商品価格(本記事ではCRB指数)が6月ピークから大きく下落(7/6時点で約16%)。
景気後退期(ITバブル崩壊期と米国住宅バブル崩壊期)の商品価格と株価を今に絡めて考察。
株価が先に下がる傾向
2020年のコロナ不況は突発的イベントでありあまり参考にならないと思われ、近年の2回の景気後退期の商品価格(CRB指数)と株価(S&P500)の動きをみていきます。
データはこちらから。
※CRB:TR/CC CRB Excess Return 過去のレート - Investing.com
※S&P500:S&P500 過去のレート - Investing.com
①ITバブル崩壊期のS&P500のピークは2000.3月の「1553」。
CRBのピークは2000.10月の「205」。
株価⇒商品
の順にピークアウトしており、その時間差は7ヶ月。
②米国住宅バブル崩壊期のS&P500のピークは2007.10月の「1576」。
CRBのピークは2008.7月の「474」。
株価⇒商品
の順にピークアウトしており、その時間差は9ヶ月。
③2022年のS&P500のピークは今のところ2022.1月の「4819」。
CRBのピークは今のところ2022.6月の「330」。
株価⇒商品
の順にピークアウトしており、その時間差は5ヶ月。
まずもって、今回景気後退に至るかは不明なのですが、今のところこの観点では近年の景気後退フェイズにそった動きとなっています。
商品が天井をつけてからどのくらいで株価は底打ちしたか
①ITバブル崩壊期のCRBのピークは2000.10月。
S&P500のボトムは2002.10月の「769」。
商品のピークから株価のボトムまで、2年もかかっています。
②米国住宅バブル崩壊期のCRBのピークは2008.7月。
S&P500のボトムは2009.3月の「667」。
商品のピークから株価のボトムまでは8ヶ月。
2年は長すぎる感じがしますが8ヶ月ならまだ我慢できるか、という印象。
商品、株はどのくらい下がったか
①ITバブル崩壊期の
S&P500のピークは2000.3月の「1553」。
S&P500のボトムは2002.10月の「769」。
下落率約50%。
CRBのピークは2000.10月の「205」。
CRBのボトムは2002.1月の「144」。
下落率約30%。
②米国住宅バブル崩壊期の
S&P500のピークは2007.10月の「1576」。
S&P500のボトムは2009.3月の「667」。
下落率約58%。
CRBのピークは2008.7月の「474」。
CRBのボトムは2009.2月の「200」。
下落率約58%。
この2回の景気後退期の株価の下落はともに50%超えの大きなものでした。
商品も①ITバブル崩壊期はましでしたが、②米国住宅バブル崩壊期には6割近く下げる、大きなものとなっています。
商品と株価、早く底打ちしたのはどちらか
①ITバブル崩壊期にはCRBは株価より9ヶ月先に底打ち(CRBは2002.1月、S&P500は2002.10月)。
②米国住宅バブル崩壊期にはCRBは株価より1ヶ月先に底打ち(CRBは2009.2月、S&P500は2009.3月)。
①②両方において、株価の底打ちより、商品の底打ちの方が早かったようです。
まとめ
CRB指数が6月高値から大きく下げてきたので、近年2回の景気後退期の商品と株価の天井、底について簡単に調べてみました。
個人的には商品の方が株価より先に底打ちしていたのは新たな発見。
今後もし景気後退となり株価や商品価格の下落が進んだ場合、あくまでひとつのジンクス、経験則に過ぎませんが、商品価格の底打ちは、株式買い出動サインの一つになるのかもしれません。
また、
株価が先に下げて、その後商品がしばらく盛り上がって、商品も天井をつけると、いよいよ本格的に株価が・・・
というのが近年2回の景気後退時期のパターンでした。
こういったものはあくまで経験則、今回どうなるかは誰にもわかりませんが、同様の展開で今、商品はすでに16%下落。
今後も商品が大きく下げてくるなら、株価も怪しいかもしれず、一つのネガティブパターンの想定材料として商品と株価のことを気にしていてもいいのかもしれない、と感じた次第。