米国の設備稼働率と景気の観察。
米国の設備稼働率(ここ1年)
※出所:米国 - 設備稼働率 | 1967-2023 データ | 2024-2025 予測
生産能力に対する実際の生産量の比率、設備稼働率。
一般に
☆景気が良くなる⇒稼働率は上昇
☆景気が悪くなる⇒稼働率は低下
米国の稼働率はここ1年では「78.9~80.8%」の範囲。
昨年12月が最も落ち込みましたが、それでも78.9%。
最新の2023年4月は79.7%。
米国の設備稼働率(ここ5年)
※出所:米国 - 設備稼働率 | 1967-2023 データ | 2024-2025 予測
米国の稼働率、ここ5年ではざっと「64~81%」の範囲。
コロナで急低下。
高い時期で80%前後。
米国の設備稼働率(ここ25年)
※出所:米国 - 設備稼働率 | 1967-2023 データ | 2024-2025 予測
米国の稼働率、ここ25年ではざっと「64~83%」の範囲。
25年に期間が拡大しても2020年コロナショックの64%程度が最低。
ITバブル後の不況で74%程度の低値(2002年頃)。
サブプライムバブル後の不況で67%程度の低値(2009年頃)。
欧州債務危機ではほぼ下がらず、チャイナショックで75%程度の低値(2016年頃)。
高い時期については
ITバブル期の1999~2000年頃の82~83%がこの期間のピーク。
サブプライムバブル期で81%程度の高値(2005~2007年頃)。
チャイナショック前で79%程度の高値(2014年頃)。
チャイナショック後の世界的好況で80%程度の高値(2017~2018年頃)。
コロナショック後で81%程度の高値(2022年頃)。
株価との連動性に関して、1年程度ずれてそうな時期もそこそこありそうですが、ざっくりとした流れにおいてはそれなりの連動性がありそう。
米国の設備稼働率の今
以上をふまえて直近値2023年4月の「79.7%」をどうとらえるか。
※出所:米国 - 設備稼働率 | 1967-2023 データ | 2024-2025 予測
2023年4月の「79.7%」はここ25年でみると高い水準。
過去の経験を重視するならとても「景気後退している」とは言えない水準で、ピークよりやや落ちているものの、「景気後退まっしぐら」という感じでもない。
今後まず75%水準へ、さらにその下に向かってずんずん下がっていくようならそれは「景気後退」かもしれませんが、現状でははっきりした景気後退の雰囲気を感じられない、
アメリカ 景気後退 してないと思う
というのが今のこの指標からのメッセージかと。
ISMやPMI、雇用統計がらみの指標などに比べて注目度が低そうな指標ですが、米国景気をざっくり把握するうえで、けっこう実力と実績のある指標かも。
個人的にはこの指標の2022年12月の低下に完全に「だまされた派」(利上げ局面で2022年11月の値から1.4ポイントも下げたので、このまま下がっていくのでは?と感じた)に属しますが、まあ、株価の動きと同様、景気指標の動きで判断を誤ることもあるのは、しかたのないところかと。