ユキマツの「長期投資のタイミング」

「景気(企業利益動向)」「中銀の金融政策(金利動向)」「投資家のリスク許容度」などから長期投資のタイミングを探る投資ブログ

米株 極端な楽観偏移 続く ~米国市場の概況~

先週の米国市場を株式の割安割高を判断する目安になると思われる指標などで概観してみます。

・投資判断はご自身で行ってください

・本ブログ記事に何らかの投資行動を推奨する意図はありません

簡単な米国市場の概観

<S&P500>

※出所:米S&P 500インデックス(SPX - Investing.com

直近値は「5870」で前週比「-2.1」。

11月月間では今は「+2.9」。

2022年1月の最高値「4818」より約「+22」%水準。

<米国10年国債利回り>

※出所:米国 10年 | 米国 10年 債券利回り

直近値は「4.44」(前週は「4.31%)。

先週は

★株価⇒下落

★米国10年国債利回り⇒上昇

★ドル指数⇒上昇

という動きでした。

定点観測

以下の4つで定点観測してみます。

恐怖指数<米国市場。S&P500の変動性>

★米債券スプレッド<米国市場。クレジットスプレッドの一つ>

S&P500のPBR<米国の代表的な株価指数のPBR>

シラーPER

恐怖指数

<ここ5年>

※出所:S&P 500 VIXインデックス

直近値は「16.14」(前週は「14.94」)。

1990年以降の長期中央値は「18.0」(月末値データより算出)。

米国の市場心理は

やや安心

と推測。

※参考:2018年以降の高い値(場中含む。概算値)

・2018.2月:「50」

・2018.12月:「36」

・2020.3月:「85

・2020.10月:「41」

・2022.1月:「39」

・2024.8月:「66」

<恐怖指数について詳しくはコチラ↓>

www.yukimatu-value.com
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米債券スプレッド

本記事の米債券スプレッドとは

①米債券スプレッド

米国の社債(格付け:Baa)の利回り-米国債(10年物)の利回り

②米債券スプレッドが大きい⇒株式は割安傾向

③米債券スプレッドが小さい⇒株式は割高傾向

3.0%以上のスプレッドの時期に株価は概ね割安か?

推移グラフと現在の状況判断

※出所:Moody's Seasoned Baa Corporate Bond Yield Relative to Yield on 10-Year Treasury Constant Maturity (BAA10Y) | FRED | St. Louis Fedより作成

11.14の米債券スプレッド(%。格付けBaa)は「1.39」(前週は「1.44」)。

スプレッドの長期中央値は「2.18」で今は中央値より約-36%水準。

投資家心理は

楽観

か。

<米債券スプレッドについて詳しくはコチラ↓>
www.yukimatu-value.com

S&P500のPBR

※出所:S&P 500 Price to Book Valueより作成

1999年末~直近のS&P500のPBR推移。

直近の推計値は「5.16」倍(前週は「5.27」倍)。

長期の中央値「2.83」を82%ほど上回っており、株価水準は

割高

か。

※最近のS&P500の高PBR

①2018年1月:3.60倍(好況)

②2018年9月:3.51倍(好況)

③2020年1月:3.76倍(コロナ前)

④2021年12月:4.73倍(コロナ後)

⑤2024年8月:5.11倍(コロナ後2回目の高水準)

⑥2024年11月:5.27倍(コロナ後3回目の高水準)

※出所:S&P 500 Price to Book Value

<S&P500のPBRについて詳しくはコチラ↓>

www.yukimatu-value.com

シラーPER

※出所:Shiller PE Ratioより作成 ※期間:1995.1~2024.9(月初データ)

1995年以降のシラーPERの推移。

1995年以降の中央値は「26.8」倍。

2024年9月までの5年移動平均は「32.0」倍。

 

直近値は約「37.4」倍(前週は「38.3」倍)。

長期中央値より約40%高く、5年移動平均より約17%高い水準。

株価水準は

割高?

と推測。

※出所:Shiller PE Ratio

※参考:シラーPER(CAPEレシオ)とは|金融経済用語集 - iFinance

現時点での米国市場の割高割安、4つの指標からの推測、まとめ

あくまで経験的な判断ですが、現時点で各指標が示唆する株式の割安、割高の判断をまとめます。

恐怖指数⇒割安ではない?

米債券スプレッド⇒割高?

S&P500のPBR⇒割高?

☆シラーPER⇒割高?

長期的には米国株の水準は

割高

と推測。

※個人の直感、感想です。先のことは不明。投資は自己判断、自己責任で

近年のバブル期と「現在」のデータ比較

※表のデータ出所 ・OECD景気先行指数:OECD Data ・米国失業率:US Unemployment Rate ・実質経済成長率:BEA National Economic Accounts ・マージンデット:Margin Statistics | FINRA.org ・長短金利差:米国債・金利 - Bloomberg 

・恐怖指数:やや安心

・米債券スプレッド、シラーPER、S&P500のPBR:割高か

・長短金利差(10y-3m):逆イールド、解消しそう

・長短金利差(10y-2y):逆イールド解消、11連続

金融ストレス指数(1994年~)

※出所:St. Louis Fed Financial Stress Index (STLFSI4) | FRED | St. Louis Fed

直近値2024.11.8は「-0.57」(前週は「-0.31」)。

1994年以降の長期中央値は「-0.21」。

直近値は

ストレスが少ない

水準。

金融ストレス指数について

金融ストレス指数とは|インデックス(指数)用語集|iFinance

おわりに

S&P500全体のPBR、10週連続の5倍を超えで2000年以降で最高水準。

シラーPERは2000年以降で3番目に高い水準。

11.14の米債券スプレッド(%。格付けBaa)は2000年以降で最低水準。

週間で株価は少し下げましたが、引き続き長期的にはめったにない極端な楽観偏移の状況ではありそう。

引き続きこういう状況が

☆どの程度まで進行し

☆いつまで続くか

は全く不明。

☆弱気派を焼き尽くしながらまだ上がる可能性

☆株価急落リスク

を同時に意識しつつ歩むべき時期、か。

 

また、

☆利下げによる短期金利の低下

☆最近の長期金利の上昇

もあって、長短金利差(10y-3m)の逆イールドが解消しそうな勢い。

※出所:10-Year Treasury Constant Maturity Minus 3-Month Treasury Constant Maturity (T10Y3M) | FRED | St. Louis Fedより作成

コロナ不況はあまり参考にならないかもですが、

その前の3回の景気後退の少し前に、長短金利差(10y-3m)の逆イールドが解消している

という事実はあります。

この「長短金利差(10y-3m)の逆イールド解消ネタ」に関してはまた明日以降に記事にする予定です。

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