米国の「失業保険継続受給者数」が増加している話。
失業保険継続受給者を確認する意義
<失業保険継続受給者:1967年~:グレーは景気後退期>
※出所:Continued Claims (Insured Unemployment) (CCSA) | FRED | St. Louis Fedより作成
1967年以降の景気後退期には必ず失業保険継続受給者が急増しています。
経験的には
景気後退期=失業保険継続受給者が急増の時期
であり、失業保険継続受給者の動きをみることで、米国が景気後退に向かっているかどうか判断する目安になる可能性があります。
最近の動向
<失業保険継続受給者:ここ2年半>
※出所:Continued Claims (Insured Unemployment) (CCSA) | FRED | St. Louis Fedより作成
直近のボトムは2022年9月の約129万人。
2022年12月には165万人まで30万人以上も急増しました。
このままいけば2023年には景気後退か、という推測が生まれたのも無理もない動き。
その後も増加は続き、2023年4月には186万人まで増加。
しかし、3月に連鎖的な米銀破綻が起き、その対応策として種々の金融緩和政策がとられ、米景気は持ち直し、失業保険継続受給者も減少に転じました。
2023年9月には166万まで減少。
☆2022.9:129万人(直近ボトム)
☆2023.4:186万人(約7ヵ月で+57万人)
☆2023.9:166万人(約5ヵ月で-20万人)
9月前半までは減少傾向だったのですが、直近では増加。
月間の増減でみると9月は+2万人。
10月は10.14までで8万5千人の増加となっています。
10月の動きが今後どうなるかは不明ですが、月間で8万人超の増加はけっこう大きな動き。
1980年以降の景気後退開始時の失業保険継続受給者数
1980年以降では失業保険継続受給者が240~290万人程度で景気後退が始まっています。
☆1981年:290万人
☆1990年:240万人
☆2001年:250万人
☆2007年:260万人
※数値は概算値 ※コロナ不況は除外
今は約180万人。
あと60~110万人の増加で、経験的には不況到来確率の高い状況になります。
もし10月のような増加傾向が継続し、今後ひと月9万人平均で増加すれば、あと7~12ヵ月程度でその水準に到達します。
ただの試算であり、実現確率は不明ですが。
個人的な勘
昨年後半の失業保険継続受給者の急増を受けて、
こりゃあ景気後退か?米国より景気が弱そうなユーロ株を空売りしてみよう
と思い、ユーロ50を空売りしていまだに含み損を抱えているのがわたし。
株価の動き同様、経済指標にも「だまされる」(被害妄想)ことは多いので、あまり当てにはしていませんが、もしも今後失業保険継続受給者が増え続け、200万人を超えてくるなら、景気後退警戒モードに入ってもいいのかも。
そうでなければむやみに怖がらない方がいいのかも。
個人的な勘として、来年秋の大統領選を考慮し、是が非でも、景気後退時期を遅らせたいという米政権の意向があると推測。
よって、景気後退時期は2024年の前半ではなく後半か、2025年前半と推測。
ただの勘、先のことは不明。
参考