先週の米国市場を株式の割安割高を判断する目安になると思われる指標などで概観してみます。
簡単な米国市場の概観
<S&P500>
※出所:米S&P 500インデックス(SPX - Investing.com
直近値は「3999」で前週比「+2.7%」。
1月月間では今のところ「+4.1%」。
2022年1月の最高値「4819」より「-17.0」%水準。
<米国10年国債利回り>
直近値は「3.50%」。前週は「3.56%」で先週も低下。
先週は
★株価⇒上昇
★債券利回り⇒低下
★ドル指数⇒低下
という動きでした。
定点観測
以下の4つで定点観測してみます。
★恐怖指数<米国市場。S&P500の変動性>
★ジャンク債スプレッド<米国市場。クレジットスプレッドの一つ>
★S&P500のPBR<米国の代表的な株価指数のPBR>
★米国バフェット指標 <米国の時価総額÷米国の名目GDP>
恐怖指数
<ここ5年>
直近値は「18.35」。前週の「21.13」より低下。
水準としては長期平均(「19.3」)よりやや低く、米国の市場心理は
ふつう~やや安心?
と推測。
※参考:2018年以降の高い値(場中含む。概算値)
・2018.2月:「50」
・2018.12月:「36」
・2020.3月:「85」
・2020.10月:「41」
・2022.1月:「39」
<恐怖指数について詳しくはコチラ↓>
www.yukimatu-value.com
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ジャンク債スプレッド
本記事のジャンク債スプレッドとは
①ジャンク債スプレッド
=米国のハイ・イールド債(格付け:BB)の利回り-米国債(10年物)の利回り
※本記事ではオプション調整後
②ジャンク債スプレッドが大きい⇒株式は割安傾向
③ジャンク債スプレッドが小さい⇒株式は割高傾向
④★平均値(幾何平均):3.30
★中央値:3.14
<期間:1997年1月~2022年12月の月末>
⑤5%以上のスプレッドの時期に株価は概ね割安か?
推移グラフと現在の状況判断
※出所:ICE BofAML US High Yield BB Option-Adjusted Spread (BAMLH0A1HYBB) | FRED | St. Louis Fed
※期間:1997.1月末~2022.12.29
1.12のジャンク債スプレッド(%。格付けBB、オプション調整後)は「2.74」で、前週の「2.93」より縮小。
スプレッドの長期中央値は「3.14」で今は中央値より約13%低い水準。
投資家心理は
やや楽観
か。
<ジャンク債スプレッドについて詳しくはコチラ↓>
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S&P500のPBR
※出所:S&P 500 Price to Book Value
1999年末~直近のS&P500のPBR推移。
直近の推計値は「3.99」(前週は「3.89」)倍で前週より上昇。
長期の中央値「2.81」を42%ほど上回っており、株価水準は
割高
か。
※最近のS&P500の高PBR
①2018年1月:3.60倍(直近で世界景気がよかった時期)
②2018年9月:3.51倍(直近で米国の経済成長率が最も高かった時期)
③2020年1月:3.76倍(コロナ前、2019年9月以降の世界景気拡大期のピーク)
④2021年12月:4.73倍(コロナ後)
※出所:S&P 500 Price to Book Value
<S&P500のPBRについて詳しくはコチラ↓>
シラーPER
※出所:Shiller PE Ratioより作成 ※期間:1995.1~2022.12
1995年以降のシラーPERの推移。
1995年以降の中央値は「26.5」倍。
2022年12月までの5年移動平均は「31.6」倍。
直近値は約「29.2」倍で前週(28.5)より上昇。
長期の中央値より約10%高く、5年移動平均より約8%低い水準。
株価水準は
やや割高?
と推測。
※出所:Shiller PE Ratio
※参考:シラーPER(CAPEレシオ)とは|金融経済用語集 - iFinance
現時点での米国市場の割高割安、4つの指標からの推測、まとめ
あくまで経験的な判断ですが、現時点で各指標が示唆する株式の割安、割高の判断をまとめます。
★恐怖指数⇒割安ではない?
★ジャンク債スプレッド⇒やや割高?
★S&P500のPBR⇒割高?
☆シラーPER⇒やや割高?
長期的には米国株の水準は
やや割高~割高?
と推測。
※個人の直感、感想です。先のことは不明。投資は自己判断、自己責任で
最近のバブル崩壊後の株価低迷期と現在のデータ比較
※表のデータ出所 ・OECD景気先行指数:OECD Data ・米国失業率:US Unemployment Rate ・実質経済成長率:BEA National Economic Accounts ・マージンデット:Margin Statistics | FINRA.org ・長短金利差:米国債・金利 - Bloomberg
・恐怖指数:久々にやや安心ゾーン
・ジャンク債スプレッド、シラーPER:やや割高か
・S&P500のPBR:割高か
・OECD景気先行指数:2022年12月は98.3に低下(11月は98.4)。これまでのOECD全体⇒G20に調査対象が変更されています。ざっと見た感じでは数値に大差はなさそう
2018年との金利、物価、株価比較
前回FRBの「量的引き締め+利上げ」がセットで実施され、株式市場が大きく崩れ出したのが2018年10月頃。
当時と今の比較。()内は前週値。概算値。
FRBの利上げは7回、量的引き締めは2022年6月に開始。
②は先週低下、2018年より「0.4%」高い水準。
③は先週低下、2018年より「1.4%」高い状態。
④の最新値は低下。2018年より「4.0%」高い状態。
⑤は直近ピークから今は「-17%」水準。
※データ出所
●アメリカ 10年 債券利回り - Investing.com
●30-Year Fixed Rate Mortgage Average in the United States (MORTGAGE30US) | FRED | St. Louis Fed
●S&P500 インデックス(SPX) - Investing.com
金融ストレス指数(ここ1年)
※出所:St. Louis Fed Financial Stress Index (STLFSI4) | FRED | St. Louis Fed
2023.1.6は「-0.08」(前週は-0.02)で前週より低下。
2022.11.4以降金融ストレス上昇トレンドでしたが12.9にピークアウト。
※金融ストレス指数について
⇒金融ストレス指数とは|インデックス(指数)用語集|iFinance
おわりに
<S&P500:ここ1年>
※出所:マーケット|SBI証券
緑ラインは200日移動平均線。
移動平均線はまだ下向きですが、最近の上昇で約1ヵ月半ぶりに終値が移動平均線を上回ったS&P500。
昨年来からざっくり数えると4度目のトライとなります。
過去3回は跳ね返されていますが、今回はどうなるか。
円高でさえない日本市場とは異なり米国市場は楽観が進んでいます。
☆恐怖指数⇒久々に長期平均を下回る
☆ジャンク債スプレッド(BB格)⇒長期中央値を13%下回る
☆S&P500のPBR:久々に4倍に接近(長期中央値より約4割大きい数値)
などなど。
わたしのような現状悲観派は
2022年は金融引き締めにビビって株安
2023年は業績悪化にビビって株安
的な主張になりがち。
その主張に沿えば今は
「金融引き締めのビビり」から「業績悪化のビビり」への過渡期
ということになりますが、実際今後、ほんとに投資家がビビるような業績悪化がやってくるのかは誰もわからず。
自分の相場観もそこそこに疑いつつ、ほどほどの利益を追求。