主に2021年4月末のデータから米国リートの割安割高を探ってみます。
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米国リートスプレッド
米国リートの割安割高の判断の目安の一つとしてわたしは米国リート(IYR)と米国の長期国債利回りの差(スプレッド)を確認しています。
本記事では
「IYRの平均利回り-米国国債利回り(10年物)」
のことを「米国リートスプレッド」とします。
クレジットスプレッドと同じような発想で、「米国リートの利回り」と「長期国債の利回りの差」が
・大きいほど米国リートは割安
・小さいほど米国リートは割高
とみなす見方です。
※IYRの利回りは過去1年間の分配金で算出
※「米国リートスプレッド」は一般的な用語ではありません
※クレジットスプレッドについてはコチラ↓
過去の利回り:「米国リート」と「米国10年国債」
下記グラフは2002年9月末~2021年2月末の米国リートと米10年国債の利回りの推移を示したものです。
※出所:iShares U.S. Real Estate ETF (IYR) Stock Price, News, Quote & History - Yahoo Finance、アメリカ 10年 債券利回り - Investing.com より作成
米国リートの利回りは月末値では
・ITバブル崩壊後:約7%
・リーマンショック後:約12%
・欧州債務危機、チャイナショック、コロナショック:4.0~4.5%
まで上昇しています。
経験則に過ぎませんが、リートが叩き売られている時期(利回りが急上昇している時期)は、株式などのリスク資産全般も過小評価され、割安になっている可能性があります。
また特筆すべきは2005年7月~2007年10月まで、いわゆるサブプライムバブルの時期に米国リートの利回りは米国債の利回りを下回っていました。
この時期を除いては米国リートの利回りが米国債の利回りを下回る時期はほとんどないのですが、実に2年以上下回り続けていました。
バブルがいつまで続くかは不明、場合によっては数年以上続くこともあり、安易に空売りで立ち向かうと、ひどい目に遭い続ける可能性もあることを示唆してくれるデータでもあると思います。
最新の米国リートスプレッド
次に米国リートスプレッド
●【IYRの利回り-米国債10年物の利回り】
の推移を確認してみます。
期間は2002年9月~2021年4月末です。
※出所:iShares U.S. Real Estate ETF (IYR) Stock Price, News, Quote & History - Yahoo Finance、アメリカ 10年 債券利回り - Investing.com より作成
2002年9月以降の中央値は約「1.1%」。
個人的には「米国リートの割安な時期」の経験的な目安を概ね「2%以上」としています。
2021年4月末の値は約「0.4%」でした。
・IYRの利回り:2.07%
・米国債10年物の利回り:1.63%
2021年3月末のスプレッドは「0.5%」だったので、4月にスプレッドは縮小。
4月末の「0.4%」は中央値「1.1%」より小さく水準としては
やや割高~割高?
と推測。
参考:米国リートスプレッドとS&P500の推移
※出所:iShares U.S. Real Estate ETF (IYR) Stock Price, News, Quote & History - Yahoo Finance、アメリカ 10年 債券利回り - Investing.com 、S&P500 インデックス(SPX) - Investing.comより作成
※期間:2002.9~2021.2
あくまで近年の経験則ですが、米国リートスプレッドが概ね2%以上の時期にS&P500は低迷し、割安であったことが多いもよう。
あとがき
直近の米国リートスプレッド(2021.5.25時点)は約「0.5%」。
4月末の「0.4%」からやや拡大。
長期の中央値を明確に下回っており「やや割高~割高」な印象。
株式市場に遅れてリート市場にもマネーが流入してきた感じで、お買い得感はなし。
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