ユキマツの「長期投資のタイミング」

「景気(企業利益動向)」「中銀の金融政策(金利動向)」「投資家のリスク許容度」などから長期投資のタイミングを探る投資ブログ

「失業率4%以下の低水準へ」「米国10年国債利回り急上昇」 ~米国市場の概況~

f:id:yukimatu-tousi:20220109171228p:plain先週の米国市場を

「米国株式の割安割高を判断する目安」

になると思われる指標などで概観してみます。

ごく簡単な米国市場の概観

<先週のS&P500>

f:id:yukimatu-tousi:20220109171312p:plain※出所:米S&P 500インデックス(SPX - Investing.com

1.7は「4677」で前週比「−1.9」。

1月月間では今のところ「−1.9%」。

最高値「4818」より「-2.9」%水準。

<先週の米国10年国債利回り>

f:id:yukimatu-tousi:20220109171352p:plain※出所:米国 10年 | 米国 10年 債券利回り

1.7は「1.77」。前週は「1.51%」で先週は急上昇。

先週は

★株価⇒下落

★債券利回り⇒上昇

★ドル指数⇒ほぼ横這い

という動きでした。

定点観測

以下の4つで定点観測してみます。

恐怖指数<米国市場。S&P500の変動性>

ジャンク債スプレッド<米国市場。クレジットスプレッドの一つ>

S&P500のPBR<米国の代表的な株価指数のPBR>

米国バフェット指標 <米国の時価総額÷米国の名目GDP>

恐怖指数

<ここ1年>

f:id:yukimatu-tousi:20220109171746p:plain※出所:S&P 500 VIXインデックス

1.7は「18.76」。前週の「17.22」より上昇。

水準としては長期平均(「19.3」)付近、米国の市場心理は

ふつう?

と推測。

割安時期の目安の「30」を下回る水準。

※参考:2018年以降の高い値(場中含む。概算値)

・2018.2月:「50」

・2018.12月:「36」

・2020.3月:「85

・2020.10月:「41」

・2021.12月:「35」

<恐怖指数について詳しくはコチラ↓>

www.yukimatu-value.com
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ジャンク債スプレッド

本記事のジャンク債スプレッドとは

①ジャンク債スプレッド

米国のハイ・イールド債(格付け:BB)の利回り-米国債(10年物)の利回り

※本記事ではオプション調整後

②ジャンク債スプレッドが大きい⇒株式は割安傾向

③ジャンク債スプレッドが小さい⇒株式は割高傾向

④★平均値(幾何平均):3.3

 ★中央値:3.2

<期間:1997年1月~2021年11月の月末>

5%以上のスプレッドの時期に株価は概ね割安か?

推移グラフと現在の状況判断

<1997年以降>

f:id:yukimatu-tousi:20210712093914p:plain

※出所:ICE BofAML US High Yield BB Option-Adjusted Spread (BAMLH0A1HYBB) | FRED | St. Louis Fedより作成 ※期間:1997.1月末~2021.7.8
1.6時点のジャンク債スプレッド(%。格付けBB、オプション調整後)「2.16」で、前週の「2.11」より拡大。

※リーマンショック後のボトム:「1.96」%(2018年1月末)

スプレッドの長期中央値は「3.2」で今は中央値より約33%低い水準。

投資家心理は

楽観

か。

<ジャンク債スプレッドについて詳しくはコチラ↓>
www.yukimatu-value.com

S&P500のPBR

f:id:yukimatu-tousi:20220109172005p:plain※出所:S&P 500 Price to Book Valueより作成

1999年末~直近のS&P500のPBR推移。

1.7時点の推計値は「4.82」(前週は「4.91」)倍で前週より低下。

ITバブル以来の高水準。

長期の中央値「2.79」を73%ほど上回っており、株価水準は

割高

か。

※最近のS&P500の高PBR

①2018年1月:3.60倍(直近で世界景気が最もよかった時期)

②2018年9月:3.51倍(直近で米国の経済成長率が最も高かった時期)

③2020年1月:3.76倍(コロナ前、2019年9月以降の世界景気拡大期のピーク)

④2021年11月:5.01倍(コロナ後)

f:id:yukimatu-tousi:20220109172024p:plain

※出所:S&P 500 Price to Book Value

<S&P500のPBRについて詳しくはコチラ↓>

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シラーPER

f:id:yukimatu-tousi:20220109214622p:plain※出所:Shiller PE Ratioより作成 ※期間:1995.1~2021.12

1995年以降のシラーPERの推移。

1995年以降の中央値は「26.4」倍。

2021年12月までの5年移動平均は「31.5」倍。

 

1.7は約「39.2」倍で前週(40.0)より低下。

長期の中央値より約48%、5年移動平均より約24%高い水準。

株価水準は

割高?

と推測。

f:id:yukimatu-tousi:20220109214029p:plain

※出所:Shiller PE Ratio

※参考:シラーPER(CAPEレシオ)とは|金融経済用語集 - iFinance

現時点での米国市場の割高割安、4つの指標からの推測、まとめ

あくまで経験的な判断ですが、現時点で各指標が示唆する株式の割安、割高の判断をまとめます。

恐怖指数⇒割安ではない?

ジャンク債スプレッド⇒割安ではない?

S&P500のPBR⇒割高?

☆シラーPER⇒割高?

以上から米国株の水準は

割高?

と推測。

現時点での米国株の投資タイミングに関しては

ネガティブ

な印象。

※個人の直感、感想です。先のことは不明。投資は自己判断、自己責任で

最近のバブル崩壊後の株価低迷期と現在のデータ比較

※表のデータ出所 ・世界のバフェット指標:GLOBAL NOTEhttps://www.world-exchanges.org/ ・OECD景気先行指数:OECD Data ・シラーPER:Shiller PE Ratio ・失業率:US Unemployment Rate ・実質経済成長率:BEA National Economic Accounts ・長短金利差:米国債・金利 - Bloomberg ・かい離率:米S&P 500インデックス(SPX - Investing.com

f:id:yukimatu-tousi:20220109215118p:plain「直近でピーク付近の割高っぽさ」はやや薄らぐ。

・ジャンク債スプレッド:やや割高時期?という印象

・S&P500のPBR、シラーPER:高水準

・米国失業率:3%台まで低下

・長短金利差:先週は拡大

おわりに

米10年債利回りの急上昇もあっていくらか株価下落した先週。

米国リートの【IYR】は昨年末より週間で約4.6%の下落。

利回りの動きが落ち着けば価格変動も落ち着くことも多いですが、やや不穏な2022年の年明け。

また2021年12月の米国失業率は3.9%でした。

2000年以降のめぼしい低失業率は

☆ITバブル:3.8%(2000.4)

☆サブプライムバブル:4.4%(2007.5)

☆コロナ前:3.5%(2020.2)

☆コロナ後:3.9%(2021.12)

なので、すでにかなり低い水準にあるといえそう。

※データ:Unemployment Rate (UNRATE) | FRED | St. Louis Fed

ただ、コロナ前は2018年3月~2020年2月まで、約2年間も4%以下の低失業率が継続。

☆今回も低失業率状態が続いて景気回復局面が続き、市場も比較的落ち着くのか

☆今回は早めに失業率の上昇局面が到来し市場も荒れ出すのか

気になる今後。

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