先週の米国市場を
「米国株式の割安割高を判断する目安」
になると思われる指標などで概観してみます。
ごく簡単な米国市場の概観
<先週のS&P500>
※出所:米S&P 500インデックス(SPX - Investing.com
4.22は「4272」で前週比「-2.8%」。
4月月間では今のところ「-5.7%」。
2022年1月の最高値「4818」より「-11.3」%水準。
<先週の米国10年国債利回り>
4.22は「2.91%」。前週は「2.83%」で先週は上昇。
先週は
★株価⇒下落
★債券利回り⇒上昇
★ドル指数⇒上昇
という動きでした。
定点観測
以下の4つで定点観測してみます。
★恐怖指数<米国市場。S&P500の変動性>
★ジャンク債スプレッド<米国市場。クレジットスプレッドの一つ>
★S&P500のPBR<米国の代表的な株価指数のPBR>
★米国バフェット指標 <米国の時価総額÷米国の名目GDP>
恐怖指数
<ここ5年>
4.22は「28.21」。前週の「22.70」より上昇。
水準としては長期平均(「19.3」)よりやや高く、米国の市場心理は
やや不安?
と推測。
割安時期の目安の「30」は下回る水準。
※参考:2018年以降の高い値(場中含む。概算値)
・2018.2月:「50」
・2018.12月:「36」
・2020.3月:「85」
・2020.10月:「41」
・2022.1月:「39」
<恐怖指数について詳しくはコチラ↓>
www.yukimatu-value.com
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ジャンク債スプレッド
本記事のジャンク債スプレッドとは
①ジャンク債スプレッド
=米国のハイ・イールド債(格付け:BB)の利回り-米国債(10年物)の利回り
※本記事ではオプション調整後
②ジャンク債スプレッドが大きい⇒株式は割安傾向
③ジャンク債スプレッドが小さい⇒株式は割高傾向
④★平均値(幾何平均):3.30
★中央値:3.14
<期間:1997年1月~2022年3月の月末>
⑤5%以上のスプレッドの時期に株価は概ね割安か?
推移グラフと現在の状況判断
<1997年以降>
※出所:ICE BofAML US High Yield BB Option-Adjusted Spread (BAMLH0A1HYBB) | FRED | St. Louis Fedより作成 ※期間:1997.1月末~2022.3.24
4.21時点のジャンク債スプレッド(%。格付けBB、オプション調整後)は「2.47」で、前週の「2.58」より縮小。
※リーマンショック後のボトム:「1.96」%(2018年1月末)
スプレッドの長期中央値は「3.14」で今は中央値より約21%低い水準。
投資家心理は
やや楽観
か。
<ジャンク債スプレッドについて詳しくはコチラ↓>
www.yukimatu-value.com
S&P500のPBR
※出所:S&P 500 Price to Book Valueより作成
1999年末~直近のS&P500のPBR推移。
4.22時点の推計値は「4.24」(前週は「4.36」)倍で前週より低下。
長期の中央値「2.79」を52%ほど上回っており、株価水準は
割高
か。
※最近のS&P500の高PBR
①2018年1月:3.60倍(直近で世界景気が最もよかった時期)
②2018年9月:3.51倍(直近で米国の経済成長率が最も高かった時期)
③2020年1月:3.76倍(コロナ前、2019年9月以降の世界景気拡大期のピーク)
④2021年12月:4.73倍(コロナ後)
※出所:S&P 500 Price to Book Value
<S&P500のPBRについて詳しくはコチラ↓>
シラーPER
※出所:Shiller PE Ratioより作成 ※期間:1995.1~2022.4
1995年以降のシラーPERの推移。
1995年以降の中央値は「26.5」倍。
2022年4月1日までの5年移動平均は「31.9」倍。
4.22は約「33.6」倍で前週(34.6)より低下。
長期の中央値より約27%、5年移動平均より約5%高い水準。
株価水準は
やや割高~割高?
と推測。
※出所:Shiller PE Ratio
※参考:シラーPER(CAPEレシオ)とは|金融経済用語集 - iFinance
現時点での米国市場の割高割安、4つの指標からの推測、まとめ
あくまで経験的な判断ですが、現時点で各指標が示唆する株式の割安、割高の判断をまとめます。
★恐怖指数⇒割安ではない?
★ジャンク債スプレッド⇒割安ではない?
★S&P500のPBR⇒割高?
☆シラーPER⇒やや割高~割高?
長期的には米国株の水準は
割高?
と推測。
現時点での米国株の投資タイミングに関しては
ネガティブ?
な印象。
※個人の直感、感想です。先のことは不明。投資は自己判断、自己責任で
最近のバブル崩壊後の株価低迷期と現在のデータ比較
※表のデータ出所 ・OECD景気先行指数:OECD Data ・米国失業率:US Unemployment Rate ・実質経済成長率:BEA National Economic Accounts ・マージンデット:Margin Statistics | FINRA.org ・長短金利差:米国債・金利 - Bloomberg
・ジャンク債スプレッド:やや楽観ゾーンか
・S&P500のPBR、シラーPER:高水準
・長短金利差:先週は金利差縮小
おわりに
前回FRBの「量的縮小+利上げ」がセットで実施され、株式市場が崩れ出したのが2018年10月頃で当時
☆FF金利:2.2%
☆米国債10年物利回り:3.1%
☆米国住宅ローン固定金利(30年物):4.9%
でした。
今は
☆FF金利:0.2%
☆米国債10年物利回り:2.9%
☆米国住宅ローン固定金利(30年物):5.1%
であり
☆米国住宅ローン固定金利(30年物)
については当時を上回ってきました。
S&Pケース・シラー住宅価格指数(20大都市圏指数)の前年同月比でみると、最近では2018年2月と2021年7月に2つのピークがあります。
※今回の住宅価格上昇トレンドのピークが2021年7月かどうかはまだ不明
2018年10月は2018年2月のピークから約8ヶ月後にあたり、今は2021年7月から約9ヶ月後にあたります。
※出所:S&P/Case-Shiller 20-City Composite Home Price Index (SPCS20RSA) | FRED | St. Louis Fedより作成
☆金利が上がっても住宅価格は利払い経費の増加分以上に引き続き上がってくれるであろう
☆金利負担を嫌気して住宅価格は頭打ちになるだろう
という2つの見方のせめぎあいが続くのか、
☆2004~2006年頃の住宅バブルを上回る、現在の前年比+20%近いべらぼうな価格上昇はいつまでも続かずそう遠くない将来に急速に前年比割れモードに転じる
というネガティブな見方が優勢となるのかは不明ですが、とりあえず「不動産投資の利回り」うんぬんより、「不動産の価格上昇」に対する期待が強そう、という印象を受ける状況。