時代や国を問わず、説得力を持ちつづけそうな言葉を拾ってまとめていくシリーズ「時空をこえたメッセージ」の10回目です。
今回はレーシングドライバー佐藤琢磨氏からのメッセージです。
No attack,No chance!
『日本を飛び出して世界で見つけた僕らが本当にやりたかったこと』<森美知典 実務教育出版 2017>で述べられている佐藤氏の言葉です。この言葉に続いて
自分から動き出して世界をつくっていく。挑戦していかないと、運はつかめません。インターネットで調べることも重要ですが、自分の足で、見て、触れて、感じることで、本当に多くのことを学べます。
が続きます。
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鳥井信治郎「なんでもやってみなはれ。 やらなわからしまへんで。」
サントリー創業者、鳥井信治郎が遺した言葉に
なんでもやってみなはれ。 やらなわからしまへんで。
があります。わたしの好きな言葉です。
No attack,No chance!に通じるやってみなはれ精神です。
情報過多時代の実体験
現代は情報過多。
ネット環境にあれば、膨大な情報を得ることができる時代。
日本語だけでなく英語、スペイン語、中国語なども自由に解読できる方は、それらの言語で書かれたサイトからすさまじい量の情報を無料で得ることもできます。
ただ、体験は別です。
想像はできても、実体験はまた違うような気がします。
ヴァーチャルリアリティーの技術も飛躍的に進歩しているようですが、それでも実体験とは違うような気がします。
例えば、学生の頃は社会人のことは、想像はできても、体験しないとわからないことは多いもの。
親になってみないと親の気持ちはあまりわかりません。
親になって初めて、ああ自分の親はもしかしたらこんな気持ちでいたのかなあ、と想像できる程度です。
また、高齢者にならないと高齢者の気持ちもわからないし、社長や経営者にならないとその苦労もうまみも多分あまりわからない。
何かに詳しいことと、実体験の有無は別。
投資においても、投資をしたことがない人や株価の暴落で惨めな思いをしたことがない人には、ときに市場が見せる冷酷で残酷な一面、その怖さをいくら説明しても、伝わるものは少ないでしょう。
「だったらやんなきゃいいじゃん」
その一言ですまされるかも。
※ある意味真実?
No attack,No chance!
わたしは投資はある種の「賭け」だと思っています。
どうなるかわからない未来に対してポジティブな何かを期待してとる行動や選択・決断=「賭け」
と仮定すると、投資は「賭け」。
投資だけでなく、社会に出る際、どんな業種を選ぶのかも「賭け」。
どんな企業に就職するか、それも「賭け」。
今後の日立や東芝の行く末はわかりませんが、日立と東芝の両方の内定を得て、どちらにするか、かつて迷いに迷った人もいたかもしれません。
また、どんな人と結婚するか、それも「賭け」。
どこに引っ越してどんな物件で住むか、それも「賭け」。
卑近で小さなものなら、賞味期限が微妙に切れた納豆や豆腐に口をつけるかつけないか、それも「賭け」。
賭けはいつの時代にも連綿と人が続けてきた行為であり、生きている限り賭けから無縁でいることはできません。
そして、賭けには常に運や確率が絡んできます。
賭けに勝つこともあれば負けることもあります。
できるだけ賭けないでひたすら「安全」を重視して「負けない」人生を強く望む人もいれば、多く賭けて多く負けた経験を財産に、のちのち大きな勝負で勝つ人もいます。
それぞれの人の価値観であり、どちらがいいわけでも、どうすれば正解なのかも事前にはっきり分かるわけではありません。
ただ、一つの経験則として
・自らリスクを負って動くことが少なすぎると、大きなチャンスをつかむ確率は低い
・自分が能動的に動かないのに、勝手に大きなチャンスが向こうからやってくる確率は低い
そういう傾向はあるように感じます。
現金100%はNo attackか?
わたしは投資ブログを書いているくせに、長期投資に関して、現在リスク資産は保有していません。
安全資産:リスク資産=100%:0%
安全資産は日本円現金です。
株、リートなどリスク資産や海外資産全般が総じて割高ではないかという個人的な判断に基づきます。
※Jリートは特殊事情で少し割安傾向かもしれませんが
では、現金100%のポジションは佐藤氏のいうところのNo attackなのか?
一般的には
投資してないんだから、リスクをとらないNo attackなのでは?
となるのかもしれません。
わたしの屁理屈?では、安全資産の比率を増やすことは、けっしてリスク回避的一辺倒の行動ではないと思います。
まず、現金100%は価格変動リスク(金融商品の値動きで損失を出すリスク)を回避する代わりに大きなリスクをとっています。
・機会損失リスク(投資していたら得られてであろう収益を見逃すリスク)
・インフレリスク(インフレで現金価値が低下するリスク)
です。
また、安全資産の比率を増やすことは、投資においては時間差攻撃になり得ます。
投資において、防御は最大の攻撃にもなり得ます。
安全資産を多く保有しておくことは、
・将来、株価などのリスク資産が値下がりし、
・株式の価値が下落し相対的に現金の価値が上昇した時に、
・割安になったリスク資産を、割高になった現金で入手する下準備
になり得ます。
安全資産の確保は
「(今、状況がぱっとしないから)今、ムリに攻めない」で「未来に万全の状態で時間差攻撃する」ための下準備
になるかもしれません。
そして、個人投資家の数少ない強みは、
・常に収益を上げ続ける義務がなく、いつでも自分の好きな時期にリスクをとればいいところ
・自由に好きにやればいいところ
だと思います。
結論
投資においては何も動かないでいることが、悪くない選択である時期もときにはあると思います。
※「今」がそのときなのか、それは誰にもわからないと思いますが
個人投資家の強みの一つは、
常に収益を上げ続ける義務がなく、いつでも自分の好きな時期にリスクをとればいいところ
だと思うので、その強みを生かす戦略があってもいいのかもしれません。
投資判断は100%各投資家に任されており、どう動くかは自由です。
そして、チャンスと思える日が来れば、
No attack,No chance!
で攻める。
自分の中で何かしっくりこないときに無理に頑張る必要もなく、身軽になって気長に構えるのも一つの投資スタンスかもしれません。
あくまで、これはわたしの習性、性格、好みに根ざしたあまり一般受けしない投資スタンスに過ぎませんが・・・
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