2018年8月、S&P500が高値更新したこともあり、2018年1月のピーク時と現在の市場環境について、主に米国市場中心に2回シリーズで観察してみます。
本記事は1回目で、株価、時価総額、PBR、CAPE、実質実効為替レート、金利などの面から。
米国株、世界株、新興国株の株価比較
2018年1月のピーク値と2018年8月のピーク値の比較(2018.8.24時点)
●S&P500:2873⇒2877(+0.1%)
●ダウ:26617⇒25889(-2.7%)
●ナスダック:7506⇒7950(+5.9%)
●VT(世界株):79.74⇒75.93(-4.8%)
●VWO(新興国株):50.99⇒43.88(-13.9%)
この期間、ナスダックが強く、新興国が弱かったことがうかがえます。
世界全体ではマイナス。
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米国、中国、日本、英国、世界の時価総額比較
2018年1月末と2018年7月末の比較(全世界は7月のデータがまだ確認できず、1月末と6月末の比較。浮動株調整を行わず)。
●米国(ニューヨーク+ナスダック):33.6兆ドル⇒35.2兆ドル(+4.8%)
●中国(上海+深セン):9.3兆ドル⇒7.4兆ドル(-20.4%)
●日本(全市場):6.5兆ドル⇒6.1兆ドル(-6.2%)
●英国(LSEグループ):4.6兆ドル⇒4.3兆ドル(-6.5%)
●全世界:89.8兆ドル⇒84.2兆ドル(-6.2%)
この期間、米国一人勝ち。中国は大幅な下落。
S&P500のPBR、CAPE比較
「2018.1.26」⇒「2018.8.24」の推計値比較。
●PBR:3.6⇒3.5
●CAPE:34.8⇒33.0
両者とも数値は低下。
これらの指標ではS&P500は
1月の方が8月より割高度が高かった
と推測できそう。
「ドルの実質実効為替レート」「長期金利」などの比較
※出所:Real Broad Effective Exchange Rate for United States | FRED | St. Louis Fedより管理者作成
通貨の実力を示唆するともいわれる実質実効為替レート、USドルのここ1年の推移です。
1月と7月を比較すると
●108.76⇒117.90(+8.4%)
に変化しており、かなり大幅なドル高相場だったことが推測されます。
その原因の一つと思われるのがFRBの利上げや量的引き締めです。
実効FF金利は1月と7月を比較すると
●1.41%⇒1.91%(+35.5%)
に上昇。
米10年の長期金利は2018.1.23⇒2018.8.24で
●2.62%⇒2.81%(+7.3%)
に上昇。
FRB資産は1月末と2018.8.22を比較すると
●4.42兆ドル⇒4.23兆ドル(-4.3%)
に減少。
FRBの引き締め政策
⇒米国金利上昇・ドル高(ドル買い)
⇒新興国を中心としたマネー流出、米国へのマネー流入
という流れが生まれていたようにも見受けられます。
ここまでのまとめ
~リスクらしいリスクが見当たらない~
~日経平均3万円?4万円?~
2017年秋~2018年年初は総じて楽観モードに包まれていました。
実際2018年1月までは好調を維持。
その後、米国以外はあまりぱっとしない状況に向かい、特に新興国株は大きく下げています。
個人的には2018年1月~8月、「FRBの引き締め政策」を一因として
●ドル高
●新興国からのマネー流出
●リスクマネーの米国株への逃避
●世界全体で見ると、株式市場からのマネー逃避(全世界の時価総額の減少、VTの下落など)
などが起きていると推測。
また、好調な米国市場にしてもS&P500のPBRやCAPEをみる限り、8月は「1月ピーク時の割高度合い」を下回っている水準。
FRBの引き締め政策が続くかどうか
は今後の市場動向への影響が大きそうです。
そして市場への影響力として重要と思われる世界や米国の
景気動向
やその他の指標の比較はまた明日の記事で。
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★データ出所
● World Federation of Exchanges
●Effective Federal Funds Rate | FRED | St. Louis Fed
●Real Broad Effective Exchange Rate for United States | FRED | St. Louis Fed
●https://jp.investing.com/rates-bonds/u.s.-10-year-bond-yield
●All Federal Reserve Banks: Total Assets | FRED | St. Louis Fed