日本の工作機械受注と世界景気、株価について。
工作機械受注とは
工作機械受注とは日本工作機械工業会が発表している日本の工作機械の受注額のこと。
工作機械は自動車、スマートフォン、家電製品、デジタル機器、時計などに使われる主に金属製の精密部品を削ったり切断したりする際に用いられる機械。
工作機械は工業製品の部品を作るための機械であり、工作機械受注は工業製品の部品製造ニーズを反映し、景気動向も反映するとの見方も。
※参考
●侮れない指標「工作機械受注」が示す景況感改善の予感(THE PAGE) - Yahoo!ニュース
工作機械受注(前年比)の推移
※出所:日本 工作機械受注(前年比)
2008年以降の工作機械受注(前年比。%)の推移。
工作機械受注のピークは
☆2010年:金融危機後の好況
☆2014年:欧州債務危機後の好況
☆2017年:チャイナショック後の好況
☆2021年:コロナ不況後の好況
工作機械受注のボトムは
☆2009年:金融危機
☆2012年:欧州債務危機
☆2016年:チャイナショック
☆2020年:コロナショック
であり、少しタイムラグがあったりしますが、概ね世界景気や株価動向とリンクしていそう。
工作機械受注(前年比)とTOPIXの推移
※出所:日本 工作機械受注(前年比)、TOPIX 過去のレート - Investing.comより作成
2008年2月~2022年11月の工作機械受注(前年比。%。以下「受注」)とTOPIX。
受注はグレーで左。
TOPIXはオレンジで右。
「必ず」ではありませんが、受注が上向きの時期に株価は上昇しやすく
受注減退期に株価は軟調になりやすい傾向があります。
特に受注が前年比プラスだった受注が「前年割れ」するタイミングに着目すると、2008年以降で5回あります。
1:2008年
2:2012年
3:2015年
4:2018年
5:2022年
2ではさほど株価は動いていませんが、1、3、4に関しては株価はその後大きく下げており、「受注の前年割れ」は世界景気悪化のサインであって、優秀な炭鉱のカナリアかもしれません。
直近の工作機械受注(前年比)とTOPIX
※出所:日本 工作機械受注(前年比)、TOPIX 過去のレート - Investing.comより作成
2022年11月の速報値では受注総額は1341億円で前月より「-4.9%」。
前年比だと「-7.8%」。
前年割れは10月から2カ月連続であり、かなり不穏な状況。
欧州債務危機やチャイナショックのように、今後2~3割の前年割れレベルですむのか、それ以上の前年割れとなり、世界的な景気後退となるのか、そういう心配をしてもいい状況ではあります。
※金融危機時のボトムは「-85%」。コロナ不況では「-53%」
ISM製造業景況指数、グローバル製造業PMI、日本製造業PMI、OECD景気先行指数(OECD全体)、そういった指標も景気減速を示唆している現状。
同様に工作機械受注も今後の景気悪化をにおわせる動き。
それに対して株価はかなり楽観しているようにもみえますが、今回はどうなるでしょうか。
長期的視点でみると個人的には引き続き防御的スタンスが無難と思う状況。
ちなみに2008年以降では受注の前年割れは1年半~2年程度続くことが多く、今回の受注のボトムは2023年~2024年になる、かも。
もし半年くらい前年割れが続いたら(今回だと来年3月あたり)、そこから1年から1年半にわたって、少しずつリスク資産の配分を増やしていく、というのも悪くない戦略かも。
※先のことは不明。投資は自己責任で