米国の物価と政策金利について。
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「放置」されたインフレ
今更でもありますが、昨年来の物価と政策金利について。
上記は米国消費者物価(青。前年比)と政策金利である実効FFレート(赤)、ここ5年の推移(FFレートの数値は月末値)。
物価が
●+5%を超えたのが2021年6月⇒FRB動かず、FFレートは0.10%
●+6%を超えたのが2021年10月⇒FRB動かず、FFレートは0.08%
●+7%を超えたのが2021年12月⇒FRB動かず、FFレートは0.08%
●+8%を超えたのが2022年3月⇒FRBようやく重い腰を上げ、FFレートは0.33%(0.25%利上げ)
ウクライナ戦争がなければ自然に下がっていたのかもしれませんが、物価が+7%を超えても利上げがなかった訳で、『FRBが物価上昇を「放置」し、その後追い詰められて急激な利上げに転じ株式市場の混乱を招いた』と批判されても致し方ないデータではあります。
米国政策金利が 3% を超えてからまだ4ヶ月
2022年第2四半期の米国実質GDP成長率は+1.8%(前年同期比)。
同様に2022年3Qは+1.9%。
成長率が2%足らずで、物価が頭打ちした状況での政策金利「3%」は個人的には結構高いなあという印象。
で、この「3%」に到達したのは月末値では2022年9月。
なので、「3%」に到達してから2022年10月~2023年1月でまだ約4ヶ月しかたっていません。
すでに米国のISMやPMIの景気指標は昨年秋ごろから大きく下がっていますが、まだ4ヶ月です。
おそらくは時間差で悪影響が染み出してくる
4ヶ月といえば四半期ごとの決算発表でそろそろ影響が出始めそうな時間差。
でも書いていましたが、物価上昇の影響は初めはむしろ消費を喚起し、需要の先食いで経済にとって好影響となり、あとあと需要の減退で悪影響が出てくることも。
今はもう政策金利「4%」と聞いても驚きませんが、そもそも3%を超えてまだ4ヶ月くらいしかたっていない。
物価動向や政策金利動向が実体経済に与える影響にはしばしばタイムラグがあったり。
今回の4%を超えるFRB利上げの経済への悪影響は、おそらくは時間差で徐々に染み出してきつつある、というのが個人的な「感触」。
じゃあ一体そのタイムラグがどの程度(3ヶ月なのか半年なのか1年なのか)で、現行4.3%レベルの政策金利がどのくらい続けば、どのくらいGDPやS&P500に悪影響を及ぼすのかいってみろ、と問われてもわたしには分かりません。
あくまで個人的な「感触」で先のことは不明。
またユーロ圏の政策金利は現状「2.5%」。
2/2に3.0%に引き上げられる見通しですが、まだ2%台に留まっています。
そしてユーロ圏の消費者物価は2022年12月で「+9.2%」。
どちらかというと未だ経済優先、インフレ軽視、欧州株価には有利と思われるスタンス。
ユーロ圏政策金利引き上げによる経済への悪影響が出てくるのは、米国よりけっこう後ずれしそうな雰囲気。