先週の米国市場を
「米国株式の割安割高を判断する目安」
になると思われる指標などで概観してみます。
ごく簡単な米国市場の概観
<先週のS&P500>
※出所:米S&P 500インデックス(SPX - Investing.com
12.25は「3703」。前週比「-0.2%」。
12月月間では「+2.3%」。
最高値は2020年12月の「3726」で今は高値から「-0.6%」の水準。
<先週の米国10年国債利回り>
12.25は「0.93%」。前週の「0.95%」よりやや低下。
しばらく0.6~0.7%台でうろうろしていましたが、少し上がってきているもよう。
「株はトントン、やや債券高、ややドル高」の先週。
定点観測
以下の4つで定点観測してみます。
★恐怖指数<米国市場。S&P500の変動性>
★ジャンク債スプレッド<米国市場。クレジットスプレッドの一つ>
★S&P500のPBR<米国の代表的な株価指数のPBR>
★米国バフェット指標 <米国の時価総額÷米国の名目GDP>
恐怖指数
<1990年~>
<先週>
12.25は「21.53」。前週の「21.57」よりやや低下。
水準としては長期平均(「19.3」)よりやや高く、米国の市場心理は
ふつう~やや不安?
と推測。
割安時期の目安の「30」より低い水準。
※参考:2018年以降の高い値(場中含む。概算値)
・2018.2月:「50」
・2018.12月:「36」
・2020.3月:「85」
・2020.10月:「41」
<恐怖指数について詳しくはコチラ↓>
www.yukimatu-value.com
スポンサーリンク
ジャンク債スプレッド
ジャンク債スプレッドとは
①ジャンク債スプレッド
=米国のハイ・イールド債(格付け:BB)の利回り-米国債(10年物)の利回り
※本記事ではオプション調整後
②ジャンク債スプレッドが大きい⇒株式は割安傾向
③ジャンク債スプレッドが小さい⇒株式は割高傾向
④★平均値(幾何平均):3.4
★中央値:3.3
<期間:1997.1月~2020.11月の月末>
⑤5%以上のスプレッドの時期に株価は概ね割安か?
推移グラフと現在の状況判断
<1997年以降>
※出所:ICE BofAML US High Yield BB Option-Adjusted Spread (BAMLH0A1HYBB) | FRED | St. Louis Fedより作成 ※期間:1997.1月末~2020.12.23
2020.12.23時点のジャンク債スプレッド(%。格付けBB、オプション調整後)は「2.92」で、前週の「2.93」とほぼ変わらず。
ここ3週あまり動かず、ここからどっちに向かうか。
スプレッドの長期中央値は「3.2」で今は中央値よりやや低く投資家心理は
やや楽観?
か。
<ここ1年>
※出所:ICE BofAML US High Yield BB Option-Adjusted Spread (BAMLH0A1HYBB) | FRED | St. Louis Fedより作成
●FRB、無制限の量的緩和(2020.3.23頃)
●FRB、ジャンク債(BB格まで)を購入(2020.4.9頃)
というアナウンスを契機に今のところBB格の大幅なスプレッド拡大を押さえ込めている印象。
<ジャンク債スプレッドについて詳しくはコチラ↓>
www.yukimatu-value.com
S&P500のPBR
※出所:S&P 500 Price to Book Valueより作成
1999年末~直近のS&P500のPBR推移。
12.25時点の推計値は「4.11」(前週は「4.11」)倍で前週と変わらず。
ITバブル(5.06倍)以来の高水準。
直近ピークは12.17の「4.13」倍。
長期の中央値「2.78」を48%ほど上回っており、株価水準は
割高
か。
※最近のS&P500の高PBR
①2018年1月:3.60倍(直近で世界景気が最もよかった時期)
②2018年9月:3.51倍(直近で米国の経済成長率が最も高かった時期)
③2020年1月:3.76倍(コロナ前、2019年9月以降の世界景気拡大期のピーク)
④2020年12月:4.13倍(コロナ後のリバウンド)
※出所:S&P 500 Price to Book Value
<S&P500のPBRについて詳しくはコチラ↓>
米国バフェット指標
米国バフェット指標とは
①米国バフェット指標=米国の時価総額÷米国の名目GDP
②米国株式の割安割高を判断する目安
③米国の時価総額=NYSE+Nasdaqで計算
推移グラフと現在の状況判断
米国の時価総額は2020年10月末で約「38.5兆ドル」。
米国バフェット指標は「1.82」。
今のS&P500は10月末(3270)より13%ほど高い水準。
長期の米国バフェット指標の中央値「1.33」より大幅に高い可能性が高く、株価水準は
割高?
か。
※データ出所:https://www.world-exchanges.org/、世界経済のネタ帳、Gross Domestic Product (GDP) | FRED | St. Louis Fedのデータより作成
※2020年3Q米国名目GDP推計値:21.16兆ドル
米国バフェット指標について詳しくはコチラ↓
現時点での米国市場の割高割安、4つの指標からの推測、まとめ
あくまで経験的な判断ですが、現時点で各指標が示唆する株式の割安、割高の判断をまとめます。
★恐怖指数⇒割安ではない?
★ジャンク債スプレッド⇒割安ではない?
★S&P500のPBR⇒割高?
★米国バフェット指標 ⇒割高?
以上から米国株の水準は
割高?
と推測。
現時点での米国株の投資タイミングに関しては
ややネガティブ~ネガティブ?
な印象。
※個人の直感、感想です。先のことは不明。投資は自己判断、自己責任で
最近のバブル崩壊後の株価低迷期と現在のデータ比較
※表のデータ出所 ・世界のバフェット指標:GLOBAL NOTE、https://www.world-exchanges.org/ ・OECD景気先行指数:OECD Data ・シラーPER:Shiller PE Ratio ・失業率:US Unemployment Rate ・実質経済成長率:BEA National Economic Accounts ・長短金利差:米国債・金利 - Bloomberg ・かい離率:米S&P 500インデックス(SPX - Investing.com
引き続き割高っぽい状況。
・S&P500のPBR、シラーPER:高水準
おわりに
先週は4営業日ということもありますが、日本と同様動きに乏しかった米国市場。
引き続き株価が割高っぽい状況は変わらず。
ジャンク債スプレッドもここ3週あまり動かず、静かな年末、となるかどうか。