長短金利差(10y-3m)の逆イールドが解消しそうな状況でもあり、米国景気後退 の可能性について考察。
・投資判断はご自身で行ってください
・本ブログ記事に何らかの投資行動を推奨する意図はありません
「長短金利差(10y-3m)の逆イールド解消」は不吉なサイン
上記は1982年以降の長短金利差(10y-3m:%)。
普段の米国債利回りは「10年物>3カ月物」。
たまにこの関係が利上げなどにより逆転し、「10年物<3カ月物」(逆イールド)となる時期があります。
そして
「逆イールド発生」
あるいは
「逆イールド解消」
後に景気後退が起きることが多いので、一部で気にされる指標。
2020年コロナ不況はあまり参考にならないかもですが、
確かにその前の3回の景気後退の少し前に、長短金利差(10y-3m)の逆イールドが解消している
という事実はあります(グレーは景気後退期)。
「もうすぐ米国景気後退がやってくるくるオオカミ少年」の信ぴょう性
ただ、わたしは散々「もうすぐ米国景気後退がやってくるくるオオカミ少年」におびえすぎ機会損失体験も多いので疑り深くなっています。
ほんとに景気後退が近いなら基本的には
☆実質個人消費
や
☆実質経済成長率
が下がってきているはず。
そこで「実質経済成長率」と「長短金利差(10y-3m)」の両者を併記したグラフを確認。
上記は
①実質経済成長率:前年同期比:%:赤
②長短金利差(10y-3m):%:青
の1981年以降の推移。
この期間の4回の景気後退において
景気後退前
か
景気後退初期
に
「①>②」⇒「①<②」という変化
すなわち
①実質経済成長率が低下し、上昇してきた②長短金利差(10y-3m)に追い抜かれ、青ラインと赤ラインが×を描く
シーンが必ず確認されます。
あくまで経験則で今後も同じことが起きる保証はありませんが、少なくとも
①実質経済成長率の低下
②長短金利差(10y-3m)の上昇
がセットで起き、両者の差が縮まる、あるいは逆転することは、よくない兆候ではありそう。
ちなみに現時点で
①実質経済成長率:+2.66%(2024.3Q)
②長短金利差(10y-3m):-0.08%
であり、「①-②=+2.74%」とその差は大きい状態で、今の今心配する状況ではなさそう。
おわりに
「米国の景気後退」は全世界への影響が大きいビックイベント。
声高にその恐怖を唱えるだけで、それなりの注目を集めることも可能なテーマですが、場合によってはオオカミ少年とみなされる可能性も。
コロナ不況を除けば、2009年以来、もう15年ほど米国の景気後退は起きていないわけで、わたしもちょいちょい景気後退ネタで記事を書いたりしますが、まあ、予言は誰にとっても難しそう。
とりあえず個人的には、身も蓋もない主張ですが、米国の
実質経済成長率(四半期ごとに発表)
と、成長率と相関が高く、公表データの即時性が高い
実質個人消費(毎月発表)
の動向を確認しておくのが、偏った情報に振り回されない、無難な態度、のような気が今はしています。
<実質経済成長率(前年同期比)、実質個人消費(前年同月比):2008年~>
※出所:Real Personal Consumption Expenditures (PCEC96) | FRED | St. Louis Fedより作成
最近でもっともやばかったのは、2022年第4四半期で両者ともに
「+1.3%」
程度まで低下。
直近値は両者ともに「+2.7%」以上あり、かなり好調。
今後も順調か、そろそろ沈みだすのか、また記事にしていく予定。
※実質経済成長率、実質個人消費などを確認していても、コロナ不況のような突発的なイベント不況は予見できない、というのは今後も変わらないと思われます