米国の景気動向を【米国の失業率】で観察し、一つの投資スタンスについて考えてみます。
米国の失業率を知るメリット
「失業率」と「景気」は関連が強く、「景気」と「株価動向」にも関連があり、「失業率」は長期的な「株価動向」を探る材料になり得る、と思われます。
失業率 ⇔ 景気 ⇔ 株価
失業率の長期推移(1948年~)と景気後退
※出所:Civilian Unemployment Rate ※期間:1948年1月~2017年12月
上記は米国失業率の約70年の長期推移です。
灰色のラインは景気後退期でこの期間、11回あります。
よくよく観察すると、
●失業率のボトムからしばらくして
あるいは
●失業率のボトムから失業率が上昇し出すタイミングで
景気後退が訪れるというパターンが目立ちます。
「景気後退期」や「景気後退の直前」には、株価は大きく下がりやすいので、景気拡大が続いている時期にできるだけ高値で売り抜けたい場合、
●可能な範囲で失業率のボトムを探り
●ボトムらしき時期に株式の比率を下げたり現金比率を上げる
という対処は、この期間においては有効な経験則ではあるかもしれません。
※株価と同様、失業率もいつがボトムかなのかは事前にはわかりませんが・・・
米国失業率のデータ
1948年1月~2018年2月で最低の失業率は1953年の2.5%です。
その他、失業率のボトムは1960年代に3.4%。
その後はITバブルの頃(2000年)の3.8%が目立ったところ。
最大値は1982年11~12月の10.8%。
比較的近年では2009年10月に10.0%を記録。
平均値は5.79%。中央値は5.60%。
最新の失業率
※出所:US Unemployment Rateのデータより管理者作成 ※期間:1995年1月~2018年2月
もう少し新しいデータ、1995年からの推移です。
この期間の長期平均「5.6%」で、ラインを引いています。
失業率のボトムの時期に赤丸をつけています。
2018年2月の失業率は先月と同様「4.1%」でした。
米国失業率が示唆すること
2018年2月の失業率「4.1%」は
・サブプライムバブルの頃のボトム「4.4%」は下回り
・ITバブルのころのボトム「3.8%」よりは高い
値です。
今は近年のバブル期に匹敵する非常に失業率の低い時期です。
2009年6月以降、9年近く、米国の景気拡大が続いていることも考慮すると、今後の景気後退や株価の下落を警戒するのは、個人的にはあまり不自然でないと考えます。
ただ、景気拡大が10年、11年と続かないとする明確な根拠もないので、一つの経験的な判断に過ぎません。
株価(S&P500)と米国失業率
※出所:US Unemployment Rate、Yahoo Financeのデータより管理者作成 ※期間:1995年1月~2018年2月
米国の失業率と「<S&P500>÷200」の推移を併記したグラフです。
現在2017年10月より、5カ月連続で失業率は「4.1%」を記録。
2月は株価が下落し、失業率は不変だったので、大きく開いたワニの口は、ほんの少し閉じました。
米国失業率と投資スタンスの一例
この期間において、長期的な傾向としては微妙にタイムラグはあるのですが、
・株価上昇期は失業率は下がる
・株価下落期は失業率は上がる
傾向はあります。
米国失業率は、個人的にはとても理解しやすい、比較的眉唾度合いが少ない
「長期投資タイミングを計る一つの材料」
であると思われます。
大事なことは、株価だけを見つめず、景気(景気以外にも「信用状態」「投資家心理」も大事と思いますが)を長い目で見つめることだと思います。
投資タイミングを読むことは素人には絶対に不可能
と簡単に諦めず、むやみに思考停止にならず、景気の流れから株式相場の大局観を得る研究は、してみる価値があるかもしれません。
ある程度でも、投資タイミングを読む精度が上がれば、投資の収益率の向上や投資ストレス(下落相場を耐え凌ぐことなど)の低減が図れる可能性があります。
※例えば、常時バイ&ホールドでインデックスを積み立てていく方法も立派な戦略ですが、この方法を続けていると、ほぼ確実に暴落や長期低迷相場に遭遇します。
資産評価額の減少に耐性の強い人もいれば、中には耐えられない人もいると思います。
どちらかというと、粘り強い方、定期的な積立金額が大きい方、資産規模が大きい方、に向く戦略のような気がします。
投資スタンスは「何が正しい」ではなく、投資家の好み、価値観、戦略、経済環境によるところも大きいと思います
また、ピンポイントで相場のピークとボトムを当てる必要はなく、今は景気拡大のおおむね
●初期?
●中期?
●後期?
か、それだけでも目途がつけば、長期投資の収益率は上がる可能性があります。
例えば、景気拡大の
●初期?・・・リスク資産(株・リートなど)を多くしたポートフォリオ
●中期?・・・リスク資産を中程度にしたポートフォリオ
●後期?・・・リスク資産を少なめにしたポートフォリオ
ざっくりこんな感じで、個人のリスク許容度に応じて「安全資産:リスク資産の配分」を変えてみるのも、一つの発想、スタイルではあります。
一つのアイデア、うまくいく保証はどこにもありませんが。
現在の景気拡大サイクルの段階
失業率の動向や過去の景気拡大期間の観察からは、おそらく現在は景気拡大の
●後期?
とわたしは推測していますが、いつ拡大が終わるかは不明です。
長い目で観察を続けていきます。
関連記事です。
・米国景気はいつまで拡大するか?
・投資と期待値
・OECD景気先行指数
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