先週の米国市場を株式の割安割高を判断する目安になると思われる指標などで概観してみます。
簡単な米国市場の概観
<S&P500>
※出所:米S&P 500インデックス(SPX - Investing.com
直近値は「5223」で前週比「+1.9%」。
5月月間では今は「+3.7%」。
2022年1月の最高値「4818」より約「+8」%水準。
<米国10年国債利回り>
直近値は「4.50%」(前週は「4.51%)。
先週は
★株価⇒上昇
★債券利回り⇒横這い
★ドル指数⇒やや上昇
という動きでした。
定点観測
以下の4つで定点観測してみます。
★恐怖指数<米国市場。S&P500の変動性>
★ジャンク債スプレッド<米国市場。クレジットスプレッドの一つ>
★S&P500のPBR<米国の代表的な株価指数のPBR>
★シラーPER
恐怖指数
<ここ5年>
直近値は「12.55」(前週は「13.49」)。
1990年以降の長期中央値は「18.0」(月末値データ)。
米国の市場心理は
安心?
と推測。
※参考:2018年以降の高い値(場中含む。概算値)
・2018.2月:「50」
・2018.12月:「36」
・2020.3月:「85」
・2020.10月:「41」
・2022.1月:「39」
<恐怖指数について詳しくはコチラ↓>
www.yukimatu-value.com
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米債券スプレッド
本記事の米債券スプレッドとは
①米債券スプレッド
=米国の社債(格付け:Baa)の利回り-米国債(10年物)の利回り
②米債券スプレッドが大きい⇒株式は割安傾向
③米債券スプレッドが小さい⇒株式は割高傾向
④3.0%以上のスプレッドの時期に株価は概ね割安か?
推移グラフと現在の状況判断
5.9の米債券スプレッド(%。格付けBaa)は「1.48」(前週は「1.47」)。
スプレッドの長期中央値は「2.18」で今は中央値より約-32%水準。
投資家心理は
楽観
か。
<米債券スプレッドについて詳しくはコチラ↓>
www.yukimatu-value.com
S&P500のPBR
※出所:S&P 500 Price to Book Value
1999年末~直近のS&P500のPBR推移。
直近の推計値は「4.72」倍(前週は「4.76」倍)。
長期の中央値「2.83」を67%ほど上回っており、株価水準は
割高
か。
※最近のS&P500の高PBR
①2018年1月:3.60倍(直近で世界景気がよかった時期)
②2018年9月:3.51倍(直近で米国の経済成長率が最も高かった時期)
③2020年1月:3.76倍(コロナ前、2019年9月以降の世界景気拡大期のピーク)
④2021年12月:4.73倍(コロナ後)
⑤2024年3月:4.88倍(コロナ後2回目)
※出所:S&P 500 Price to Book Value
<S&P500のPBRについて詳しくはコチラ↓>
シラーPER
※出所:Shiller PE Ratioより作成 ※期間:1995.1~2024.2
1995年以降のシラーPERの推移。
1995年以降の中央値は「26.7」倍。
2024年2月までの5年移動平均は「31.5」倍。
直近値は約「34.2」倍(前週は「34.1」倍)。
長期の中央値より約28%高く、5年移動平均より約9%高い水準。
株価水準は
やや割高~割高?
と推測。
※出所:Shiller PE Ratio
※参考:シラーPER(CAPEレシオ)とは|金融経済用語集 - iFinance
現時点での米国市場の割高割安、4つの指標からの推測、まとめ
あくまで経験的な判断ですが、現時点で各指標が示唆する株式の割安、割高の判断をまとめます。
★恐怖指数⇒割安ではない?
★ジャンク債スプレッド⇒割高?
★S&P500のPBR⇒割高?
☆シラーPER⇒やや割高~割高?
長期的には米国株の水準は
割高?
と推測。
※個人の直感、感想です。先のことは不明。投資は自己判断、自己責任で
近年のバブル期と「現在」のデータ比較
※表のデータ出所 ・OECD景気先行指数:OECD Data ・米国失業率:US Unemployment Rate ・実質経済成長率:BEA National Economic Accounts ・マージンデット:Margin Statistics | FINRA.org ・長短金利差:米国債・金利 - Bloomberg
・恐怖指数:再び安心モード
・ジャンク債スプレッド、S&P500のPBR、シラーPER:割高か
金融ストレス指数(1994年~)
※出所:St. Louis Fed Financial Stress Index (STLFSI4) | FRED | St. Louis Fed
直近値は「-0.83」(前週は「-0.84」)。
ストレスが極めて少なく株高になりやすい状況。
※金融ストレス指数について
⇒金融ストレス指数とは|インデックス(指数)用語集|iFinance
おわりに
<S&P500:ここ1年>
※出所:マーケット|SBI証券
緑ラインは200日移動平均線。
直近値は200日線から「+10.7%」水準(前週は+9.0%)。
恐怖指数の5.3の値は「12.55」で3週前の「18.71」より大きく低下。
1990年以降の長期中央値「18.0」より大幅に低く再び安心モードへ。
また引き続き債券市場はどっぷり楽観に使っている状態で今のところ大崩れしそうな感じはなし。
<米債券スプレッド>
米国景気的には4月のISM非製造業が「49.4」と久々の50割れ。
※出所:https://jp.investing.com/economic-calendar/ism-non-manufacturing-pmi-176より作成
コロナ以降では2022年12月の「49.6」以来の50割れ。
「過剰貯蓄の枯渇」「失業率4%目前」「失業保険受給者が増加」
など少し4月のデータには怪しいものも増えてきています。
2022年12月頃はISMのデータ悪化もあり、
2023年は米国景気後退へ
という見方もありましたが、結局2023年1月にISMの数値は「55.2」に急上昇し、景気後退は幻でした。
継続してISM非製造業が50を下回るなら大事かも。
個人的には
☆大統領選までは当局が米国雇用、経済、市場に対して手厚いケアをしそうな気がするので、
☆少々崩れることはあっても(高値から10%~15%程度の一時的な株価の下落)
☆11月ごろまでは大崩れしなさそうな
可能性が高いと感じていますが、それは単なる油断なのか、ほんとに大丈夫なのか、どうなりますか。