先週の米国市場を
「米国株式の割安割高を判断する目安」
になると思われる指標などで概観してみます。
ごく簡単な米国市場の概観
<先週のS&P500>
※出所:米S&P 500インデックス(SPX - Investing.com
7.9は「4370」。前週比「+2.1%」。
7月月間では今のところ「+1.7%」。
最高値更新中。
<先週の米国10年国債利回り>
7.9は「1.36%」。前週の「1.43%」から大きく低下。
先週は
★株価⇒上昇
★債券利回り⇒低下
★ドル指数⇒やや低下
という動きでした。
定点観測
以下の4つで定点観測してみます。
★恐怖指数<米国市場。S&P500の変動性>
★ジャンク債スプレッド<米国市場。クレジットスプレッドの一つ>
★S&P500のPBR<米国の代表的な株価指数のPBR>
★米国バフェット指標 <米国の時価総額÷米国の名目GDP>
恐怖指数
<先週>
7.9は「16.18」。前週の「15.07」より上昇。
水準としては長期平均(「19.3」)より低く、米国の市場心理は
やや安心?
と推測。
割安時期の目安の「30」より低い水準。
※参考:2018年以降の高い値(場中含む。概算値)
・2018.2月:「50」
・2018.12月:「36」
・2020.3月:「85」
・2020.10月:「41」
<恐怖指数について詳しくはコチラ↓>
www.yukimatu-value.com
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ジャンク債スプレッド
本記事のジャンク債スプレッドとは
①ジャンク債スプレッド
=米国のハイ・イールド債(格付け:BB)の利回り-米国債(10年物)の利回り
※本記事ではオプション調整後
②ジャンク債スプレッドが大きい⇒株式は割安傾向
③ジャンク債スプレッドが小さい⇒株式は割高傾向
④★平均値(幾何平均):3.3
★中央値:3.2
<期間:1997年1月~2021年6月の月末>
⑤5%以上のスプレッドの時期に株価は概ね割安か?
推移グラフと現在の状況判断
<1997年以降>
※出所:ICE BofAML US High Yield BB Option-Adjusted Spread (BAMLH0A1HYBB) | FRED | St. Louis Fedより作成 ※期間:1997.1月末~2021.7.8
7.8時点のジャンク債スプレッド(%。格付けBB、オプション調整後)は「2.25」で、前週の「2.16」より拡大。
※リーマンショック後のボトム:「1.96」%。2018年1月末
スプレッドの長期中央値は「3.2」で今は中央値より約30%低い水準。
投資家心理は
楽観
か。
<ジャンク債スプレッドについて詳しくはコチラ↓>
www.yukimatu-value.com
S&P500のPBR
※出所:S&P 500 Price to Book Valueより作成
1999年末~直近のS&P500のPBR推移。
7.9時点の推計値は「4.71」(前週は「4.69」)倍で前週より上昇。
ITバブル以来の高水準。
コロナ後のピーク。
長期の中央値「2.78」を69%ほど上回っており、株価水準は
割高
か。
※最近のS&P500の高PBR
①2018年1月:3.60倍(直近で世界景気が最もよかった時期)
②2018年9月:3.51倍(直近で米国の経済成長率が最も高かった時期)
③2020年1月:3.76倍(コロナ前、2019年9月以降の世界景気拡大期のピーク)
④2021年7月:4.71倍(コロナ後)
※出所:S&P 500 Price to Book Value
<S&P500のPBRについて詳しくはコチラ↓>
シラーPER
※出所:Shiller PE Ratioより作成 ※期間:1995.1~2021.7
1995年以降のシラーPERの推移。
1995年以降の中央値は「26.4」倍。
2021年7月までの5年移動平均は「30.6」倍。
7.9は約「38.4」倍で前週(38.2)より上昇。
長期の中央値より約45%、5年移動平均より約25%高い水準。
株価水準は
やや割高~割高?
と推測。
※出所:Shiller PE Ratio
※参考:シラーPER(CAPEレシオ)とは|金融経済用語集 - iFinance
現時点での米国市場の割高割安、3つの指標からの推測、まとめ
あくまで経験的な判断ですが、現時点で各指標が示唆する株式の割安、割高の判断をまとめます。
★恐怖指数⇒割安ではない?
★ジャンク債スプレッド⇒割安ではない?
★S&P500のPBR⇒割高?
☆シラーPER⇒やや割高~割高?
以上から米国株の水準は
割高?
と推測。
現時点での米国株の投資タイミングに関しては
ややネガティブ~ネガティブ?
な印象。
※個人の直感、感想です。先のことは不明。投資は自己判断、自己責任で
最近のバブル崩壊後の株価低迷期と現在のデータ比較
※表のデータ出所 ・世界のバフェット指標:GLOBAL NOTE、https://www.world-exchanges.org/ ・OECD景気先行指数:OECD Data ・シラーPER:Shiller PE Ratio ・失業率:US Unemployment Rate ・実質経済成長率:BEA National Economic Accounts ・長短金利差:米国債・金利 - Bloomberg ・かい離率:米S&P 500インデックス(SPX - Investing.com
引き続き割高っぽい状況。
・恐怖指数、ジャンク債スプレッド:けっこう低い数値
・S&P500のPBR、シラーPER:高水準
おわりに
上記の記事を2019年7月に書きました。
米国株に関してはここ12年以上、記事を書いてから約2年
もし間違って高値で買ってしまったとしても、必ず取り戻せる時が来る
展開となっており、2年前の記事は今のところある種の有害情報となっています。
いつまでいい時期が続くかは全く不明。
長期投資に関して個人的にはごく控えめなリスクテイクが心地よい状況。