FRBが突然の量的緩和。
FRB総資産 突然の増加
<FRB総資産:2002年以降>
<ここ5年>
<ここ1年>
長期でみても分かるくらい3/8~3/15の1週でFRBの総資産は急増しています。
増加幅は「0.30」兆ドル、日本円にして約40兆円。
昨年9月以降、FRBは概ね月間「0.07」兆の量的引き締めを行っているので、
量的引き締め約4ヶ月分の金額をこの1週間で増やした
ことになります。
「1週で0.3兆ドル増加」はめったにないこと
2002年以降、このくらいの規模と早さ(1週で0.3兆ドル)でFRB資産が増えたのは
☆2020年3~4月の3週:コロナショック対応
☆2008年10月の1週:金融危機対応
計4週しかありません。
株価はそれほど下げてはいませんが、ここ1週の状況は実際けっこうやばかったのかもしれません。
突然の増加の背景
◎なぜ突然増えたのか
◎なんの目的で増やしたのか
◎具体的にどこに貸し出したのか、何を買って、何をサポートしたのか
そういったことの詳細はわたしには分かりませんが、背景には、
☆シリコンバレーバンク(SVB)をはじめとする複数の米銀の経営破たん
☆それに起因する信用不安の広がり
☆信用不安を打ち消すための取り組み
それらへの対処の結果としてFRBの資産が1週間で40兆円ほど、急増したのではないかと推測。
※参考
今後の影響
何もなければFRBは粛々と量的引き締めを続けていたはずで、その増加資産規模から、今回は「臨時の危機対応」だった可能性が高いと思われます。
本ブログでは何度も同じことを繰り返していますが、結局のところ、
物価上昇により金融引き締めを強いられている
ことが諸悪の根源であり、わたしが今リスクオンになれない主な理由。
そもそも「量的引き締めの目的」の一つは、物価上昇を抑えることでした。
危機対応として短期的にFRBバランスシートが急拡大することは致し方ないと思われますが、臨時の量的緩和を連続的に強いられるようだと、長い目でみると
インフレが長持ちしてしまう、インフレが高進してしまう
そんな将来リスクが想起される状況(臨時の量的緩和は短期的には株式市場にとってポジティブ材料)。
物価上昇⇒金融引き締め⇒株価下落
⇒物価少し下がる⇒再度の金融緩和⇒再度の物価上昇⇒再度の金融引き締め⇒再度の株価下落
⇒物価少し下がる⇒再々度の金融緩和⇒再々度の物価上昇⇒再々度の金融引き締め⇒再々度の株価下落
みたいなネガティブループも嫌なイメージ。
2009年以降、先進国の積極的な金融緩和・財政出動、中国の高度経済成長、そういったもので株式市場には順風が吹き続けてきていましたが、「40年ぶりのインフレ高進」「中国高成長時代の終焉」によりここ10年以上のモデルが怪しくなっている雰囲気。
「40年ぶりのインフレ高進」に今後いつけりがつくのか。
意外に今年や来年のうちにけりがつくのか。
4、5年かかるような大事になるのか。
とりあえずここ10数年のような積極的な財政出動や金融緩和策がインフレ高進により実行されにくくなっていることを常に気にしながらリスクテイクしていかざるを得ない現状か。