ユキマツの「長期投資のタイミング」

「景気(企業利益動向)」「中銀の金融政策(金利動向)」「投資家のリスク許容度」などから長期投資のタイミングを探る投資ブログ

なぜ「世界景気」を気にしないのか 【中期投資のタイミング 2025年3月データより】

長期でなく中期的に、今は投資のチャンスかどうか、ポジションを減らすべき時期か維持すべき時期か、世界景気を根拠に推測する記事。

・投資判断はご自身で行ってください

・本ブログ記事に何らかの投資行動を推奨する意図はありません

今は「中期投資」のタイミングか

☆半年~数年でみてここが強気するチャンス?

と感じられる、いわば「中期投資のタイミング」を全世界の景気指標である「グローバル総合PMI」を利用して模索。

同時に

半年~数年でみてここが弱気になるべき時期

と思われるタイミングも模索。

グローバル総合PMIとは

「PMI」は「購買担当者指数」のことで景気指標の一つ。

世界の多くの国で採用されており、毎月更新される即時性の高い便利な指標。

50が分岐点であり

50より大きい⇒景気拡大

50より小さい⇒景気減速

と判断。

製造業PMIは「製造業購買担当者指数」のことで、製造業全般の景気を示唆。

サービス業PMIは「サービス業購買担当者指数」のことで、サービス業全般の景気を示唆。

JPモルガン・グローバル総合PMIはサービス業と製造業、両方を考慮した世界全体の景気指標。

近年のグローバル総合PMIの歴史

グローバル総合PMI(緑線)の2008年以降の推移をGDP動向(オレンジ)とともに確認。

※出所:https://www.pmi.spglobal.com/Public/Home/PressRelease/1ab92992a48a4200bfacfdbdd9623c20

より作成 ※2008~2024.7

この指標、2008年以降で概ね世界のGDP動向と連動性あり。

2008年以降では3回ほど節目の50を下回り、不況を示唆。

1回目は2008~2009年の世界金融危機、2回目が2020年のコロナ不況、3回目が2022年の秋ごろ、インフレ+利上げで株価が低迷していた時期。

ほかにも好不況の分かれ目の「50」に3度接近。

1度目は2012年の欧州債務危機、2度目は2015~2016年ごろのチャイナショック。

世界景気動向をそれなりに反映してきた指標といえそう。

直近のグローバル総合PMI

世界景気動向の目安として直近のグローバル総合PMIの推移を確認。

※出所:https://www.pmi.spglobal.com/Public/Home/PressRelease/4028e765e5f6485493727ed61acce772

最新の2025年3月データは「52.1」で前月の「51.5」より上昇。

2023年10月⇒2024年5月まで

「50.0⇒53.7」

という明確な景気拡大トレンド。

それ以降のデータ。

直近3ヵ月平均は「51.8」(前月は「52.0」)で節目の「53」を下回り、前月より低下。

最近の単月でのボトムは2025年2月「51.5」。

3ヵ月平均のボトムは2025年3月で「51.8」。

グローバル総合PMIとS&P500

※出所:JPMorgan Global Composite PMI - Analysis - Free Historical DataS&P500 過去のレート - Investing.comhttps://www.pmi.spglobal.com/Public/Home/PressRelease/ad73a90948f7466f83183e4dca78ef7d

より作成

※期間:2014.1~2025.3

グローバル総合PMI(左、赤)とS&P500(右、青)の2014年以降の推移。

ここ10年では

A:PMIが低い時期にS&P500を買ってPMIが高い時期に売ると儲かる傾向

B:PMIの低下トレンドが上昇トレンドに移る時期にS&P500を買って、PMIが高い時期が終わるタイミングに売ると儲かる傾向

はありそう。

中期投資のルール

①中期投資では主に

B:PMIの低下トレンドが上昇トレンドに移る時期にS&P500を買って、PMIが高い時期が終わるタイミングに売ると儲かる傾向

を利用

②トレンド変化の判断はPMIの3カ月移動平均を利用し、移動平均が上昇トレンドに移るタイミングで買う、あるいはポジションを増やす

③PMIが高い時期は「53以上」とし、53以上だったPMIが53を下回った時点でS&P500を売る、あるいはポジションを減らす

④コロナパンデミックのようなPMIの数値が異常に下がるような時期はいったん買いポジションを解消、上昇トレンドに転じてから買うこととする

⑤上昇トレンドが明らかな好況の目安「53」に届かず低下トレンドに転じた場合はいったん買いポジションを減らすか解消する

【中期投資のタイミング 判断】

※出所:https://www.pmi.spglobal.com/Public/Home/PressRelease/ad73a90948f7466f83183e4dca78ef7d

S&P500 過去のレート - Investing.comより作成

「中期投資のルール」に則ると、最近では2023年12月にPMIの3カ月移動平均が上昇に転じ、買いサイン。

2024年8月はPMIの3ヵ月平均が低下し、「53」を下回ったので2024年11月までは「弱気サイン」と判断。

その後

「51台~52台」のレンジ

での横ばいが続き2024年12月~2025年1月はニュートラル。

2025年2月以降は直近3ヵ月PMIが明確に低下しはじめており、世界景気の下方トレンドを示唆していそうな雰囲気。

3月データは2月より上昇していますが、3ヵ月平均は低下トレンド継続のため、個人的には

弱気スタンス継続

(リスク資産ポジションを減らす、がつがつ買い増さない、先物やオプション等でのヘッジを増やす、など)

がベター?

という印象。

・投資判断はご自身で行ってください

・本ブログ記事に何らかの投資行動を推奨する意図はありません

あとがき

小汚い表ですが、最近はわりと役立っている印象。

2024年5~7月ごろをピークに世界景気はじわじわと不調になりつつあり、

●2024年8月と2025年2月

●弱気がベター?

と表は判断。

もちろん想定外のトランプ関税がなければ株価はもっと高いところにあるはずで、たまたまともいえますが、個人的には

世界景気トレンドがさえない時期は守備意識を高める

というスタンスは大事と思います。

また新NISAも始まり世界株投資なども一部で流行っているにも関わらず、

世界株投資をするなら世界景気の流れも意識しよう

という論調は非常に希薄。

「長期分散積み立て投資」は意識してもなぜか「世界景気動向」はガン無視。

米国の雇用統計やISM指標、小売売上などの指標はしばしば意識されますが、名目GDP(ドル建て)でみると米国は全世界の26%ほど、4分の1程度。

S&P500や世界株に組み入れられているグローバル企業は全世界の主要な経済圏で商売をし、利益を上げているわけで、そういった企業に投資するなら米国景気だけでなく全世界の景気動向を反映する指標をまず気にすべきではないか、その指標の第一候補がグローバル総合PMIではないのか、というのがわたしの持論。

木を見て森を見ず

でいえば「森」にあたるのがグローバル総合PMIではないかと。

 

3月は上昇しましたが、この雰囲気だと4月の数値は大きめに低下しそう。

そうすると3ヵ月平均の低下は止まらず、しばらくグローバル総合PMIはさえない動きになりそうで、本ブログの弱気スタンスが続くかも。

ただ株価がどこで底打ちするかはまた別問題で、なぞ。

なぞつながりでいえば、景気トレンドを全く気にしないで中長期の株式投資をする心理も、なぞ。

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