先週の米国市場を株式の割安割高を判断する目安になると思われる指標などで概観してみます。
・投資判断はご自身で行ってください
・本ブログ記事に何らかの投資行動を推奨する意図はありません
簡単な米国市場の概観
<S&P500>
※出所:米S&P 500インデックス(SPX - Investing.com
直近値は「5815」で前週比「+1.1%」。
10月月間では今は「+0.9%」。
2022年1月の最高値「4818」より約「+21」%水準。
<米国10年国債利回り>
直近値は「4.07%」(前週は「3.97%)。
先週は
★株価⇒上昇
★米国10年国債利回り⇒上昇
★ドル指数⇒上昇
という動きでした。
定点観測
以下の4つで定点観測してみます。
★恐怖指数<米国市場。S&P500の変動性>
★ジャンク債スプレッド<米国市場。クレジットスプレッドの一つ>
★S&P500のPBR<米国の代表的な株価指数のPBR>
★シラーPER
恐怖指数
<ここ5年>
直近値は「20.46」(前週は「19.21」)。
1990年以降の長期中央値は「18.0」(月末値データより算出)。
米国の市場心理は
ふつう~やや不安?
と普段は推測するところですが、「株価上昇を伴うVIXの上昇」なので、投資家心理は
かなり楽観
か。
※参考:2018年以降の高い値(場中含む。概算値)
・2018.2月:「50」
・2018.12月:「36」
・2020.3月:「85」
・2020.10月:「41」
・2022.1月:「39」
・2024.8月:「66」
<恐怖指数について詳しくはコチラ↓>
www.yukimatu-value.com
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米債券スプレッド
本記事の米債券スプレッドとは
①米債券スプレッド
=米国の社債(格付け:Baa)の利回り-米国債(10年物)の利回り
②米債券スプレッドが大きい⇒株式は割安傾向
③米債券スプレッドが小さい⇒株式は割高傾向
④3.0%以上のスプレッドの時期に株価は概ね割安か?
推移グラフと現在の状況判断
10.10の米債券スプレッド(%。格付けBaa)は「1.54」(前週は「1.62」)。
スプレッドの長期中央値は「2.18」で今は中央値より約-29%水準。
投資家心理は
やや楽観~楽観
か。
<米債券スプレッドについて詳しくはコチラ↓>
www.yukimatu-value.com
S&P500のPBR
※出所:S&P 500 Price to Book Valueより作成
1999年末~直近のS&P500のPBR推移。
直近の推計値は「5.21」倍(前週は「5.15」倍)。
長期の中央値「2.83」を84%ほど上回っており、株価水準は
割高
か。
※最近のS&P500の高PBR
①2018年1月:3.60倍(好況)
②2018年9月:3.51倍(好況)
③2020年1月:3.76倍(コロナ前)
④2021年12月:4.73倍(コロナ後)
⑤2024年7月:5.08倍(コロナ後2回目の高水準)
⑥2024年8月:5.11倍(コロナ後3回目の高水準)
⑦2024年10月:5.21倍(コロナ後4回目の高水準)
※出所:S&P 500 Price to Book Value
<S&P500のPBRについて詳しくはコチラ↓>
シラーPER
※出所:Shiller PE Ratioより作成 ※期間:1995.1~2024.9(月初データ)
1995年以降のシラーPERの推移。
1995年以降の中央値は「26.8」倍。
2024年9月までの5年移動平均は「32.0」倍。
直近値は約「37.4」倍(前週は「36.9」倍)。
長期中央値より約40%高く、5年移動平均より約17%高い水準。
株価水準は
割高?
と推測。
※出所:Shiller PE Ratio
※参考:シラーPER(CAPEレシオ)とは|金融経済用語集 - iFinance
現時点での米国市場の割高割安、4つの指標からの推測、まとめ
あくまで経験的な判断ですが、現時点で各指標が示唆する株式の割安、割高の判断をまとめます。
★恐怖指数⇒割安ではない?
★米債券スプレッド⇒やや割高~割高?
★S&P500のPBR⇒割高?
☆シラーPER⇒割高?
長期的には米国株の水準は
やや割高~割高?
と推測。
※個人の直感、感想です。先のことは不明。投資は自己判断、自己責任で
近年のバブル期と「現在」のデータ比較
※表のデータ出所 ・OECD景気先行指数:OECD Data ・米国失業率:US Unemployment Rate ・実質経済成長率:BEA National Economic Accounts ・マージンデット:Margin Statistics | FINRA.org ・長短金利差:米国債・金利 - Bloomberg
・米債券スプレッド、シラーPER、S&P500のPBR:割高か
・長短金利差(10y-2y):逆イールド解消、6週連続で続く
金融ストレス指数(1994年~)
※出所:St. Louis Fed Financial Stress Index (STLFSI4) | FRED | St. Louis Fed
直近値2024.10.4は「-0.62」(前週は「-0.27」)。
1994年以降の長期中央値は「-0.21」。
直近値は
ストレスがとても少ない
水準。
※金融ストレス指数について
⇒金融ストレス指数とは|インデックス(指数)用語集|iFinance
おわりに
S&P500全体のPBR、5週連続の5倍を超え。
シラーPERは1871年以降で3番目に高い水準。
2021年11月には「38.58」倍まで上昇しており、今は「37.38」倍、その水準に迫ってきています。
※出所:Shiller PE Ratio - Multplより作成
※出所:アメリカ 10年 債券 過去データ - Investing.com
上記は米10年国債利回り。
ここ5週で「3.66%⇒4.11%」と「0.45%」も上昇。
※出所:S&P500 過去のレート - Investing.com
上記はSP500。
ここ5週で「5408⇒5815」と「7.5%」も上昇。
長期金利上昇は必ず株価の下落を招くわけではありませんが、基本的に急速で大幅な金利上昇は株式市場にとってネガティブ。
☆FRB 利下げ 9.18
☆中国 景気刺激策アナウンス 9.24
☆米国 異様にポジティブな雇用統計 10.4
そんなこんながここ5週続き、
☆金利上昇は強い米国景気の証
☆利下げ継続は株式市場にとってポジティブだから株価上昇も当然?
といった「いいとこどり」感が強い米国市場。
少なくとも、
ほんとに経済が強いなら利下げする必要はない
わけで、ずっとは両立しなさそうな、選挙直前のお祭り騒ぎ感も漂う「金利上昇+株価上昇」。