先週の米国市場を
「米国株式の割安割高を判断する目安」
になると思われる指標などで概観してみます。
ごく簡単な米国市場の概観
<先週のS&P500>
※出所:米S&P 500インデックス(SPX - Investing.com
4.1は「4546」で前週比「+0.1%」。
3月月間では「+3.6%」でした。
2022年1月の最高値「4818」より「-5.6」%水準。
<先週の米国10年国債利回り>
4.1は「2.39%」。前週は「2.49%」で先週は大きく低下。
先週は
★株価⇒横這い
★債券利回り⇒低下
★ドル指数⇒やや低下
という動きでした。
定点観測
以下の4つで定点観測してみます。
★恐怖指数<米国市場。S&P500の変動性>
★ジャンク債スプレッド<米国市場。クレジットスプレッドの一つ>
★S&P500のPBR<米国の代表的な株価指数のPBR>
★米国バフェット指標 <米国の時価総額÷米国の名目GDP>
恐怖指数
<ここ5年>
4.1は「19.63」。前週の「20.81」より低下。
水準としては長期平均(「19.3」)付近で、米国の市場心理は
ふつう?
と推測。
割安時期の目安の「30」を下回る水準。
※参考:2018年以降の高い値(場中含む。概算値)
・2018.2月:「50」
・2018.12月:「36」
・2020.3月:「85」
・2020.10月:「41」
・2022.1月:「39」
<恐怖指数について詳しくはコチラ↓>
www.yukimatu-value.com
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ジャンク債スプレッド
本記事のジャンク債スプレッドとは
①ジャンク債スプレッド
=米国のハイ・イールド債(格付け:BB)の利回り-米国債(10年物)の利回り
※本記事ではオプション調整後
②ジャンク債スプレッドが大きい⇒株式は割安傾向
③ジャンク債スプレッドが小さい⇒株式は割高傾向
④★平均値(幾何平均):3.30
★中央値:3.14
<期間:1997年1月~2022年3月の月末>
⑤5%以上のスプレッドの時期に株価は概ね割安か?
推移グラフと現在の状況判断
<1997年以降>
※出所:ICE BofAML US High Yield BB Option-Adjusted Spread (BAMLH0A1HYBB) | FRED | St. Louis Fedより作成 ※期間:1997.1月末~2022.3.24
3.31時点のジャンク債スプレッド(%。格付けBB、オプション調整後)「2.37」で、前週の「2.59」より大きく縮小。
※リーマンショック後のボトム:「1.96」%(2018年1月末)
スプレッドの長期中央値は「3.14」で今は中央値より約25%低い水準。
投資家心理は
やや楽観
か。
<ジャンク債スプレッドについて詳しくはコチラ↓>
www.yukimatu-value.com
S&P500のPBR
※出所:S&P 500 Price to Book Valueより作成
1999年末~直近のS&P500のPBR推移。
4.1時点の推計値は「4.62」(前週は「4.62」)倍で前週と変わらず。
長期の中央値「2.79」を66%ほど上回っており、株価水準は
割高
か。
※最近のS&P500の高PBR
①2018年1月:3.60倍(直近で世界景気が最もよかった時期)
②2018年9月:3.51倍(直近で米国の経済成長率が最も高かった時期)
③2020年1月:3.76倍(コロナ前、2019年9月以降の世界景気拡大期のピーク)
④2021年12月:4.85倍(コロナ後)
※出所:S&P 500 Price to Book Value
<S&P500のPBRについて詳しくはコチラ↓>
シラーPER
※出所:Shiller PE Ratioより作成 ※期間:1995.1~2022.2
1995年以降のシラーPERの推移。
1995年以降の中央値は「26.5」倍。
2022年2月までの5年移動平均は「31.9」倍。
4.1は約「36.8」倍で前週(36.8)と変わらず。
長期の中央値より約39%、5年移動平均より約15%高い水準。
株価水準は
割高?
と推測。
※出所:Shiller PE Ratio
※参考:シラーPER(CAPEレシオ)とは|金融経済用語集 - iFinance
現時点での米国市場の割高割安、4つの指標からの推測、まとめ
あくまで経験的な判断ですが、現時点で各指標が示唆する株式の割安、割高の判断をまとめます。
★恐怖指数⇒割安ではない?
★ジャンク債スプレッド⇒割安ではない?
★S&P500のPBR⇒割高?
☆シラーPER⇒割高?
長期的には米国株の水準は
割高?
と推測。
現時点での米国株の投資タイミングに関しては
ネガティブ?
な印象。
※個人の直感、感想です。先のことは不明。投資は自己判断、自己責任で
最近のバブル崩壊後の株価低迷期と現在のデータ比較
※表のデータ出所 ・OECD景気先行指数:OECD Data ・米国失業率:US Unemployment Rate ・実質経済成長率:BEA National Economic Accounts ・マージンデット:Margin Statistics | FINRA.org ・長短金利差:米国債・金利 - Bloomberg
・ジャンク債スプレッド:やや楽観ゾーンか
・S&P500のPBR、シラーPER:高水準
・長短金利差:縮小傾向続き逆イールドに
ECRI景気先行指数
※出所:Economic Cycle Research Institute | Public Home | ECRI
上記は米国景気指標の一つ、ECRI景気先行指数の最近の動向。
毎週データ更新。
2021年の5月と11月頃にピークあり。
3月途中から大きく上昇中で上昇は3週連続。
☆ECRI景気先行指数について⇒米国景気回復 勢いにやや かげり
おわりに
長短金利差 (10y-2y利回り差)がマイナスとなり、最新(2022.3)の米国失業率は3.6%まで低下。
あくまで過去の傾向ですが、
①長短金利差の縮小またはマイナス幅拡大
と
②失業率の低下
には強い相関があるもよう。
そして①②が同時に続く時期は総じて株価は堅調。
逆に①②が続いた時期が終わり、
③長短金利差の拡大
と
④失業率の上昇
に反転後は、タイムラグはあるものの株価下落時期が訪れやすかった、もよう。
この経験則に従うと、今は①②が同時に続いている時期であり、この視点では今しばらく株価上昇にもまだ期待ができるのかもしれませんが、どうなりますか。
とりあえず今後失業率がどこまで下がるか気になる状況。