長期でなく中期的に、今は投資のチャンスかどうか、ポジションを減らすべき時期か、世界景気を根拠に推測する記事。
・投資判断はご自身で行ってください
・本ブログ記事に何らかの投資行動を推奨する意図はありません
今は「中期投資」のタイミングか
☆半年~数年でみてここが買いのチャンス?
と感じられる、いわば「中期投資のタイミング」を全世界の景気指標である「グローバル総合PMI」を利用して模索。
同時に
半年~数年でみてここが売り時?
と思われるタイミングも模索。
グローバル総合PMIとは
「PMI」は「購買担当者指数」のことで景気指標の一つ。
世界の多くの国で採用されており、毎月更新される即時性の高い便利な指標。
50が分岐点であり
●50より大きい⇒景気拡大
●50より小さい⇒景気減速
と判断。
製造業PMIは「製造業購買担当者指数」のことで、製造業全般の景気を示唆。
サービス業PMIは「サービス業購買担当者指数」のことで、サービス業全般の景気を示唆。
JPモルガン・グローバル総合PMIはサービス業と製造業、両方を考慮した世界全体の景気指標。
近年のグローバル総合PMIの歴史
グローバル総合PMI(緑線)の2008年以降の推移をGDP動向(オレンジ)とともに確認。
※出所:https://www.pmi.spglobal.com/Public/Home/PressRelease/1ab92992a48a4200bfacfdbdd9623c20
より作成 ※2008~2024.7
この指標、2008年以降で概ね世界のGDP動向と連動性あり。
2008年以降では3回ほど節目の50を下回り、不況を示唆。
1回目は2008~2009年の世界金融危機、2回目が2020年のコロナ不況、3回目が2022年の秋ごろ、インフレ+利上げで株価が低迷していた時期。
ほかにも好不況の分かれ目の「50」に3度接近。
1度目は2012年の欧州債務危機、2度目は2015~2016年ごろのチャイナショック。
世界景気動向をそれなりに反映してきた指標といえそう。
直近のグローバル総合PMI
世界景気動向の目安として直近のグローバル総合PMIの推移を確認。
※出所:https://www.pmi.spglobal.com/Public/Home/PressRelease/16b271b3c4524743858e8f97ebe056de
最新の2024年11月データは「52.4」で前月の「52.3」よりやや上昇。
2023年10月⇒2024年5月まで
「50.0⇒53.7」
という明確な景気拡大トレンド。
それ以降
・2024年6月:「52.9」(直近3ヵ月平均:53.0)
・2024年7月:「52.5」(直近3ヵ月平均:53.0)
・2024年8月:「52.8」(直近3ヵ月平均:52.7)
・2024年9月:「51.9」(直近3ヵ月平均:52.4)
・2024年10月:「52.3」(直近3ヵ月平均:52.3)
・2024年11月:「52.4」(直近3ヵ月平均:52.2)
直近3ヵ月平均は「52.2」(前月は「52.3」)で節目の「53」を下回りつつ、低下トレンドが続く。
ただ、3M平均の下げの勢いは鈍く、単月でのボトムは2024年9月「51.9」である現状。
トレンド読みにくく判断に苦慮する状況。
グローバル総合PMIとS&P500
※出所:JPMorgan Global Composite PMI - Analysis - Free Historical Data、S&P500 過去のレート - Investing.com、https://www.pmi.spglobal.com/Public/Home/PressRelease/ad73a90948f7466f83183e4dca78ef7d
より作成
※期間:2014.1~2024.11
グローバル総合PMI(左、赤)とS&P500(右、青)の2014年以降の推移。
ここ10年では
A:PMIが低い時期にS&P500を買ってPMIが高い時期に売ると儲かる傾向
B:PMIの低下トレンドが上昇トレンドに移る時期にS&P500を買って、PMIが高い時期が終わるタイミングに売ると儲かる傾向
はありそう。
中期投資のルール
①中期投資では主に
B:PMIの低下トレンドが上昇トレンドに移る時期にS&P500を買って、PMIが高い時期が終わるタイミングに売ると儲かる傾向
を利用
②トレンド変化の判断はPMIの3カ月移動平均を利用し、移動平均が上昇トレンドに移るタイミングで買う、あるいはポジションを増やす
③PMIが高い時期は「53以上」とし、53以上だったPMIが53を下回った時点でS&P500を売る、あるいはポジションを減らす
④コロナパンデミックのようなPMIの数値が異常に下がるような時期はいったん買いポジションを解消、上昇トレンドに転じてから買うこととする
⑤上昇トレンドが明らかな好況の目安「53」に届かず低下トレンドに転じた場合はいったん買いポジションを減らすか解消する
【中期投資のタイミング 判断】
※出所:https://www.pmi.spglobal.com/Public/Home/PressRelease/ad73a90948f7466f83183e4dca78ef7d
、S&P500 過去のレート - Investing.comより作成
「中期投資のルール」に則ると、最近では2023年12月にPMIの3カ月移動平均が上昇に転じ、買いサイン。
2024年8月はPMIの3ヵ月平均が低下し、「53」を下回ったので「売りサイン」と判断。
11月のPMI3ヵ月平均は4ヵ月続けて低下しており、いちおう
「売り継続?」
の判断。
ただSP500はお構いなしに上昇中。
あとがき
簡単な時期などありませんが、今は特に難しい局面か。
そう感じる理由。
①昨年秋~2024年5、6月まで続いた景気拡大局面の転換点、かもしれない
②9月下旬に突然「中国の景気対策発動」のアナウンスあり
③11月、米国大統領選
前々回の本シリーズで上記のように書いていましたが、引き続き難しい局面の面目躍如というところ。
・トランプフィーバー要因はリスクオン要因。フィーバータイムが終わればリスクオフ要因。
・中国の景気対策はリスクオン要因。
・2024年5~7月頃にPMIはピーク、その後やや低下しているのはリスクオフ要因。
・来年1月のトランプ政権発足までは米中の輸出業界には追い風、その後向かい風?
単月でみると2024年9月の「51.9」が現状PMIの底。
9月に中国の景気刺激策が発表され出し、サービス業はあんまりですが、中国の製造業PMI(財新)は9月以降明確に改善中。
※出所:中国 製造業購買担当者景気指数より作成
今年12月、来年1月もこの流れが続くようなら、いったんは2024年9月をボトムにグローバル総合PMIは上昇トレンドとなってもよさげな展開。
もし大きく崩れるなら2025年2月以降?という雰囲気はありますが、よくわかりません。
世界景気とリンクしやすい日米建機株価。
※出所:6301 | Komatsu Ltd. 株式-Investing.com
月末値ではコマツはまだ2024年4月がピーク(最高値は2024年7月の「5131」)。
※出所:Caterpillar (CAT) 過去データ - Investing.com
キャタピラーは中国景気対策アナウンス前後から急騰しましたが、今のところ月末値では2024年9月がピーク(最高値は2024年11月の「418.5」)。
相変わらず日米建機株価からみてもわかりにくい。