世界全体のバフェット指標についてはすでに記事にしています。
では、日本のバフェット指標はどうなのか、みてみます。
日本バフェット指標を知るメリット、その強み
●日本株の割安割高を判断する目安になる、かも
●日本市場のデータは毎日確認できるため即時性は高い
「バフェット指標」とは?
まず、バフェット指標の一般的な説明を引用します。
バフェット指標は、投資の神様とも言われる、ウォーレン・バフェット氏が愛用しているとされる、ある国のGDPと上場株式の時価総額の総和を比べる指標をいいます。これは、ある国の株式時価総額増加率と名目GDP成長率は長期的には収斂するとの主張に基づくもので、ある国の株式相場に急落の可能性は高まっていないか、あるいは逆に売り込まれすぎていないかを見る場合に使われます。
※引用元:金融情報サイト「バフェット指標」
具体的には
◎バフェット指標=ある国の時価総額÷名目GDP
です。ここでの時価総額は市場規模をさします。
名目GDPは経済規模のことでもあるので、
◎バフェット指標=市場規模÷経済規模
です。
※時価総額の説明→【世界時価総額】で株式の割安割高を探る【ダイジェスト版】
※GDPの説明→金融情報サイト「GDP」
日本バフェット指標とは
◎バフェット指標=ある国の時価総額÷名目GDP
なので、
日本のバフェット指標=日本の時価総額の合計額÷日本の名目GDP
です。
日本のバフェット指標のことを、当ブログでは日本バフェット指標と呼びます。
●日本バフェット指標=日本の時価総額の合計額÷日本の名目GDP
●日本バフェット指標=日本の市場規模÷経済規模
経済規模と市場規模の関係(GDPと時価総額の関係)
名目GDP成長率と株式時価総額増加率は長期的には正比例する傾向があります。
実際、1995年末と2015年末を比較すると、20年間で世界全体の市場規模(時価総額)は約3.9倍、経済規模(名目GDP)は約2.4倍になっています。
出所:以下サイトデータより管理者作成 ◎名目GDP→IMF ◎世界時価総額→WFE
非常に雑な解釈ですが、一国の経済規模と市場規模の間には長期的には一般的に以下のような傾向があるからだと思われます。
●経済規模↑⇒企業利益↑⇒株価↑⇒市場規模↑
●経済規模↓⇒企業利益↓⇒株価↓⇒市場規模↓
国でなく、世界全体で考えても同様に、世界の経済規模が大きくなれば、長期的には世界の株式市場規模も大きくなる傾向がある、逆も然り、といえそうです。
●世界の経済規模⇔世界の市場規模
●世界経済の成長⇔世界市場の拡大
日本バフェット指標の推移
ここで、近年の日本バフェット指標の推移グラフを見てみます。
1985年1月末~2017年4月末の月末データを利用したグラフです。
※出所: 以下サイトデータより管理者作成 日本取引所グループ 世界経済のネタ帳
日本バフェット指標の使い方の一例
この期間における388個の月末データの
◎平均値(幾何平均)→ 0.75
◎中央値→ 0.72
です。
平均値を挿入したグラフは以下のようになり、経験的には概ね
◎平均値以上の時期が割高傾向
◎平均値以下の時期が割安傾向
と推測してもよいかもしれません。
※出所: 以下サイトデータより管理者作成 日本取引所グループ 世界経済のネタ帳
さらに、この期間に限った経験則では、日本バフェット指標が概ね
◎0.55以下の時期は明瞭な割安時期
◎1.00以上の時期は明瞭な割高時期
と考えてもよさそうです。
※出所: 以下サイトデータより管理者作成 日本取引所グループ 世界経済のネタ帳
参考データ
参考までに、日本バフェット指標が示唆していた「バブル期」と「暴落期」の日経平均とS&P500(米国の株価指数)の数値も確認しておきます。
※出所: 以下サイトデータより管理者作成 ◎日本取引所グループ ◎世界経済のネタ帳 ◎日経平均→ヤフーファイナンス ◎S&P500→ヤフーファイナンス
1989.12月頃の日本のバブルはすごかったようです。
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日本バフェット指標で株式の割安割高を判断する問題点
「日本バフェット指標で株式の割安割高を判断する手法」にも問題はあります。
問題点は主に3つあります。
問題①:日本バフェット指標は未来を予測できない
日本バフェット指標は単なる経験則です。
過去と比較した現在の相場水準を、長期データを用いて推測しているだけのことです。
過去のパターンが未来にも再現される保証はなく、参考にはなると思いますが、未来予測はできなさそうです。
問題②:日本バフェット指標の長期的な平均値は時代とともに変化していく可能性が高い
1985年1月末~2017年4月末の日本バフェット指標の平均値は0.75でした。
この平均値は、今後、上昇していくかもしれませんし、逆に下がっていくかもしれません。
0.75という数値はあくまで1985年1月末~2017年4月末という期間の代表値であり、
◎普遍的な値ではない
◎現時点での目安に過ぎない
という点は注意が必要と思われます。
問題③市場の環境は変わる
また、現在日銀は年間6兆円の株式ETF購入を実施しています。
これが長期的にどう効いてくるのか、未知数ですが、常識的に考えれば
●GDPに比べて時価総額を大きくする
●日本バフェット指標の数値を底上げする
可能性の方が高いと思われます。
その他問題点もありますが、一つの目安として、個人的には観察を続ける予定です。