米国の失業率と景気後退、株価動向を探る記事。
米国の失業率を知るメリット
「失業率」と「景気」は関連が強く、「景気」と「株価動向」にも関連があり、「失業率」は長期的な「株価動向」を探る材料になり得る、と思われます。
失業率 ⇔ 景気 ⇔ 株価
最新の失業率
2022年10月の失業率は「3.7%」(前月比+0.2%)でした。
この数値は
・サブプライムバブルの頃のボトム「4.4%」
・ITバブルのころのボトム「3.8%」
より小さく
・コロナ前後のボトム「3.5%」
よりやや高い、歴史的な低水準と思われます。
<参考:米国失業率のデータ>
1948年1月~2022年10月で最低の失業率は1953年の2.5%。
その他の低失業率は1960年代に3.4%。
ITバブルの頃(2000年)の3.8%。
2019年の3.5%、2022年の3.5%など。
最大値は2020年の14.7%。
その他の高失業率は1975年の9.0%。
1982年の10.8%。
2009年の10.0%など。
この期間の平均値は5.7%。中央値は5.5%。
※データ出所:Unemployment Rate (UNRATE) | FRED | St. Louis Fed
失業率の推移
※出所:Civilian Unemployment Rate | FRED | St. Louis Fedより管理者作成 ※期間:1995年1月~2022年10月
この期間の長期中央値は「5.2%」。
米国失業率は2020年4月のピーク(14.7%)から2022年9月(3.5%)まで、2年5ヶ月の低下トレンド。
10月に上昇しましたが、トレンド転換かは不明。
株価(S&P500)と米国失業率
※出所:Civilian Unemployment Rate | FRED | St. Louis Fed、Yahoo Financeのデータより管理者作成 ※期間:1995年1月~2022年10月
1995年以降の米国の失業率とS&P500。
1995年以降、失業率の
「低下時期」
に株価は上昇しやすく、
失業率が
「急に上がる時期」「高水準で維持される時期」
に株価は低迷しやすい傾向がうかがえます。
短期的な状況判断には役立ちませんが、長い目で見ると、
景気(⇔失業率)と株価
の関係をうかがう一つの目安にはなりそうなグラフ。
失業率の長期推移(1948年~)と景気後退
※出所:Civilian Unemployment Rate ※期間:1948年1月~2022年10月
1948年以降の失業率と景気後退期(シャドーが景気後退期)。
景気後退期はこの期間12回あり。
よくよく観察すると、
●失業率の底打ち後しばらくたってから
あるいは
●失業率のボトムから失業率が上昇し出すタイミングとほぼ同時に
景気後退が訪れるというパターンが目立ちます。
先のことは分かりませんが、とりあえず
「景気後退期には必ず失業率の上昇が伴っている」
というのがこの期間の経験則。
直近ボトムから何%上昇すると 景気後退が起きていたのか
※出所:Civilian Unemployment Rate ※期間:1948年1月~2022年10月
では、失業率の底打ち後、どのくらい失業率が上昇したら、景気後退に突入していたのか。
過去12回分を調べてみました。
※データ出所:Civilian Unemployment Rate
例えば「1」の1948年の景気後退では、景気後退前の失業率最低値(A)は3.4%。
景気後退突入時の失業率(B)は3.8%で11.8%上昇していました。
同様にまとめたのが上記のデータ。
AとBの差が全くなく景気後退に突入していたり(「8」「12」)、Aからわずか0.1%上昇したところで景気後退期に入っていることもあります(「2」「5」)。
12回の上昇率の単純平均は+7.6%、中央値は+9.2%で最大値は+13.6%。
このデータから
失業率が(直近の最低値から)ざっと15%程度上昇すると 景気後退が起きていやすい
という仮説を唱えてもいいのかもしれません。
この仮説に則ると、今回はボトムが3.5%なので、15%上昇すると約4.0%。
今後4.0%を超えてくると、景気後退している可能性がかなり高まっていると判断してもよい、かも。
今は3.7%(+5.7%)でまだ微妙な段階か。
※あくまで経験則を重視した推測であり今後のことは不明