先週の米国市場を
「米国株式の割安割高を判断する目安」
になると思われる指標で概観してみます。
ごく簡単な先週の米国市場の概観
<先週のS&P500>
※出所:米S&P 500インデックス(SPX - Investing.com
日本株と同様、週の半ばは少し落ちましたが、週末の値では上昇。
最高値(2017.12.4:2665)を記録してします。
<先週の米国10年国債利回り>
米10年国債利回りは引き続き2.3%台でうろうろ。
定点観測
以下の5つで定点観測してみます。
★恐怖指数<米国市場。S&P500の変動性>
★ジャンク債スプレッド<米国市場。クレジットスプレッドの一つ>
★S&P500のPBR<米国の代表的な株価指数のPBR>
★米国バフェット指標 <米国の時価総額÷米国の名目GDP>
★マージンデット指数<マージンデット÷米国名目GDP×100>
恐怖指数
恐怖指数(VIX指数)とは
①S&P500を対象とするオプション取引のボラティリティを元に算出される指数
②数値が高いほど投資家が相場の先行きに不透明感を持っているとされる
③1990年2月~2017年12月の長期平均「19.4」
④わたしは主に株式が割安な時期を示唆する指標と考えています(「30」以上で割安かも?)
⑤「10」程度で安定している時期は、投資家は安心・楽観・高揚していると考えられる
⑥2017.11.24に場中の最低値「8.56」を記録
推移グラフと現在の状況判断
※出所:S&P 500 VIXインデックスのグラフより管理者作成 ※期間:1990年2月~2017.12.8
上記は1990年からの長期推移のグラフです。
下記グラフはここ3ヶ月の推移です。
※出所:Yahoo Finance
2017.12.8は「9.58」でした。
超低水準であり、この指標からは、米国市場の投資家心理は安心、楽観モードと推測。
<恐怖指数について詳しくはコチラ↓>
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ジャンク債スプレッド
ジャンク債スプレッドとは
①ジャンク債スプレッド
=米国のハイ・イールド債の利回り-米国債(10年物)の利回り
②ジャンク債スプレッドが大きい⇒株式は割安傾向
③ジャンク債スプレッドが小さい⇒株式は割高傾向
④★平均値(幾何平均):3.1
★中央値:3.0
<期間:1996.12月~2017.11月の月末>
推移グラフと現在の状況判断
※出所:◎St. Louis Fed◎米国 10年 債券利回りのデータより管理者作成 ※期間:1996.12月末~2017.9月末
2017.12.7時点のジャンク債スプレッドは「2.0」で、11月30日の「1.9」より少しスプレッド拡大。
水準としては割高圏の目安「2.0」以下で、長期平均の「3.1」よりはかなり低い値です。
恐怖指数と同様、投資家は安心モード。
単なる近年の経験則ですが、この指標からは株式は
「割高傾向?」
と推測。
※12.7時点のジャンク債利回り「4.31%」、米国債(10年物)の利回り「2.36%」
<ジャンク債スプレッドについて詳しくはコチラ↓>
S&P500のPBR
S&P500のPBRとは
①PBRは株式の割安割高を判断する基本的な指標の一つです。1株当たりの純資産に対し、株価が何倍まで買われているかを表したのがPBR(株価純資産倍率)です
②PBRが小さいほど割安、大きいほど割高と判断します
③S&P500のPBRは米国市場の割安割高を判断する一つの目安であり、わたしは主に割安な時期を知る目安として参考にしています
推移グラフと現在の状況判断
※出所:S&P 500 Price to Book Value
上記グラフは1999年末~直近のS&P500のPBRの推移です。
2017.12.8時点の推計値は「3.32」、12.1の「3.30」より上昇。
ジリジリと上がり続けています。
ITバブルの頃にははるかに及びませんが、サブプライムバブルの頃(2.91)よりは大きな値です。
長期平均の「2.76」は上回っており、現在は少なくとも
割安な水準ではなさそう
です。
※出所:S&P 500 Price to Book Value
<S&P500のPBRについて詳しくはコチラ↓>
米国バフェット指標
米国バフェット指標とは
①米国バフェット指標=米国の時価総額÷米国の名目GDP
②米国株式の割安割高を判断する目安
③1995~2016年の各年末のデータから、
★平均値:1.23
★中央値:1.31
④近年の経験則の域を出ませんが
★1.05以下は株式は割安圏?
