楽観に極み付近といって過言ではない米国債券市場。
クレジットスプレッドについてはコチラ↓
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米国債券のクレジットスプレッド① BB格
※出所:ICE BofAML US High Yield BB Option-Adjusted Spread (BAMLH0A1HYBB) | FRED | St. Louis Fedより作成
2.22のBB格付け債券と米10年国債の利回りスプレッド(%、オプション調整後)は「1.89」。
1997年以降のスプレッドの長期中央値は「3.11」で今は中央値より約-39%水準。
1997年以降のこの指標では楽観サイドの極みといってもいい状態。
米国債券のクレジットスプレッド② Baa格
BBより上位格付けの債券で観察。
2.22のBaa格付け債券と米10年国債の利回りスプレッド(%)は「1.49」。
1986年以降のスプレッドの長期中央値は「2.18」で今は中央値より約-32%水準。
1986年以降のこの指標ではBB格と同様、楽観サイドの極みといってもいい状態。
米国債券のクレジットスプレッド③ CCC格以下
※出所:ICE BofA CCC & Lower US High Yield Index Option-Adjusted Spread (BAMLH0A3HYC) | FRED | St. Louis Fedより作成
最後にBBより下位格付けの債券で観察。
2.22のCCC以下格付け債券(オプション調整後)と米10年国債の利回りスプレッド(%)は「9.06」。
1996年以降のスプレッドの長期中央値は「9.81」で今は中央値より約-8%水準。
BB格やBaa格債券市場は楽観の極み付近にいそうなのに、最も信用格付けが低いCCC以下債券市場はそれほどは楽観していない状況。
なぜCCC格以下格の債券市場はさほど楽観できないか
超低格付け債券市場がそれほど楽観できない理由は
米国の政策金利、10年国債利回りが利上げにより急速に高まったことが一因?と推測。
もともとこのレベルの低格付け企業の社債での資金調達には10年国債利回りを大きく上回る高利回りの社債(長期の中央値で長期金利を9.8%ほど上回る利回り)を発行せねばならず、現在の4%を超えるような長期金利は単純に厳しそう。
また低格付け企業が銀行からの融資を借り換える際、借り換え利回りが今は以前よりも跳ね上がっていると思われ、これも財務が総じて弱いであろう低格付け企業には苦しいポイントと思われ、こういった理由でBaa格やBB格社債市場ほどは、CCC以下格のスプレッドはタイト化していないのかも。
ITバブル時との類似
☆Baa格(比較的高格付け)のスプレッドはタイト化
☆一方、CCC以下格(格付け最低ランク)のスプレッドはさほどタイト化せず
という今の状況とやや類似しているのが2000年頃のITバブル期。
上記の赤枠のように、バブル絶頂期にBaa格は現状と近い水準までスプレッドはタイト化。
同じ時期(2000年あたり)、上記のようにCCC以下格のスプレッドはさほどタイト化せず、長期中央値(約9.8%)よりもやや大きい値で、むしろこの市場は楽観ではなくやや悲観状態でした。
わたしの中では
楽観の極み⇒スプレッド縮小
悲観の極み⇒スプレッド拡大
という固定観念があり、ITバブル期に
CCC格以下のスプレッドが目立って縮小しないのはなぜ?
という疑問が以前からあったのですが、今回もやや似た状況。
☆高格付け債券市場は比較的信用度合いが高くからバブル期の高金利下(2000年の米10年国債利回りのピークは6.66%)にあっても株式と同様、楽観サイドに近づくことができる
☆一方、超低格付け債券市場は低信用ゆえに金利急騰局面では不安要素が多く、バブル期でも株式や高格付け債券市場と一緒に踊りにくい?
という解釈がもっともらしいか。
あとがき
<BB格>
<Baa格>
というわけで、ここ数十年でみると債券市場は楽観の極みにありそうな状況。
あくまで経験則であり今後の動きを予言するものではありませんが、個人的には
☆追加投資より膨らんだリスク資産のリバランス優先
☆リスク資産の配分を軽めにしておく方が無難?
そんな印象を持たざるを得ない状況。