米国景気動向を2つの指標
【失業率】
【ISM製造業景気指数】
で確認してみます。
まず【失業率】から。
失業率の長期推移(1948年~)
※出所:US Unemployment Rateのグラフより管理者作成 ※期間:1948年1月~2017年10月
上記は米国失業率の約70年の長期推移です。
長期平均は「5.79%」で、ラインを引いています。
この期間で最低の失業率は1953年の2.5%です。
その他、失業率のボトムは1960年代に3.4%。
その後はITバブルの頃(2000年)の3.8%が目立ったところ。
失業率の長期推移(1995年~)と最新の失業率
※出所:US Unemployment Rateのデータより管理者作成 ※期間:1995年1月~2017年11月
もう少し新しいデータ、1995年からの推移です。
この期間の長期平均は「5.7%」で、ラインを引いています。
失業率のボトムの時期に赤丸をつけています。
2017年11月の失業率は「4.1%」でした。
米国失業率が示唆すること
2017年11月の失業率「4.1%」は
・サブプライムバブルの頃のボトム、4.4%は下回り
・ITバブルのころの3.8%よりは高い
値です。
米国で失業率が低く景気がよく株価が高く、後々バブルと呼ばれた時期と遜色ない水準です。
S&P500と米国失業率
※出所:US Unemployment Rate、Yahoo Financeのデータより管理者作成 ※期間:1995年1月~2017年11月
米国の失業率と「<S&P500>÷200」の推移を併記したグラフです。
S&P500を200でわったのは、特に意味はなく、失業率の動きと比較するためです。
微妙にタイムラグはあるのですが、近年の傾向としては
・株価上昇期は失業率は下がる
・株価下落期は失業率は上がる
(株価がピークから下落し出した後、あるいはほぼ同時に、失業率が上がり出す)
傾向はあります。
失業率がこれ以上下がらない、とする明確な根拠もなく、未来の展開はわかりませんが、今後、
・失業率が底を打って上昇してくる、
あるいは
・株価が明確に下落しだしたら
少し注意してもいい時期なのかもしれません。
次にISM製造業景気指数に移ります。
ISM製造業景気指数とは
ISM製造業景気指数とは|金融経済用語集
ISM製造業景気指数は、アメリカ合衆国の米国供給管理協会(ISM:Institute for Supply Management)が発表する、製造業の購買担当役員へのアンケート結果を元にした「企業の景況感」を示す経済指標をいいます。
※引用元:ISM製造業景気指数とは|金融経済用語集
一般的な説明は上記のようになり、簡単に付け加えると以下のようになります。
①この指数が50を上回ると景気拡大、50を下回ると景気後退を示唆するといわれています。50が節目です
②指数が大きくなると景気改善、小さくなると景気悪化を示唆します
③毎月第1営業日に前月の結果が発表され、即時性が高い米国の景況感を示唆する指標です
④個人的な経験則として、株式が割安な時期は、ISM製造業景気指数が50を下回っている可能性が高い、と考えています
ISM製造業景気指数について、詳しくはこちらの記事を参照ください↓
※出所:アメリカ ISM製造業購買担当者指数のグラフより管理者作成
1970年以降の推移です。
1970年代、80年代には「70」を超える好景気の時期があったようです。
また、この期間では1980年頃、オイルショックの頃の落ち込みが最も激しそうです。
近年ではITバブル後とサブプライムバブル後の落ち込みが激しいです。
一つの考え方、経験則として、ISM製造業景気指数が「50」を大幅に下回っている時期に
・株は割安?
と推測するのは、あまり無理がないと考えます。
ISM製造業景気指数の推移(2012年~)
※出所:アメリカ ISM製造業購買担当者指数のグラフより管理者作成
上記グラフはここ5年のISM製造業景気指数の推移です。
節目の50にラインを引いています。
ほとんどの月で節目の「50」を上回っており、米国経済の好調さを示唆していると思われます。
2017.11月のISM製造業景気指数
2017.11月の指数は58.2でした。依然としてとても高い水準です。
ただ、
・9月:60.8
・10月:58.7
と下落続きです。
今後も下がり、後々50に近づく、あるいは50を下回るようなら、警戒の度合いを高めてもいいかもしれません。
まとめ
【失業率】
【ISM製造業景気指数】
ともに米国景気の好調さを示唆しています。
一方、2009年6月以降、米国の景気拡大期は100ヶ月を超えています。
歴史的には120ヶ月が最長です。
景気が今後も循環するものならば、景気拡大がずっとは続かないと思われるので、株価やその他の指標とともに、米国景気の動向の確認が大切な時期と思われます。
米国の実質経済成長率、OECD景気先行指数はまた別の記事で。
関連記事です。
・米国景気はいつまで拡大するか?
・投資と期待値
・OECD景気先行指数
・米国GDP