もしもの円暴落があるとわたしは現在の長期投資の投資ポジション(日本円100%)では非常に困るので、
「もしも」の兆し
がないか適時確認しています。
その確認内容を記事にするシリーズです。
<2018.1.29>以来の更新になります。
円暴落の兆しを知るための指標
わたしは以下の5つの指標を適時確認しています。
①ドル円名目レート
②円の実質実効為替レート
③日本の消費者物価指数
④日本の長期金利(10年国債の金利)
⑤日銀の資産動向
※あくまで個人的な対策に過ぎないので、本当に役立つかはわかりません
それぞれが何を意味するのかの説明は以下の記事を参照ください。
ここから5つの指標を一つずつ確認していきます。
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「ドル円名目レート」
<ここ5年のチャート>
※出所: USD JPY 証券株式相場 | ドル 円 相場 - Investing.com
5年前は1ドル100円を下回っていました。
<ここ3ヶ月のチャート>
※出所: USD JPY 証券株式相場 | ドル 円 相場 - Investing.com
2018.1月以降、円高基調が鮮明。
円の実質実効為替レート
※出所:<BIS>Effective exchange rate indices( Monthly data: Narrow indices:2018.2.14更新) ※グラフ期間:1973.1月~2018.1月
上記は長期的な視点から「通貨の実力」を示唆する、という人もいる円の実質実効為替レートの推移グラフです。
1973.1月~2018.1月の
・長期平均:92.8
・中央値:94.7
・ここ10年の最安値:70.9(2015.6月)
・ここ10年の最高値:108.2(2012.1月)
です。
2018.1月の数値は「75.8」であり、前月(75.8)と変わらず。
水準としては長期平均「92.8」より低く
円安
方向にぶれているように推測されます。
※この解釈の仕方はわたしの個人的なものです。一般的ではないと思うので、ご注意ください
急激な動きではなく暴落の気配はありません。
日本の長期金利(10年国債の金利)
※出所:日本 10年債券利回りチャート
ここ5年の日本の長期国債利回り推移です。
今年に入って日銀の金融政策に関するニュース(そろそろ出口に向かうの?)は増えていますが、引き続き長期国債利回りは0.1%に満たない低位で推移。
日本の消費者物価指数
※出所:統計局ホームページ/消費者物価指数(CPI) 時系列データのデータより管理者作成
概ねアベノミクス後、2013.1月~2018.1月の
消費者物価指数<生鮮食品を除く総合。前年同月比>
です。
消費税増税による上昇分は2015.4月には剥落し、その後は「-0.5~0.5%」程度で推移していたのですが、2017.8月に0.7%とレンジを上抜け、2017.12月は0.9%でした。
2018.1月も前月と変わらず+0.9%。3ヶ月連続で0.9%、1%に満たない物価上昇率。
2013~2014年にかけては1%台前半まで上昇しましたが、今回はどうなるでしょうか。
※2018.1月、生鮮食品は+12.5%、生鮮野菜は+21.3%と暴騰。最近野菜がまた高いですね
日銀保有資産
過去5年の日銀保有資産の推移です。
2018年2月28日は約533.2兆円。
2018年の日本の名目GDPは推計で552.4兆円(IMF推計)であり、現在の日銀の保有資産額は名目GDPの約96.5%です。
また、約1年前2017.2.26の日銀資産は約484.1兆円なので、概ねこの1年で49.1兆円の増加となっています。
米国債の利回りとギリシア国債の利回りの確認(ともに10年物)
もしも日本円が暴落するとき、市場はいわゆるリスクオフ一色の相場になると思われます。
そのとき投資家の資金が逃げ込む国債市場の一つは、流動性や信用力の高い米国債ではないかと思います(ドイツ国債などもおそらく同様)。
逆に投資家が資金を引き揚げる国債の一つは、多額の負債を抱え事あるごとに国債利回りが急騰しているギリシアの国債ではないかとわたしは推測しています(ポルトガルなど他にもいろいろあると思いますが)。
したがって、もし円に何かあれば、米国債の利回りは下がり(米国債は買われて価格が上がり利回りが下がる)、ギリシア国債の利回りは上がる(ギリシア国債は売られて価格が下がり利回りが上がる)と推測されるので、この意味で米国債やギリシア国債の利回を観察しておくと、役に立つのではないかと思われます。
米国 10年
<ここ5年>
<ここ3ヵ月>
米10年国債利回りは最近上昇傾向。ここ3ヶ月で2.3⇒2.8%程度まで上昇。
ギリシア 10年
<ここ5年>
<ここ3ヵ月>
3%台中盤まで低下していたギリシア長期国債利回りは4%台前半まで上昇。
長期的には、少し上がった程度で、依然低い水準。
まとめ
円高傾向は変わらず。
2018年1月の消費者物価も0.9%程度の上昇率。
もしもの円暴落の気配は感じず、現在は軽めの”リスクオフの円高相場”、という印象。
おわりに
2018.1月の円の実質実効為替レート数値は「75.8」。
長期平均は「92.8」で、「75.8」は長期平均より約18%低い値。
名目レートでは2018.1月の平均値は「1ドル=110.8円」程度なので、仮に実質実効為替レートの長期平均だけを考慮して、この名目レートもドルに対して18%安いとみなすと
●X×1.18=110.8円 の式から
●X≒93.9円(1ドル≒94円)
程度が平均的な水準という仮説を提示できなくもない。
あくまで「1973年以降の実質実効為替レートが長期的には平均回帰する」という条件による視点で、為替レートは今後の日米のインフレ率の差に依存する部分も大きいと思われますが、この視点に限れば、
●1ドル=100円をいずれ下回る時期が来ることはむしろ自然(次回の米国の不況時期など)
●平均水準(1ドル≒94円)からやや円高に振れれば、1ドル=80円台もさほど不思議ではない
ということになります。
そして、2015年5月や6月頃の「1ドル=125円」「円の実質実効為替レートが70程度」の頃が、異常な円安だった、という説が説得力を持つことになります。
果たして複雑怪奇といわれる為替レートはこんな単純な視点で長期視点では
「ある程度の目途」
がつくものなのか?
今後も観察を続けてみます。
関連時事
為替に関する記事二つです