米国個人の利払い費から景気動向を推測する記事。
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米国個人の利払い費の長期推移
米国の個人の利払い費(米国個人の住宅ローンなどの負債から生じる利払い費の総額。月ごとのデータ。以下、利払い費)の長期推移です。
グレーは景気後退期。
※出所:Personal interest payments (B069RC1) | FRED | St. Louis Fed
ここ5回の景気後退期のうち4回で、景気後退期の前後、利払い費は減少・停滞傾向にあることが観察できます。
★景気悪化⇒個人が住宅ローンや自動車ローンなどで債務を増やすことを控える、あるいは債務を返済する動きが加速する
★景気悪化⇒利下げ、金利が低下
などの要因で利払い費が減る、または増えにくくなるのだと思われます。
※出所:Personal interest payments (B069RC1) | FRED | St. Louis Fedより作成
前年同月比でみる利払い費の長期推移
※出所:Personal interest payments (B069RC1) | FRED | St. Louis Fed
上記は利払い費の前年同期比の長期推移。
単位は%。
マイナスの時期は前年割れ。
+14%なら前年同月より14%利払い費が多かったことになります。
期間の幅はありますが、景気後退期から次の景気後退期までに概ね前年比+10%を超える2回のピーク期があることが確認できます。
※出所:Personal interest payments (B069RC1) | FRED | St. Louis Fedより作成
1度目のピークを青、2度目を赤で囲っています。
なぜ2回のピークを経て景気後退を迎えるのか?
あくまでわたしの仮説です。
★1度目のピーク
景気後退後の反動からくる急速な景気回復を背景に、個人が債務を増やし、金利も大幅に上昇するため前年比で大きなプラスとなる
★1度目のピーク後にみられる利払い費増加傾向の息切れ、鈍化
急速な景気回復がいったん落ち着くと、利払い費の増加率もいったん落ち着く
★2度目のピーク
いったん落ち着いていた景気拡大が再び加速。
長期的な景気拡大を背景に世の中の金回りはよくなり、個人のリスク許容度は再度上昇し負債は増大。
景気の過熱から利上げも実施され金利も上昇。
結果的に利払い費の増加率は2度目のピークに。
★2度目のピーク後にみられる景気後退
信用拡大というテコも利用して実現された景気の絶頂期は長続きはせず、景気拡大ペースの鈍化から膨らんだレバレッジの縮小過程へ。利下げなども実施され金利は低下傾向となることも手伝って個人の利払い費は縮小傾向へ。
現在はどうか?
※出所:Personal interest payments (B069RC1) | FRED | St. Louis Fedより作成
このグラフによれば、2009年以降の景気拡大期における利払い費は
★2015年頃に1度目の増加率のピーク
★2018年10月頃に2度目の増加率のピーク
を迎えているようにみえます。
<利払い費の前年同月比:ここ5年>
※出所:Personal interest payments (B069RC1) | FRED | St. Louis Fedより作成
2018年10月(直近ピーク):+14.5%
2019年8月(最新データ):+7.9%
と増加率は明確な低下トレンド。
過去の経験則からいえば、利払い費の観点からは、米国景気後退期はそう遠くないようにもみえなくもないですが、果たして。
おわりに
何事も
きっと○○だと信じてみていると○○のように思えてくる・・・
という傾向は確実にあります。
上記はあくまで米国個人の利払い費からみた一つの推論に過ぎません。
わたしはわりと経験則を大事にする派なので、この視点からも、2019年はどちらかというと攻めより守り重視の時期とみて基本的にポジションを控えめにしていますが、先のことは不明。
とりあえず現在のトレンドが続くようならそれなりに注意してもいいのかもしれず、今後も継続確認していく予定。
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