先週の米国市場を
「米国株式の割安割高を判断する目安」
になると思われる指標などで概観してみます。
ごく簡単な米国市場の概観
<先週のS&P500>
※出所:米S&P 500インデックス(SPX - Investing.com
6.4は「4230」。前週比「+0.6%」。
5月月間では「+0.6%」でした。
最高値は2021年5月の「4239」。
<先週の米国10年国債利回り>
6.4は「1.56%」。前週の「1.58%」からやや低下。
先週は
★株価⇒やや上昇
★債券利回り⇒やや低下
★ドル指数⇒やや上昇
という動きでした。
定点観測
以下の4つで定点観測してみます。
★恐怖指数<米国市場。S&P500の変動性>
★ジャンク債スプレッド<米国市場。クレジットスプレッドの一つ>
★S&P500のPBR<米国の代表的な株価指数のPBR>
★米国バフェット指標 <米国の時価総額÷米国の名目GDP>
恐怖指数
<先週>
6.4は「16.42」。前週の「16.76」より低下。
水準としては長期平均(「19.3」)よりやや低く、米国の市場心理は
やや安心?
と推測。
割安時期の目安の「30」より低い水準。
※参考:2018年以降の高い値(場中含む。概算値)
・2018.2月:「50」
・2018.12月:「36」
・2020.3月:「85」
・2020.10月:「41」
<恐怖指数について詳しくはコチラ↓>
www.yukimatu-value.com
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ジャンク債スプレッド
本記事のジャンク債スプレッドとは
①ジャンク債スプレッド
=米国のハイ・イールド債(格付け:BB)の利回り-米国債(10年物)の利回り
※本記事ではオプション調整後
②ジャンク債スプレッドが大きい⇒株式は割安傾向
③ジャンク債スプレッドが小さい⇒株式は割高傾向
④★平均値(幾何平均):3.3
★中央値:3.2
<期間:1997年1月~2021年4月の月末>
⑤5%以上のスプレッドの時期に株価は概ね割安か?
推移グラフと現在の状況判断
<1997年以降>
※出所:ICE BofAML US High Yield BB Option-Adjusted Spread (BAMLH0A1HYBB) | FRED | St. Louis Fedより作成 ※期間:1997.1月末~2021.5.27
6.3時点のジャンク債スプレッド(%。格付けBB、オプション調整後)は「2.36」で、前週の「2.40」より縮小。
※コロナ前のボトムは1.9%程度
※直近ボトムは21.4.16の「2.31%」
スプレッドの長期中央値は「3.2」で今は中央値より約26%低い水準。
投資家心理は
やや楽観
か。
<ジャンク債スプレッドについて詳しくはコチラ↓>
www.yukimatu-value.com
S&P500のPBR
※出所:S&P 500 Price to Book Valueより作成
1999年末~直近のS&P500のPBR推移。
6.4時点の推計値は「4.56」(前週は「4.53」)倍で前週より上昇。
ITバブル以来の高水準。
コロナ後のピーク付近。
長期の中央値「2.78」を64%ほど上回っており、株価水準は
割高
か。
※最近のS&P500の高PBR
①2018年1月:3.60倍(直近で世界景気が最もよかった時期)
②2018年9月:3.51倍(直近で米国の経済成長率が最も高かった時期)
③2020年1月:3.76倍(コロナ前、2019年9月以降の世界景気拡大期のピーク)
④2021年4月:4.58倍(コロナ後)
※出所:S&P 500 Price to Book Value
<S&P500のPBRについて詳しくはコチラ↓>
現時点での米国市場の割高割安、3つの指標からの推測、まとめ
あくまで経験的な判断ですが、現時点で各指標が示唆する株式の割安、割高の判断をまとめます。
★恐怖指数⇒割安ではない?
★ジャンク債スプレッド⇒割安ではない?
★S&P500のPBR⇒割高?
以上から米国株の水準は
割高?
と推測。
現時点での米国株の投資タイミングに関しては
ややネガティブ~ネガティブ?
な印象。
※個人の直感、感想です。先のことは不明。投資は自己判断、自己責任で
最近のバブル崩壊後の株価低迷期と現在のデータ比較
※表のデータ出所 ・世界のバフェット指標:GLOBAL NOTE、https://www.world-exchanges.org/ ・OECD景気先行指数:OECD Data ・シラーPER:Shiller PE Ratio ・失業率:US Unemployment Rate ・実質経済成長率:BEA National Economic Accounts ・長短金利差:米国債・金利 - Bloomberg ・かい離率:米S&P 500インデックス(SPX - Investing.com
引き続き割高っぽい状況。
・恐怖指数:低め
・ジャンク債スプレッド:小さめ
・S&P500のPBR、シラーPER:高水準
・米国失業率:5月は「0.3%」低下
米国 30年物住宅固定金利
米国住宅市場に影響が大きそうな米国の30年物住宅固定金利。
6.3は「2.99%」(前週比+0.04%)。
直近ピークは2021.4.1の「3.18%」。
2021.1.7の直近ボトム「2.65%」と比べると「+0.34%」。
コロナ前の2020年1月頃は3.5%以上。
<米国 30年物住宅固定金利:ここ5年>
※出所:30-Year Fixed Rate Mortgage Average in the United States (MORTGAGE30US) | FRED | St. Louis Fedより作成
おわりに
WFEのNasdaq とNYSEの時価総額データを利用して米国バフェット指標を掲載していましたが、最近データの変動が大きくWFEの更新頻度も少なく、しっくりこないので削除しました。
先週も株価変動は少なめでVIX指数はコロナ後低水準で推移。
全般に楽観度合いはコロナ後のピーク付近にある印象。