「ユーロ圏製造業PMI」からユーロ圏の景気と株価について。
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ユーロ圏製造業PMIとは
「ユーロ圏製造業PMI」はユーロ圏の景気指標の一つ。
50が分岐点であり、
●50より大きい⇒景気拡大
●50より小さい⇒景気減速
と判断。
ユーロ圏製造業PMI 2008年以降
※出所:ユーロ圏 製造業購買担当者景気指数より作成
2023年9月の速報値は「43.4」(前月比−0.1)。
2021年6月「63.4」が直近のピーク。
2023年7月「42.7」が直近ボトム。
節目の50を大きめに下回り、2012年の欧州債務危機の頃よりも低く、2008年以降では3番目に低い水準。
「ユーロ圏製造業PMI」と「ユーロ50(前年比:%)」
※出所:ユーロ圏 製造業購買担当者景気指数、ユーロ・ストックス50 過去のレート - Investing.com
より作成 ※期間:2008.1~2023.8
上記は「ユーロ圏製造業PMI」と「ユーロストックス50(欧州の代表的な株価指数。前年同月比、%)」の2008年以降のチャート。
PMIは左目盛り、株は右目盛り。
両者には概ね正の相関(PMI上昇⇒株価上昇、逆もしかり)がみられることが多いです。
この期間の両者の相関係数は「0.58」で数値的にも強い正の相関あり。
「ユーロ圏製造業PMI」と「ユーロ50(前年比:%)」、負の相関の時期も
ただ、今は負の相関(PMI低下⇒株価上昇)の時期。
PMIが低下しているのに株価は上昇している時期。
以前にも負の相関の時期があり、2019年から2020年のコロナ前にかけて。
あの頃は世界的な地味な景気悪化を受けて、FRBの隠れQEや利下げなどの強力な金融緩和政策が発動し、コロナ前まで株価が浮揚していました(その後コロナで株価は急落)。
今回も今年3月に米銀破綻を受けて、FRBが大規模な流動性供給を実施。
欧州は製造業もサービス業も景気悪化しているものの、欧州株は堅調という流れに。
景気動向よりも中銀動向、しかもECBでなくFRB動向に大きく左右されている状況であり、
景気の流れを先読みできても株価動向の先読みには失敗した
事例として個人的には印象深い状況。
中銀、FRBは強力、中銀が緩和してくる際は空売りは要注意。
おわりに
上記は2012年以降のユーロ圏 S&P Global総合PMI。
サービス業と製造業の両方を加味した総合PMI。
昨年来、製造業はだめでもサービス業は好調という状況が続きましたが、最近はサービス業も低調で節目の50を下回り、2012年ごろの欧州債務危機と似たような水準に落ち込んでいます。
上記記事より引用
ハンブルク商業銀行のチーフエコノミスト、サイラス・デラルビア氏は「ユーロ圏のサービス業PMIは厳しい内容だ」とし、第3・四半期のユーロ圏経済が0.4%のマイナス成長になるとの見方を示した
中国リオープンで欧州経済も復活か、という期待が大きく崩れている現状、欧州経済の起爆剤は何になるのか、しばし低迷するのか。