ユキマツの「長期投資のタイミング」

「景気(企業利益動向)」「中銀の金融政策(金利動向)」「投資家のリスク許容度」などから長期投資のタイミングを探る投資ブログ

世界景気 2021年7月をピークに7ヶ月間 回復鈍化傾向か ~米国市場の概況~

f:id:yukimatu-tousi:20220313210647p:plain先週の米国市場を

「米国株式の割安割高を判断する目安」

になると思われる指標などで概観してみます。

ごく簡単な米国市場の概観

<先週のS&P500>

f:id:yukimatu-tousi:20220313210805p:plain

※出所:米S&P 500インデックス(SPX - Investing.com

3.11は「4204」で前週比「−2.9」。

3月月間では今のところ「−3.9%」。

2022年1月の最高値「4818」より「-12.7」%水準。

<先週の米国10年国債利回り>

f:id:yukimatu-tousi:20220313210829p:plain※出所:米国 10年 | 米国 10年 債券利回り

3.11は「2.00」。前週は「1.74%」で先週は急上昇。

先週は

★株価⇒下落

★債券利回り⇒上昇

★ドル指数⇒上昇

という動きでした。

定点観測

以下の4つで定点観測してみます。

恐怖指数<米国市場。S&P500の変動性>

ジャンク債スプレッド<米国市場。クレジットスプレッドの一つ>

S&P500のPBR<米国の代表的な株価指数のPBR>

米国バフェット指標 <米国の時価総額÷米国の名目GDP>

恐怖指数

<ここ5年>

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※出所:S&P 500 VIXインデックス

3.11は「30.75」。前週の「31.98」より低下。

水準としては長期平均(「19.3」)よりやや高く、米国の市場心理は

不安?

と推測。

割安時期の目安の「30」を上回る水準。

※参考:2018年以降の高い値(場中含む。概算値)

・2018.2月:「50」

・2018.12月:「36」

・2020.3月:「85

・2020.10月:「41」

・2022.1月:「39」

<恐怖指数について詳しくはコチラ↓>

www.yukimatu-value.com
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ジャンク債スプレッド

本記事のジャンク債スプレッドとは

①ジャンク債スプレッド

米国のハイ・イールド債(格付け:BB)の利回り-米国債(10年物)の利回り

※本記事ではオプション調整後

②ジャンク債スプレッドが大きい⇒株式は割安傾向

③ジャンク債スプレッドが小さい⇒株式は割高傾向

④★平均値(幾何平均):3.3

 ★中央値:3.2

<期間:1997年1月~2022年2月の月末>

5%以上のスプレッドの時期に株価は概ね割安か?

推移グラフと現在の状況判断

<1997年以降>

f:id:yukimatu-tousi:20220228114330p:plain※出所:ICE BofAML US High Yield BB Option-Adjusted Spread (BAMLH0A1HYBB) | FRED | St. Louis Fedより作成 ※期間:1997.1月末~2022.2.24
3.10時点のジャンク債スプレッド(%。格付けBB、オプション調整後)「2.94」で、前週の「2.70」より大きく拡大。

※リーマンショック後のボトム:「1.96」%(2018年1月末)

スプレッドの長期中央値は「3.2」で今は中央値より約8%低い水準。

投資家心理は

ふつう~やや楽観

か。

<ジャンク債スプレッドについて詳しくはコチラ↓>
www.yukimatu-value.com

S&P500のPBR

f:id:yukimatu-tousi:20220313210955p:plain

※出所:S&P 500 Price to Book Valueより作成

1999年末~直近のS&P500のPBR推移。

3.11時点の推計値は「4.28」(前週は「4.40」)倍で前週より低下。

長期の中央値「2.79」を53%ほど上回っており、株価水準は

割高

か。

※最近のS&P500の高PBR

①2018年1月:3.60倍(直近で世界景気が最もよかった時期)

②2018年9月:3.51倍(直近で米国の経済成長率が最も高かった時期)

③2020年1月:3.76倍(コロナ前、2019年9月以降の世界景気拡大期のピーク)

④2021年12月:4.85倍(コロナ後)

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※出所:S&P 500 Price to Book Value

<S&P500のPBRについて詳しくはコチラ↓>

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シラーPER

f:id:yukimatu-tousi:20220306163103p:plain※出所:Shiller PE Ratioより作成 ※期間:1995.1~2022.2

1995年以降のシラーPERの推移。

1995年以降の中央値は「26.5」倍。

2022年2月までの5年移動平均は「31.8」倍。

 

3.11は約「34.4」倍で前週(35.4)より低下。

長期の中央値より約30%、5年移動平均より約8%高い水準。

株価水準は

割高?

と推測。

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※出所:Shiller PE Ratio

※参考:シラーPER(CAPEレシオ)とは|金融経済用語集 - iFinance

現時点での米国市場の割高割安、4つの指標からの推測、まとめ

あくまで経験的な判断ですが、現時点で各指標が示唆する株式の割安、割高の判断をまとめます。

恐怖指数⇒割安?

ジャンク債スプレッド⇒割安ではない?

S&P500のPBR⇒割高?

☆シラーPER⇒割高?

恐怖指数は30を超えており、「短期的に売られ過ぎ」なタイミングであるかもしれませんが、他の指標も考慮すると長期的には米国株の水準は

割高?

と推測。

現時点での米国株の投資タイミングに関しては

ネガティブ

な印象。

※個人の直感、感想です。先のことは不明。投資は自己判断、自己責任で

最近のバブル崩壊後の株価低迷期と現在のデータ比較

※表のデータ出所 ・世界のバフェット指標:GLOBAL NOTEhttps://www.world-exchanges.org/ ・OECD景気先行指数:OECD Data ・シラーPER:Shiller PE Ratio ・失業率:US Unemployment Rate ・実質経済成長率:BEA National Economic Accounts ・長短金利差:米国債・金利 - Bloomberg ・かい離率:米S&P 500インデックス(SPX - Investing.com

f:id:yukimatu-tousi:20220313212510p:plain・S&P500のPBR、シラーPER:高水準

・OECD景気先行指数:2月はやや悪化。前月より-0.1

・マージンデット(前年同月比):2021年3月は「+71.6」%でしたがその後低下、2022年1月は「+3.9%」まで低下中

・長短金利差:先週はほぼ変わらず

ECRI景気先行指数

f:id:yukimatu-tousi:20220313211418p:plain

※出所:Economic Cycle Research Institute | Public Home | ECRI

上記は米国景気指標の一つ、ECRI景気先行指数の最近の動向。

毎週データ更新。

2021年の5月と11月頃にピークがあり、2021年11月以降、やや低下基調。

先週はやや低下。

☆ECRI景気先行指数について⇒米国景気回復 勢いにやや かげり

おわりに

2022年2月の景気先行指数(CLI。OECD全体)は100.4で前月より低下。

節目の100は上回っていますが、2021年7月をピークに7ヶ月間低下傾向。

※グローバル製造業PMIの直近ピークは2021年5

f:id:yukimatu-tousi:20220314115353p:plain※出所:Leading indicators - Composite leading indicator (CLI) - OECD Dataより作成

<CLI:中国>

f:id:yukimatu-tousi:20220314115844p:plain

※出所:Leading indicators - Composite leading indicator (CLI) - OECD Data

中国のCLIは2021年9月以降節目の100を下回っておりすでに5ヶ月

「やや景気減速気味」

を示唆。

今後も低下基調が続くようなら市場のネガティブ要素。

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