4.0%まで上昇してきた米国の失業率。
それに先行する失業保険継続受給者の確認。
米国の失業率と失業保険継続受給者(1995年1月~2024年5月)
※出所:Continued Claims (Insured Unemployment) (CCSA) | FRED | St. Louis Fed、Unemployment Rate (UNRATE) | FRED | St. Louis Fedより作成
1995年1月以降の米国失業率(%)と失業保険継続受給者(万人。月間平均値。以下:受給者)の推移。
概ね赤の受給者が青の失業率に先行する傾向。
失業率が増えている状態では当然失業保険受給者も増加するので両者には強い相関があり、この期間の相関係数は「0.72」(強い正の相関)。
最近の動向
※出所:Continued Claims (Insured Unemployment) (CCSA) | FRED | St. Louis Fed、Unemployment Rate (UNRATE) | FRED | St. Louis Fedより作成
2022年1月以降の米国失業率(%)と受給者(万人。月間平均値)の推移。
赤の受給者は2022年5月に底打ち、2023年7月頃まで増加を続けるも、その後横這い。
青の失業率は2023年1~4月が底、その後はじわじわと上昇しています。
今後の推測
一般に失業率は上昇しだすとなかなか止まらず、景気後退に至るパターンも多いです。
直近ボトムから失業率が0.7%以上上昇すると近年では必ず景気後退に至っており、今回のボトムは3.4%なので4.1%まで行ってしまうと近年のジンクス的にはアウト。
※出所:Unemployment Rate (UNRATE) | FRED | St. Louis Fedより作成
今4.0%なので来月4.1%になっても全然おかしくない。
ただ失業率に先行しやすい受給者は2023年7月頃から横這い続き。
増えそうで増えず、1年近く180万人前後でうろうろ。
もし明確に景気後退に向かっているなら受給者が増えないのは強い違和感あり。
<インディード:求人件数>
※出所:Job Postings on Indeed in the United States (IHLIDXUS) | FRED | St. Louis Fedより作成
インディードの求人件数は減少続くも、コロナ前よりは10%以上多い状態。
一方景気後退まっしぐら的な様相を呈しているのは人材派遣サービス従事者数。
※出所:All Employees, Temporary Help Services (TEMPHELPS) | FRED | St. Louis Fed
こちらはコロナ前を下回り大幅な減少が続いています。
現時点の結論は
失業率や派遣などの視点では景気減速感が強いが、受給者はそうではなく、全面的に景気後退に向かっているとはいえなさそう
忘れたころに「景気後退まっしぐら」な雰囲気となるのか、いわゆる「ソフトランディング」してしまうのか。
個人的には今はまだ大きな事件は起きず「2024年大統領選挙後~2025年の景気減速・リスクオフ」を警戒していますが、どうなりますか。
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