ユキマツの「長期投資のタイミング」

「景気(企業利益動向)」「中銀の金融政策(金利動向)」「投資家のリスク許容度」などから長期投資のタイミングを探る投資ブログ

金融ストレス指数 急上昇 ~米国市場の概況~

先週の米国市場を株式の割安割高を判断する目安になると思われる指標などで概観してみます。

簡単な米国市場の概観

<S&P500>

※出所:米S&P 500インデックス(SPX - Investing.com

直近値は「3971」で前週比「+1.4」。

3月月間では今のところ「+0」。

2022年1月の最高値「4819」より「-17.6」%水準。

<米国10年国債利回り>

※出所:米国 10年 | 米国 10年 債券利回り

直近値は「3.37」(前週は「3.44%」)。

先週は

★株価⇒上昇

★債券利回り⇒低下

★ドル指数⇒低下

という動きでした。

定点観測

以下の4つで定点観測してみます。

恐怖指数<米国市場。S&P500の変動性>

ジャンク債スプレッド<米国市場。クレジットスプレッドの一つ>

S&P500のPBR<米国の代表的な株価指数のPBR>

シラーPER

恐怖指数

<ここ5年>

※出所:S&P 500 VIXインデックス

直近値は「21.74」(前週は「25.51」)。

水準としては長期平均(「19.3」)よりやや高く、米国の市場心理は

ふつう~やや不安?

と推測。

※参考:2018年以降の高い値(場中含む。概算値)

・2018.2月:「50」

・2018.12月:「36」

・2020.3月:「85

・2020.10月:「41」

・2022.1月:「39」

<恐怖指数について詳しくはコチラ↓>

www.yukimatu-value.com
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ジャンク債スプレッド

本記事のジャンク債スプレッドとは

①ジャンク債スプレッド

米国のハイ・イールド債(格付け:BB)の利回り-米国債(10年物)の利回り

※本記事ではオプション調整後

②ジャンク債スプレッドが大きい⇒株式は割安傾向

③ジャンク債スプレッドが小さい⇒株式は割高傾向

5%以上のスプレッドの時期に株価は概ね割安か?

推移グラフと現在の状況判断

※出所:ICE BofAML US High Yield BB Option-Adjusted Spread (BAMLH0A1HYBB) | FRED | St. Louis Fed

3.23のジャンク債スプレッド(%。格付けBB、オプション調整後)は「3.52」(前週は「3.39」)。

スプレッドの長期中央値は「3.14」で今は中央値より約12%高い水準。

投資家心理は

やや悲観

か。

<ジャンク債スプレッドについて詳しくはコチラ↓>
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S&P500のPBR

※出所:S&P 500 Price to Book Value

1999年末~直近のS&P500のPBR推移。

直近の推計値は「3.99」倍(前週は「3.93」倍)。

長期の中央値「2.81」を42%ほど上回っており、株価水準は

割高

か。

※最近のS&P500の高PBR

①2018年1月:3.60倍(直近で世界景気がよかった時期)

②2018年9月:3.51倍(直近で米国の経済成長率が最も高かった時期)

③2020年1月:3.76倍(コロナ前、2019年9月以降の世界景気拡大期のピーク)

④2021年12月:4.73倍(コロナ後)

※出所:S&P 500 Price to Book Value

<S&P500のPBRについて詳しくはコチラ↓>

www.yukimatu-value.com

シラーPER

※出所:Shiller PE Ratioより作成 ※期間:1995.1~2022.12

1995年以降のシラーPERの推移。

1995年以降の中央値は「26.5」倍。

2022年12月までの5年移動平均は「31.6」倍。

 

直近値は約「28.4」倍(前週は「28.0」倍)。

長期の中央値より約7%高く、5年移動平均より約10%低い水準。

株価水準は

やや割高?

と推測。

※出所:Shiller PE Ratio

※参考:シラーPER(CAPEレシオ)とは|金融経済用語集 - iFinance

現時点での米国市場の割高割安、4つの指標からの推測、まとめ

あくまで経験的な判断ですが、現時点で各指標が示唆する株式の割安、割高の判断をまとめます。

恐怖指数⇒割安ではない?

ジャンク債スプレッド⇒やや割安?

S&P500のPBR⇒割高?

☆シラーPER⇒やや割高?

長期的には米国株の水準は

やや割高?

と推測。

※個人の直感、感想です。先のことは不明。投資は自己判断、自己責任で

最近のバブル崩壊後の株価低迷期と現在のデータ比較

※表のデータ出所 ・OECD景気先行指数:OECD Data ・米国失業率:US Unemployment Rate ・実質経済成長率:BEA National Economic Accounts ・マージンデット:Margin Statistics | FINRA.org ・長短金利差:米国債・金利 - Bloomberg 

・ジャンク債スプレッド:やや割安か

・シラーPER:やや割高か

・S&P500のPBR:割高か

・マージンデット(前年同月比):1月「-22.7%」。2月は「-25.2%」。1月は増加しましたが2月は再度減少

2018年との金利、物価、株価比較

前回FRBの「量的引き締め+利上げ」がセットで実施され、株式市場が大きく崩れ出したのが2018年10月頃。

当時と今の比較。()内は前週値。概算値。

FRBの利上げは9回、量的引き締めは2022年6月に開始。

②は先週変わらず、2018年より「0.3%」高い水準。

③は先週低下、2018年より「1.5%」高い状態。

④は2018年より「3.5%」高い状態。

⑤のS&P500の下落幅は現在「18%」。

※データ出所

米国政策金利の推移|はじめてのFXなら外為どっとコム

アメリカ 10年 債券利回り - Investing.com

30-Year Fixed Rate Mortgage Average in the United States (MORTGAGE30US) | FRED | St. Louis Fed

S&P500 インデックス(SPX) - Investing.com

金融ストレス指数(ここ1年)

※出所:St. Louis Fed Financial Stress Index (STLFSI4) | FRED | St. Louis Fed

2023.3.17は「1.57」(前週は「-0.10」)。

ストレス急増。

金融ストレス指数について

金融ストレス指数とは|インデックス(指数)用語集|iFinance

おわりに

<S&P500:ここ1年>

※出所:マーケット|SBI証券より作成

緑ラインは200日移動平均線。

移動平均線はやや下向き。

3/24は200日線から「+1.0%」の水準(前週は-0.5%)で200日線の上。

 

<金融ストレス指数:1994年~>

※出所:St. Louis Fed Financial Stress Index (STLFSI4) | FRED | St. Louis Fed

欧米金融市場の緊張度(不安感)を示すインデックス、金融ストレス指数。

直近値は「1.6」(概算値。以下同様)。

1994年以降で高い数値。

☆1998年10月:1.9(ロシア危機)

☆2001年9月:1.9(ITバブル後の不況)

☆2008年10月:9.2(金融危機)

☆2020年3月:5.3(コロナショック)

☆2023年3月:1.6(米銀破たん)

米銀破たんを受けた対処により、ここ2週間でFRBのバランスシートは急拡大しており、今回の事態がそれなりのショックであった可能性を示唆する数値。

ただ過去の高ストレス時期に比して今回は株式市場はほとんど無風に近い状態。

今後すぐに嵐がやってくるのか、時間差でネガティブな事態となるのか、このまま収まるのか。

個人的には無理しないのが無難と思われる状況。

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