ユキマツの「長期投資のタイミング」

「景気(企業利益動向)」「中銀の金融政策(金利動向)」「投資家のリスク許容度」などから長期投資のタイミングを探る投資ブログ

株価が下がるか 物価が下がるか 企業利益が増えるか ~米国市場の概況~

f:id:yukimatu-tousi:20211213140858p:plain先週の米国市場を

「米国株式の割安割高を判断する目安」

になると思われる指標などで概観してみます。

ごく簡単な米国市場の概観

<先週のS&P500>

f:id:yukimatu-tousi:20211212163749p:plain※出所:米S&P 500インデックス(SPX - Investing.com

12.10は「4712」で前週比「+3.8」。

12月月間では今のところ「+3.2」。

2021年11月の最高値「4744」付近。

<先週の米国10年国債利回り>

f:id:yukimatu-tousi:20211212163816p:plain

※出所:米国 10年 | 米国 10年 債券利回り

12.10は「1.48%」。前週は「1.36%」で大きく上昇。

先週は

★株価⇒上昇

★債券利回り⇒上昇

★ドル指数⇒ほぼ変わらず

という動きでした。

定点観測

以下の4つで定点観測してみます。

恐怖指数<米国市場。S&P500の変動性>

ジャンク債スプレッド<米国市場。クレジットスプレッドの一つ>

S&P500のPBR<米国の代表的な株価指数のPBR>

米国バフェット指標 <米国の時価総額÷米国の名目GDP>

恐怖指数

<ここ1年>

f:id:yukimatu-tousi:20211212163913p:plain※出所:S&P 500 VIXインデックス

12.10は「18.69」。前週の「30.75」より大きく低下。

水準としては長期平均(「19.3」)付近、米国の市場心理は

ふつう?

と推測。

割安時期の目安の「30」を下回る水準。

※参考:2018年以降の高い値(場中含む。概算値)

・2018.2月:「50」

・2018.12月:「36」

・2020.3月:「85

・2020.10月:「41」

・2021.12月:「35」

<恐怖指数について詳しくはコチラ↓>

www.yukimatu-value.com
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ジャンク債スプレッド

本記事のジャンク債スプレッドとは

①ジャンク債スプレッド

米国のハイ・イールド債(格付け:BB)の利回り-米国債(10年物)の利回り

※本記事ではオプション調整後

②ジャンク債スプレッドが大きい⇒株式は割安傾向

③ジャンク債スプレッドが小さい⇒株式は割高傾向

④★平均値(幾何平均):3.3

 ★中央値:3.2

<期間:1997年1月~2021年11月の月末>

5%以上のスプレッドの時期に株価は概ね割安か?

推移グラフと現在の状況判断

<1997年以降>

f:id:yukimatu-tousi:20210712093914p:plain

※出所:ICE BofAML US High Yield BB Option-Adjusted Spread (BAMLH0A1HYBB) | FRED | St. Louis Fedより作成 ※期間:1997.1月末~2021.7.8
12.9時点のジャンク債スプレッド(%。格付けBB、オプション調整後)は「2.27」で、前週の「2.51」より大きめに縮小。

3週続いた拡大はストップ。

※リーマンショック後のボトム:「1.96」%(2018年1月末)

スプレッドの長期中央値は「3.2」で今は中央値より約29%低い水準。

投資家心理は

やや楽観

か。

<ジャンク債スプレッドについて詳しくはコチラ↓>
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S&P500のPBR

f:id:yukimatu-tousi:20211212163954p:plain※出所:S&P 500 Price to Book Valueより作成

1999年末~直近のS&P500のPBR推移。

12.10時点の推計値は「4.86」(前週は「4.68」)倍で前週より大きく上昇。

ITバブル以来の高水準。

長期の中央値「2.79」を74%ほど上回っており、株価水準は

割高

か。

※最近のS&P500の高PBR

①2018年1月:3.60倍(直近で世界景気が最もよかった時期)

②2018年9月:3.51倍(直近で米国の経済成長率が最も高かった時期)

③2020年1月:3.76倍(コロナ前、2019年9月以降の世界景気拡大期のピーク)

④2021年11月:5.01倍(コロナ後)

f:id:yukimatu-tousi:20211212164013p:plain

※出所:S&P 500 Price to Book Value

<S&P500のPBRについて詳しくはコチラ↓>

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シラーPER

f:id:yukimatu-tousi:20211108105003p:plain※出所:Shiller PE Ratioより作成 ※期間:1995.1~2021.10

1995年以降のシラーPERの推移。

1995年以降の中央値は「26.4」倍。

2021年11月までの5年移動平均は「30.9」倍。

 

12.10は約「39.5」倍で前週(38.3)より大きく上昇。

長期の中央値より約50%、5年移動平均より約28%高い水準。

株価水準は

割高?

と推測。

f:id:yukimatu-tousi:20211213144223p:plain

※出所:Shiller PE Ratio

※参考:シラーPER(CAPEレシオ)とは|金融経済用語集 - iFinance

現時点での米国市場の割高割安、4つの指標からの推測、まとめ

あくまで経験的な判断ですが、現時点で各指標が示唆する株式の割安、割高の判断をまとめます。

恐怖指数⇒割安の可能性?

ジャンク債スプレッド⇒割安ではない?

S&P500のPBR⇒割高?

☆シラーPER⇒割高?

以上から米国株の水準は

割高?

と推測。

現時点での米国株の投資タイミングに関しては

ネガティブ

な印象。

※個人の直感、感想です。先のことは不明。投資は自己判断、自己責任で

最近のバブル崩壊後の株価低迷期と現在のデータ比較

※表のデータ出所 ・世界のバフェット指標:GLOBAL NOTEhttps://www.world-exchanges.org/ ・OECD景気先行指数:OECD Data ・シラーPER:Shiller PE Ratio ・失業率:US Unemployment Rate ・実質経済成長率:BEA National Economic Accounts ・長短金利差:米国債・金利 - Bloomberg ・かい離率:米S&P 500インデックス(SPX - Investing.com

f:id:yukimatu-tousi:20211213151255p:plain隙の少ない完成度が高そうな割高っぽさ。

・ジャンク債スプレッド:やや割高時期?という印象

・S&P500のPBR、シラーPER:高水準

・OECD景気先行指数:2021年7月頃をピークに低下中

・長短金利差:前週0.76%から0.82%に拡大

おわりに

他の指標と併せてみると長期目線ではとても割安時期とは思えず。

もしここから戻すようならかすり傷程度の調整、VIXの動きが大げさすぎ、という印象。

と先週書いていましたが、今のところ12月初めのVIX指数の動きが大げさすぎだった?という状況。

 

<S&P500実質株益回り>

f:id:yukimatu-tousi:20211213150621p:plain

※出所:Cryptact Grid

●株式益利回り=PER(株価収益率)の逆数

●株式益利回り=一株当たり純利利益/時価総額

●実質株式益利回り=株式益利回り-インフレ率

上記記事によれば最近の株価高騰、物価上昇もあってS&P500の株式益回りが歴史的なマイナス幅になっているとのこと。

マイナスになることは滅多になく、いつになるかは不明ですが、今後どこかで平均回帰するとすれば、

☆株価が下がる 

☆物価が下がる

☆企業利益が増える

のどれか、あるいはこれらのうちの複数の動きが確認されるはず。

個人的には引き続き買い増しよりも一部利確、攻勢に出るよりは防御重視と感じる状況。

同じく物価動向が加味されているシラーPERも歴史的に高い水準にあり、こういった指標が今より価値を持つ展開が来るかどうか。

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