先日インドネシアの石炭事業への投資がらみで不正があったらしい、とのニュースがありました。
<出資法違反容疑>インドネシア投資で35億円 社長ら逮捕 (毎日新聞) - Yahoo!ニュース
「元本保証・高配当」かたり 出資金入手 大阪 (朝日放送) - Yahoo!ニュース
ずいぶん地味なうたい文句・・・ではなかった
警察によりますと、堀田容疑者らは2015年11月から翌年の8月にかけて、40代から60代の女性3人に、1口100万円でインドネシアの石炭事業への投資話を持ちかけた上、「元本保証・月2パーセントの配当」を約束し、現金3000万円を預かった疑いが持たれています。堀田容疑者ら4人は、360人から35億円を集めたとみられ、警察に対し容疑を認めています。
※引用元:「元本保証・高配当」かたり 出資金入手 大阪 (朝日放送) - Yahoo!ニュース
はじめニュースをみたとき、
年利2%とは、ずいぶん地味なうたい文句だな・・・
と思ったのですが、よくよく確認してみると月2%でした。
しかも元本保証。
100万円からの出資。
税金や手数料?を考慮しなければ、100万円で毎月2万円。
1000万円で毎月20万円。
年間でそれぞれ24万円、240万円の配当になります。
おまけに元本保証。
夢のような話です。
これで
「360人から35億円を集めた」
とのこと。
平均的には一人1000万程度出資し、毎月20万円程度の安定収入を目論んだ人が360人はいたらしい、という推測も成り立ちます。
そもそも元本保証をにおわすだけで、怪しい。
※出資法では元本保証を明記したり、暗にそれらしく説明することも禁止されている、らしいです
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「投資でそれなりに苦労をしておくこと」や「投資で早めに失敗しておくこと」「苦い経験をしておくこと」は、悪いことばかりではない?
昨年、本を書きました。
その中に投資の意義の一つとして
”インフレから身を守る技術を磨くこと”
という仮説を入れました。
日本で投資というと
楽してお金を増やすこと(それを目論むこと)
のようなイメージも強いですが、わたしは実際に自分でリスクをとって投資してみることの意味は、もっと多面的だと思います。
投資は例えば、
●資産価値を(増やすだけでなく)守る技術を磨くことでもあり、
●お金を必要とする相手(株式発行企業や債券発行体)にお金を融通して、何らかの利益(分け前、見返り。投資対象の値上がり、配当、利払い等)を得るビジネスの一種、
とも解釈できますし、
●ままならない市場に感情をゆさぶられながら、市場と仲良くしたりときに嫌いになったりしつつ、長期的につきあい続けること、にらめっこし続けること(投資スタイルによってはある種の”精神修行”)
でもあると思います。
この流れで投資詐欺の記事をみていると、投資体験のメリットとして
投資詐欺に遭う可能性を下げるための経験
という項目を加えてもいいのかもしれません。
自分で考え、自分の判断で何らかの投資を実行し、
「それなりに苦労をしておくこと」
「何らかの失敗しておくこと」
「苦い経験をしておくこと」
そういう経験があれば、元本保証、月利2%に1000万出資する可能性も減るんではないかと思います。
日本10年債の利回りは年利0.08%程度(2018.1.19時点)のご時世です。
個人向け・変動・10年ものの日本国債の年利は現在0.05%程度です。
※税引き後0.04%程度。1000万円投資して、年間4000円くらい。月々330円くらいの利益
ここ5年以上、株式市場は総じて順風ですが、この環境でも毎年24%の利回りを実現できている人も、少ないのではないかと、元本保証で・・・
1000円で「経験を買う」
例えば、、、ですが、
上記記事では
1000円から始める国際分散投資
の一例を紹介しています。
たとえ1回の外食代で消えてしまい得る1000円であっても、
●2年とか3年、それなりの期間
●毎月運用成績をつけ、年間の収支も計算し
●必要に応じてリバランスしながら
きっちり真面目に運用を行えば、それなりの投資体験にはなりそうです。
決して二度と同じ投資環境は再現されないので、どこまで投資経験が未来に生きるかは未知数ですが、少なくとも全くの投資未経験の人よりは、その数年のたった1000円の投資経験によって、
”何かしらの知恵”
”ある種の気付き”
が生まれているかもしれません。
そしてその知恵や気づきは、極端な話ですが、1000円以上の価値、場合によっては大事な1000万円をむしられない、素晴らしい知恵になることすらあるかもしれません。
おわりに
投資詐欺の記事を読んで、こんな記事を偉そうに書いてみましたが、誰でも失敗するときは失敗するものです。
わたし自身、ちょくちょく失敗続きですし、自分の実力と幸運を勘違いしたり、いい気になってひどい目に遭ったこともあり、要するに
”運に救われている”
ことも多いです。
一人当たり1000万円程度の被害額、いくらか戻るのかゼロなのか、不明ですが、運よく少しでも戻るといいですね。
関連記事。そもそも投資とは?シリーズ