
為替レートの水準を推し量る一つの視点「実質実効為替レート」で円の水準を推測。
・投資判断はご自身で行ってください
・本ブログ記事に何らかの投資行動を推奨する意図はありません
実質実効為替レートを確認するメリット
名目レートだけでなく「インフレ変動」や「貿易額」で調整を施した為替レート(=実質実効為替レート)も知っておくことで、現在の為替レートの水準を知る手掛かりになる、かも。
実質実効為替レートとは
2025.5.16時点「1ドル=145円程度」の円のレートは「名目レート」。
実質実効為替レートの「実質」は
「実質」→「インフレ変動(物価変動)で調整した」
の意味。
また、実質実効為替レートの
「実効」→「貿易額などに応じて加重平均して算出した」
の意味。
実質実効為替レートは単純な名目レートではなく、
各国のインフレ変動や貿易額に応じた調整を施した為替レート
のことで、一般的な名目レートでは把握しにくい
通貨の「実力」を推し量る指標
とする人もいます。
※参照
●コトバンク:実質実効為替レート(ジッシツジッコウカワセレート)とは
●金融情報サイト:実効為替レート
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円の実質実効為替レートの推移(5年移動平均を併記)

※出所:主要時系列統計データ表より作成
※グラフ期間:1980.1月~2025.3月
最新値2025年3月の円の実質実効為替レートは「73.46」(前月は「72.58」)。
3月はやや円高方向に動きました。
直近ボトムは2024年7月「68.27」で当時より8%ほど円高方向に移動。
「円の実質実効為替レート」と「5年移動平均」

※出所:主要時系列統計データ表より作成
※グラフ期間:1980.1月~2024.8月
1980年からの円の実質実効為替レートとその5年移動平均。
円安、円高の判断の一手段として5年移動平均からの乖離率を観察する方法があり、本記事では
☆移動平均より今のレートが小さい⇒円安?
☆移動平均より今のレートが大きい⇒円高?
と判断。

ざっくりいえば、
☆オレンジで〇をした時期が円安?
☆青で〇をした時期が円高?
と判断。
この見方で行くと、今は円安。

※出所:主要時系列統計データ表より作成
※グラフ期間:1980.1月~2025.3月
次に5年移動平均から上下どちらに何%ずれているか、「5年移動平均からの乖離率」と「ドル円レート」を併せて観察。
「円の実質実効為替レート・5年移動平均からの乖離率」と「ドル円」

※出所:主要時系列統計データ表、USD JPY 過去データ - Investing.comより作成
※グラフ期間:1990.1月~2025.3月
赤:「円の実質実効為替レート・5年移動平均からの乖離率(%)・左軸」
青・点線:「ドル円・右軸」
です。
1990.1~2025.3までの両者の相関係数は「-0.59」で逆相関があり、
☆5年移動平均からの乖離率が下がる⇔ドル円が上がる(円安)
☆5年移動平均からの乖離率が上昇する⇔ドル円が下がる(円高)
という傾向あり。
今は円安か?

※出所:主要時系列統計データ表、USD JPY 過去データ - Investing.comより作成
※グラフ期間:1990.1月~2025.3月
2025年3月の5年移動平均からの乖離率は「-10.2%」(前月は「-11.8%」)。
乖離率「-25%~-15%」
を「明確な円安ゾーン」とすると、3月の値はそのゾーン少しから離れ
まあまあ円安?
と推測される水準。
おわりに
2024年7月をボトムに2025年3月までに実質実効為替レートは約8%上昇。
TOPIXの月末値、2024年7月⇒2025年3月は約-5%の下落。
実質実効為替レート低下トレンドのボトム時期が株高のピーク付近?
という仮説にどの程度信ぴょう性があるかは不明ですが、円安の勢いが鈍ると株価上昇の勢いが鈍りやすいのは、実感としてありそうな関連性。
このまま円高方向の流れが続くか、どこかで反転するか、どうなりますか。
個人的には世界景気の不調が続けば円高方向の流れが強そう、と推測。
※参考記事