★1.40以上は株式は割高圏? と推測
推移グラフと現在の状況判断
※出所:グローバルノートのデータより管理者作成 ※期間:1995年末~2016年末
米国の時価総額は2017.10月末で約「31.0兆ドル」(30.96兆ドル)。
2017年は3月に一度減少しましたが、他の月はすべて増加しています。
2017.10月末の米国バフェット指標は「1.60」であり、過去最高水準です。
割高圏の目安「1.4」を上回っているので、10月末時点では株式は割高圏?と推測。
※2017年米国名目GDP:19.36兆ドル(IMF推計)
米国バフェット指標について詳しくはコチラ↓
マージンデット指数
マージンデット指数とは
①「マージンデット÷米国名目GDP×100」で算出する指数
②米国株式の割安割高を判断するためにわたしが個人的に利用している指標
③1995.1月~2017.10月の各月末のデータから、
★平均値:1.73★中央値:1.70④近年の経験則の域を出ませんが
●「マージンデット指数 1.3以下」⇒株式は割安圏?
●「マージンデット指数 2.4以上」⇒株式は割高圏?
※マージンデットは一般的な指標ですが、「マージンデット指数」は一般的なものではありません
推移グラフと現在の状況判断
※出所:ニューヨーク証券取引所、世界経済のネタ帳のデータより管理者作成 ※期間1995.1月~2017.10月
2017.10月末のマージンデットは5614億ドル、9月より18億ドル程度増加。
マージンデット指数は「2.90」であり、過去最高の値です。
この指標の過去のピークは
・ITバブル:2.71(2000年)
・サブプライムバブル:2.63(2007年)
・2015年:2.80
でした。
今回はすでに「2.90」で記録更新中。
割高圏の目安「2.4」を上回っており、株式は割高圏?と推測。
※出所:ニューヨーク証券取引所、世界経済のネタ帳のデータより管理者作成
マージンデット指数について詳しくはコチラ↓
現時点での米国市場の割高割安、5つの指標からの推測、まとめ
あくまで経験的な判断ですが、現時点で各指標が示唆する株式の割安、割高の判断をまとめます。
★恐怖指数⇒割安ではなさそう
★ジャンク債スプレッド⇒割高傾向?
★S&P500のPBR⇒割安ではなさそう
★米国バフェット指標 ⇒割高圏?
★マージンデット指数⇒割高圏?
総合的に判断すると、わたしは米国株式は「割高圏?」と推測します。
したがって、現時点での米国株の長期投資のタイミングとしては
◎資産配分において、株式の配分比率を減らす
◎資産配分において、現金の配分比率を増やす
◎長期投資を一時やめる
のに適す時期だと考えています。単なる経験則ですが。
※長期投資に関する一つの判断です。短期、中期的な投資には役立たない可能性が高いです
※基本的にできるだけ「割高な時期に株を売り、割安な時期に株を買う」という判断に基づいています
※単なる個人の感想です。未来は誰にも予知できません。投資は自己判断、自己責任で
ITバブル、サブプライムバブル、現在のデータ比較
※出所・世界のバフェット指標:GLOBAL NOTE、World Federation of Exchanges・OECD景気先行指数:OECD Data・シラーPER:Shiller PE Ratio
S&P500のPBRやシラーPERがじわじわと上昇。
あとがき
最近またVIX指数(恐怖指数)が歴史的な安値圏にあります。
※出所:米S&P 500インデックス(SPX - Investing.com
例えば、クリック証券のCFDでVIX指数の先物を参照原資産とする『米国VI』が2016年8月より取引可能となっています。
歴史的な低水準にあることから、VIX指数の買いポジションは、リスク資産の上手なリスクヘッジ手段になる、可能性があります。
・GMOクリック証券 - ついに登場!CFDにVIX先物やベア型のレバETFが仲間入り! | CFDアカデミー | CFD | サービスガイド
他にも「日経平均VI先物」という商品もあります。
ETFでは【1552】などもあります。
ただ、長期保有には向かなさそうです。
長く持っているとひたすら価値が落ちていく傾向があります。
また「日経平均VI先物」は流動性に難があります。
ブレグジットや米国総選挙など、明らかに大きなイベントなどがあれば別ですが、VIXがらみの金融商品は、長期保有して、リスク資産のリスクヘッジを行うには、あまり向かないようです。
※投資は自己判断、自己責任で
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