ユキマツの「長期投資のタイミング」

「景気(企業利益動向)」「中銀の金融政策(金利動向)」「投資家のリスク許容度」などから長期投資のタイミングを探る投資ブログ

新境地へ ~米国市場の概況~

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先週の米国市場を

「米国株式の割安割高を判断する目安」

になると思われる指標などで概観してみます。

ごく簡単な米国市場の概観

<先週のS&P500>

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※出所:米S&P 500インデックス(SPX - Investing.com

12.18は「3709」。前週比「+1.3」。

12月月間では「+2.4%」。

最高値は2020年12月の「3727」で今は高値から「-0.5%」の水準。

<先週の米国10年国債利回り>

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※出所:米国 10年 | 米国 10年 債券利回り

12.18は「0.95%」。前週の「0.90%」より上昇。

しばらく0.6~0.7%台でうろうろしていましたが、少し上がってきているもよう。

「株高、債券安、ドル安」の先週。

定点観測

以下の4つで定点観測してみます。

恐怖指数<米国市場。S&P500の変動性>

ジャンク債スプレッド<米国市場。クレジットスプレッドの一つ>

S&P500のPBR<米国の代表的な株価指数のPBR>

米国バフェット指標 <米国の時価総額÷米国の名目GDP>

恐怖指数

<1990年~>

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<先週>

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※出所:S&P 500 VIXインデックス

12.18は「21.57」。前週の「23.31」より低下。

水準としては長期平均(「19.3」)よりやや高く、米国の市場心理は

ふつう~やや不安?

と推測。

割安時期の目安の「30」より低い水準。

※参考:2018年以降の高い値(場中含む。概算値)

・2018.2月:「50」

・2018.12月:「36」

・2020.3月:「85

・2020.10月:「41」

<恐怖指数について詳しくはコチラ↓>

www.yukimatu-value.com
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ジャンク債スプレッド

ジャンク債スプレッドとは

①ジャンク債スプレッド

米国のハイ・イールド債(格付け:BB)の利回り-米国債(10年物)の利回り

※本記事ではオプション調整後

②ジャンク債スプレッドが大きい⇒株式は割安傾向

③ジャンク債スプレッドが小さい⇒株式は割高傾向

④★平均値(幾何平均):3.4

 ★中央値:3.3

<期間:1997.1月~2020.11月の月末>

5%以上のスプレッドの時期に株価は概ね割安か?

推移グラフと現在の状況判断

<1997年以降>

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※出所:ICE BofAML US High Yield BB Option-Adjusted Spread (BAMLH0A1HYBB) | FRED | St. Louis Fedより作成 ※期間:1997.1月末~2020.12.17
2020.12.17時点のジャンク債スプレッド(%。格付けBB、オプション調整後)は「2.93」で、前週の「2.92」とほぼ変わらず。

ここ2週あまり動かず。

スプレッドの長期中央値は「3.2」で今は中央値よりやや低く投資家心理は

やや楽観?

か。

<ここ1年>

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※出所:
ICE BofAML US High Yield BB Option-Adjusted Spread (BAMLH0A1HYBB) | FRED | St. Louis Fedより作成  

●FRB、無制限の量的緩和(2020.3.23頃)

●FRB、ジャンク債(BB格まで)を購入(2020.4.9頃)

というアナウンスを契機に今のところBB格の大幅なスプレッド拡大を押さえ込めている印象。

<ジャンク債スプレッドについて詳しくはコチラ↓>
www.yukimatu-value.com

S&P500のPBR

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※出所:S&P 500 Price to Book Valueより作成

1999年末~直近のS&P500のPBR推移。

12.18時点の推計値は「4.11」(前週は「4.06」)倍で前週より上昇。

ITバブル(5.06倍)以来の高水準。

直近ピークは12.17の「4.13」倍。

長期の中央値「2.78」を48%ほど上回っており、株価水準は

割高

か。

※最近のS&P500の高PBR

①2018年1月:3.60倍(直近で世界景気が最もよかった時期)

②2018年9月:3.51倍(直近で米国の経済成長率が最も高かった時期)

③2020年1月:3.76倍(コロナ前、2019年9月以降の世界景気拡大期のピーク)

④2020年12月:4.13倍(コロナ後のリバウンド)

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※出所:
S&P 500 Price to Book Value

<S&P500のPBRについて詳しくはコチラ↓>

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米国バフェット指標

米国バフェット指標とは

①米国バフェット指標=米国の時価総額÷米国の名目GDP

②米国株式の割安割高を判断する目安

③米国の時価総額=NYSE+Nasdaqで計算

推移グラフと現在の状況判断

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※出所:グローバルノートWFEのデータより管理者作成 ※期間:1995年末~2019年末 

米国の時価総額は2020年10月末で約「38.5兆ドル」。

米国バフェット指標は「1.82」。

今のS&P500は10月末(3270)より13%ほど高い水準。

長期の米国バフェット指標の中央値「1.33」より大幅に高い可能性が高く、株価水準は

割高?

か。

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※データ出所:https://www.world-exchanges.org/世界経済のネタ帳Gross Domestic Product (GDP) | FRED | St. Louis Fedのデータより作成

※2020年3Q米国名目GDP推計値:21.16兆ドル

米国バフェット指標について詳しくはコチラ↓

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現時点での米国市場の割高割安、4つの指標からの推測、まとめ

あくまで経験的な判断ですが、現時点で各指標が示唆する株式の割安、割高の判断をまとめます。

恐怖指数⇒割安ではない?

ジャンク債スプレッド⇒割安ではない?

S&P500のPBR⇒割高?

 ★米国バフェット指標 ⇒割高?

以上から米国株の水準は

割高?

と推測。

現時点での米国株の投資タイミングに関しては

ややネガティブ~ネガティブ

な印象。

※個人の直感、感想です。先のことは不明。投資は自己判断、自己責任で

最近のバブル崩壊後の株価低迷期と現在のデータ比較

※表のデータ出所 ・世界のバフェット指標:GLOBAL NOTEhttps://www.world-exchanges.org/ ・OECD景気先行指数:OECD Data ・シラーPER:Shiller PE Ratio ・失業率:US Unemployment Rate ・実質経済成長率:BEA National Economic Accounts ・長短金利差:米国債・金利 - Bloomberg ・かい離率:米S&P 500インデックス(SPX - Investing.com

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引き続き割高っぽい状況。

・S&P500のPBR、シラーPER:高水準

おわりに

先週S&P500のPBRは「4.13」倍を記録。

ITバブル後の高値を更新し新境地へ。

今は長期の中央値(2.78倍)を約48%上回る水準。

誰も適正水準をリアルタイムで知り得ない株式市場の面白さ。

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