<米国ETF【IYR】と米10年債の利回り差>から米国リートの割高、割安を探ってみます。
※IYR:ダウ・ジョーンズ米国不動産指数に連動する投資成果を目指す米国上場ETF
【IYR】【米10年債】の利回り差
<【IYR】【米10年債】の利回り差>はクレジットスプレッドと同じような発想で、「IYRの利回り」と「米10年債の利回りの差」が
・大きいほどIYRは割安
・小さいほどIYRは割高
とみなす、一つの割安・割高の目安です。
例えば、
A:【IYR】の利回り
B:米10年債の利回り
とします。
①「A:6%」で「B:3%」のとき「A-B=3%」です。
②「A:3%」で「B:3%」のとき「A-B=0%」です。
①の方が②のときより【IYR】は割安と判断します。
※クレジットスプレッドについてはコチラ↓
2019年5月末:【IYR】と【米10年債】の利回り差からの推測
※出所:IYR Historical Prices Yahoo Finance、アメリカ 10年 | アメリカ 10年 債券利回りのデータより管理者作成
2019年5月末のスプレッドは「0.9%」でした。
・IYRの利回り:3.03%
・米10年債の利回り:2.13%
前月末は約「0.5%」だったので、月間でスプレッドは急拡大。
「0.9」はこの期間の中央値「1.1」を下回る値であり、
ふつう~やや割高?(割安ではなさそう)
と推測。
米10年債の利回りが4月末⇒5月末で約「-0.5%」となった影響でスプレッドは拡大。
この期間、IYRの株価は「87.0⇒86.9」でほぼ変化なし。
※IYRの利回り:過去一年(4回)分の分配金とIRY値から算出
参考データ①
※出所:IYR Historical Prices Yahoo Finance、アメリカ 10年 | アメリカ 10年 債券利回りのデータより管理者作成 ※期間:2002.9月~2018.5月末
この期間で利回り差が3%を超えているのは2002~2003年頃(ITバブル崩壊後)と2008~2009年(サブプライムバブル崩壊後)だけです。
その他、2%を超えているのは2011~2012年頃(欧州債務危機)と2015~2016年(チャイナショック)頃。
2%を超える時期に比較的IYRは割安な傾向がありそうで、個人的には割安時期の経験的な目安を概ね「2.0以上」としています。
※適当な目安なので再現性があるかは不明
※主に「割安な時期を知る目安」として利用。割高な時期のスプレッドはブレが大きい印象
参考データ②過去の利回り:「IYR」と「米10年債」
下記グラフは2002年9月末~2018年5月末のIYRと米10年債の利回りの推移を示したものです。
※IYRの利回り:過去一年(4回)分の分配金とIRY月末値から算出
※出所:IYR Historical Prices Yahoo Finance、アメリカ 10年 | アメリカ 10年 債券利回りのデータより管理者作成
IYRの利回りは
・ITバブル崩壊後:約7%
・リーマンショック後:約12%
まで上昇しています。
Jリート平均の利回りピークは
・ITバブル崩壊後:約6%
・リーマンショック後:約8%
なので、似たような傾向はあります。
なおサブプライムバブルの頃や2010~2011年の一時期、IYRの利回りは米国債よりも低かったことがあります。※出所:IYR Historical Prices Yahoo Finance、アメリカ 10年 | アメリカ 10年 債券利回りのデータより管理者作成
あとがき
<IYRと東証リート指数:ここ10年>
※出所:外国株式・海外ETF|SBI証券
IYRと東証リート指数のここ10年の推移比較です。
総じてIYRの方がいい成績と思われますが(分配金の差、為替要因は考慮していません)、東証リート指数も健闘している印象。
<IYRとS&P500:ここ1ヶ月>
※出所:外国株式・海外ETF|SBI証券
IYRとS&P500のここ1ヶ月の比較。
TOPIXと東証リート指数と同様、米国でもこの期間はリートが優位。
ざっと5~6%の差がついています。
※2019.5月のTOPIXと東証リート指数について⇒ひと月で8%の利幅
とりあえず米国においてもリートが大きく崩れる状況ではなく、金利の低下が相対的にリートにとってはポジティブに作用している印象。
・原油や銅価格の低下(世界景気への懸念↑)
・米国長期金利の低下、FRBの利下げ観測(米国景気への懸念↑)
・楽観モードが大幅に減退した米中対立(不確実性↑)
等、5月にネガティブ要因は増えました。
・このまま米国リートは大崩れしない?
・金利低下にも関わらず、価格が崩れ出す?
・金利が今後上昇し、価格が崩れ出す?
先のことはわかりませんが、気になるところ。
こんな記事も