/ ・OECD景気先行指数:OECD Data ・シラーPER:Shiller PE Ratio ・失業率:US Unemployment Rate ・実質経済成長率:BEA National Economic Accounts ・長短金利差:米国債・金利 - Bloomberg ・かい離率:米S&P 500インデックス(SPX - Investing.com
引き続き割高っぽい状況。
・ジャンク債スプレッド:債券市場の楽観度合強まる
・S&P500のPBR、シラーPER:高水準
・長短金利差:やや拡大傾向
おわりに
引き続き債券市場における楽観モードが進行。
健全なアニマルスピリットの発現か、たんなる油断か。
※出所:Shiller PE Ratio by Monthより作成
上記はS&P500のシラーPER。
今は約34倍で、2018年1月の「33.31」倍を抜いてITバブル時の1999年12月の「44.19」倍に次ぐ高水準。
相場は割高あるいは割安でも、数年にわたってその状態を維持したり、さらにその度合いを強めたりする可能性がある
の言葉通り、近未来の展開は全く不明ですが、含み益が増えているということを根拠に無理にリスク許容度を上げて、リスク資産に突っ込みすぎなくてもいいかと感じる株価水準。
こんな記事も